2016年4月の活動

2016年4月30日

1.活動写真集

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ブングラバ県で実施された質問票調査の様子(ブングラバ県アンバトランピ・コミューンにて)

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SADC広域森林技術協力プロジェクトの調査団メンバーと取り木研修に集まった村のみなさん(アロチャ・マングル県アンディラナトビ・コミューンにて)

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MRPAとの合同現地踏査のため、TRFの3名の普及員(SO)と事前打ち合わせを行う(ソフィア県のベアラナナ・コミューンにて)

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対象地域で普及を目指す改良かまどのSOへの講師研修(TOT)の様子(ソフィア県ベアラナナ・コミューンにて)

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村の掲示板とSOの一人。掲示板には映画の入場料:子ども100アリアリもしくは薪4本と記載されています(ソフィア県のベアンドラレゾナ・コミューンにて)

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ベアンドラレゾナ・フクタンで実施されたPRODAIREと改良かまど紹介のための映写会。300人以上の村人が集まりました(ソフィア県のベアンドラレゾナ・コミューンにて

2.今月の主な活動

(1)アロチャ・マングル県での活動(対象期間:2016年3月1日〜4月30日)

1)住民活動のフォローアップ

すでに植林研修とラバカ研修の実施時期が終了したため、研修は実施されていません。3月に引き続き、エリア・マネージャーとローカル・トレーナーによる住民活動のフォローアップに重点をおき、活動を進めています。

当初対象4コミューンでは、全戸を対象とした植林と改良かまどなどの研修を修了し、1年が経過しました。ラバカ対策と稚魚生産研修のみ、住民からの要請に基づき研修を実施しています。

エリア・マネージャーからの報告によると、2015/2016年の植林シーズンには、一部のローカル・トレーナーが植林研修を自主的に実施する事例や、研修を実施しなくても個人苗畑が自主的に作成され、植林された事例など、住民による自主的な活動が報告されています。2016年5月中旬に、アンパシケリーのローカル・トレーナーが組合を立ち上げ、3日間にわたって、改良かまどや樹木・果樹苗木の販売、プロジェクト紹介などの展示会を自主的に実施する計画が報告されました。

2016年5月から6月にかけて、最終インパクト調査が実施されます。この際に当初対象4コミューンでは、住民活動のフォローアップ活動だけで、住民による実践率に変化があったかが確認されます。

2)コミューン土地事務所に関する活動(対象期間:4月1日〜4月30日)

毎年、住民に収入が入る米の収穫時期に合わせて、住民に対して土地権利証明書の申請を啓発する活動をコミューン土地事務所が主体となって実施しています。プロジェクトはこの活動費(燃料代や音響機器のレンタル代など)を支援しています。今年は、ムララノクロムコミューンの3フクタン、アンドハラノ、マヘリアラ、アンタニマフィで啓発活動が実施され、多くの住民が参加しました。

3)SADC広域森林技術協力プロジェクト調査団の受け入れ

4月11日にJICAのSADCミッションを受け入れ、本プロジェクトのアロチャ・マングル県での活動地域を案内し、プロジェクト活動の一端を視察いただくとともに、普及アプローチの概要やその成果について説明しました。SADCプロジェクトの活動の三本柱である(1)森林情報システム、(2)森林火災管理、(3)参加型森林管理、にも密接に関わる本プロジェクトを紹介できたことは、お互いにとり有益でした。

4)JOCV隊員の受け入れ準備

アロチャ・マングル県農村開発局(DRDA)に配属されるコミュニティ開発隊員が、2016年5月初旬に配属されることとなり、その受け入れ準備を進めました。2016年4月のPMU会議において、同隊員配属の予定をメンバーで共有するとともに、それに先立って計画される2回の配属準備ミッションへの協力を依頼しました。また、ムララノクロム周辺で隊員が居住できる適切な住居の選定でも、協力を要請しました。

(2)ブングラバ県での活動(対象期間:2016年3月中旬〜4月下旬)

1)研修の実施

ブングラバ県で研修が始まった2015年6月から、プロジェクト・マネジメント・ユニット(PMU)会議が開催された2016年4月27日までの約10カ月間に実施された研修回数と参加者数は表1のとおりです。

雨季の終了にともない植林関係の研修実施をほぼ終えたため、2016年3月16日から同年4月27日までに実施された研修は、改良かまど研修の6回とラバカ対策研修のメンテナンス研修の1回のみでした。

