2016年6月の活動

2016年6月30日

1.活動写真集

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質問票調査を実施する調査員(6月6日、アロチャ・マングル県ラノマインティコミューンにて)

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販売のため、大量の薪を自転車の荷台に積んで運ぶ人びと(6月8日、アロチャ・マングル県アンボディラノコミューン内の街道にて)

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植林地踏査を実施するためのプリ・テスト。調査員に共通の調査方法を伝える(6月9日、アロチャ・マングル県アンパシケリコミューン)

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ラバカ調査の実施。ステークホルダーから研修後の管理状況について聞き取る(6月16日、アロチャ・マングル県アンドレバケリスッドコミューンにて)

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プロジェクトの支援により、2015/2016年雨季に、住民が、国道沿いに植えたアカシアの木。半年ですでに1m近くに成長している。(ブングラバ県)

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マニュアル作成委員会メンバーによるブングラバ県のプロジェクトサイト訪問。研修後も住民が定期的に柵を追加し維持管理しているラバカでの住民との意見交換の様子(6月30日アンバトランピコミューン)。

2.今月の主な活動

(1)アロチャ・マングル県での活動

1)研修の実施と住民活動のフォローアップ(対象期間:2016年5月1日〜5月31日)

2015年より、当初対象4コミューンでは、住民による活動の持続性の向上を目指し、エリア・マネージャーとローカル・トレーナーによる住民に対する直接モニタリングを実施しています。5月はコメの収穫時期にあたり、ほとんどの住民が畑で作業しているため、モニタリング活動も小休止状態でした。

新規2コミューンでは、ライチ取り木の研修が47回行われ608人(男性426、女性182)が参加しました。農繁期にも関わらず、多くの住民が同研修に参加しており、ライチ栽培に対する地域住民の関心の高さがうかがえました。

2)インパクト調査の実施(対象期間:6月1日〜6月30日)

a)当初対象4コミューンでの調査

質問紙調査の結果の集計

当初対象4コミューンの世帯を対象として(全世帯数12,883)、これまでPRODAIREが実施した普及活動のインパクトを定量的に測定することを目的として、5月6日〜26日に質問紙調査を実施しました。2014年の中間インパクト調査実施時の対象900世帯から、さらにランダムに抽出した556世帯から回答を得ました。
現在、結果の分析中ですが、以下に速報値を報告します。

−全対象世帯のうちPRODAIREが実施した研修に参加した世帯の割合は86.5%。特に、全研修単位で実施した植林研修や改良かまど研修は、前者で74.6%、後者で74.3%の世帯が研修に参加しています。ライチ生産の取り木研修では、研修の実施が親木のある地区に限られていたものの、全世帯中58.1%が研修に参加しました。結果として、上記の対象地域で、11.000世帯が、研修を通じて、何らかの技術を習得しています。

−植林活動に関しては、苗木生産の実施世帯の割合がプロジェクトの開始前後で約2倍になり、研修参加世帯に限