表1 ブングラバ県の研修実績表
研修名 研修回数
(2016年3月16日〜4月27日)
累積研修参加者数
研修回数
(2015年6月〜2016年4月27日)
男性 女性 合計
改良かまど・シャルボンブザカ研修(住民向け) 6 179 1,976 2,527 4,503
改良かまど・シャルボンブザカ研修(ToT) 0 15 29 12 41
植林 採種・播種研修(住民向け) 0 69 1,828 1,034 2,862
植林 採種・播種研修(ToT) 0 5 19 6 25
植林 移植研修(住民向け) 0 76 1,514 905 2,419
植林 移植研修(ToT) 0 4 16 2 18
植林 山出し研修(住民向け) 0 39 690 333 1,023
植林 山出し研修(ToT) 0 14 31 21 52
ラバカ対策研修(対象ラバカ特定)
(ToT)
0 1 22 5 27
ラバカ対策研修(予備ミーティング)(ToT) 0 1 22 5 27
ラバカ対策研修(技術研修)(ToT) 0 1 18 6 24
ラバカ対策研修(メンテナンス)(ToT) 0 1 17 8 25
ラバカ対策研修(対象ラバカ特定) 0 6 38 3 41
ラバカ対策研修(予備ミーティング) 0 6 36 3 39
ラバカ対策研修(技術研修) 0 13 127 66 193
ラバカ対策研修(メンテナンス) 1 1 7 - 7
PAPRiz研修(苗床作り_理論)(ToT) 0 4 20 1 21
PAPRiz研修(苗床作り_実践)(ToT) 0 4 20 1 21
野火研修 0 4 29 17 46
合計 7 443 6,459 4,955 11,414

2)質問票調査の実施

本普及システムのローカル・トレーナーが作成した活動対象地域の世帯リストから、ランダムに抽出した200世帯のサンプル世帯を対象に、4月4日から4月13日までの8日間で質問票調査を実施しました。地元のNGO組織に実施を委託し、PRODAIREの日本人専門家とローカルコンサルタントに加え、PAPRiz所属の日本人流域管理専門家がその作業を監理しました。質問票調査の結果は、地元森林局職員によりエントリーシートへ入力され、5月23日から実施される植林地踏査のための分析作業が進行中です。

(3)UNDP/GEFプロジェクト(MRPA)との連携に関する協議と合同現地踏査(2016年4月1日〜4月30日)

1)連携のための協議

4月15日にアンタナナリボのUNDP/GEFプロジェクト(MRPA: Managed Resources Protected Areas)事務所を訪れ、同プロジェクトの担当マネージャーおよび委託先NGO(TPF)の担当責任者とともに、実務者レベルの協議を行いまし。同協議には、MOU締結に向けた内容の吟味と後述の合同現地踏査の方法や日程についての打ち合わせを含んでいます。合同現地踏査終了後の5月2日にMRPA事務所にて、JICAマダガスカル事務所の立ち会いのもと、MOUの締結が行われる見込みです。

2)合同現地踏査の実施

4月17日から4月24日まで、連携対象サイトであるソフィア県の2つの保全区の周りに位置する5コミューンに含まれる保全区周辺の荒廃地に位置する集落を対象に、MRPAが活動を委託するNGO(TPF :The Peregrine Fund)所属の3名の普及員(SO: Social Organizer) とともに現地踏査を実施しました。プロジェクトからはPRODAIRE所属のローカルコンサルタントと日本人専門家に加え、アロチャ・マングル県で活動を再委託する2NGOのエグゼクティブ・マネージャー2名が参加しました。

合同現地踏査開始に先立ち、PRODAIREの活動概要とLIFEアプローチについて、3名のSOに説明し、連携における活動の方針や方法についての擦り合わせをいました。その後、いくつかの対象村を訪問し、加えて周辺環境を把握するための踏査を実施しました。以下に活動の主たる内容となる植林・改良かまど普及・ラバカ対策に関する若干の調査結果を示します。

植林

植林活動は、まだ土地を持っている中間層以上の一部の人しか行っていないという印象です。薪を集める距離は自宅から1.5〜4キロメートルと、アロチャ・マングル県の場合に比べ、近めだと言えますが、近年は徐々に遠くなりつつあり、問題だと考えている村人が多いです。

ある村での聞き取りでは、10年以上前に、薪はまだ商品として流通していませんでした。それが、10年前に20本で500アリアリ.として商品化され、いまでは1,500アリアリになりました。村での映画鑑賞会の入場料がわりに、子どものみ入場料100アリアリか、その代わりに薪4本という記載がありました。薪が財としてすでに認識されている証だと言えます。

改良かまど普及

10軒ほどの家庭のかまどを見せていただいたところ、ほとんどの家庭で三角形か長方形の鉄枠が使われていました。ベアラナナ(ソフィア県の郡長所在地)で三角形3000アリアリ、長方形(炊き口が2つか3つ)15,000アリアリで売られています。7〜10年前に導入され、当地で普及したものだとのことです。伝統的な三石かまどは、鉄枠かまどと兼用で2軒の家でのみ使われていました。

またTPFが7年前に、焚き口が3つある焼き物の改良かまど3つを村に供与し、そのうちの1つが村長宅で使われていました。他の2つはすでに壊れて、使われなくなっていました。これらはTPFが20,000アリアリで購入し、村に供与したものです。薪の消費量が半分以下になるものの、壊れてしまうと更新ができない問題を抱えています。

これらの現状から、自分たち自身で作ることができる改良かまどのニーズは、当地において小さくないものと考えられます。

ラバカ対策

対象地域の周辺には多くのラバカが分布しています。それらのラバカから被害を受けている人も多数存在しています。人びとはまだ、ラバカを自分たちでコントロールできることを認識していません。こうした状況のため、ラバカ対策研修は今回の連携を契機に、今後、当地でかなりのインパクトを与えるのではないかと期待できます。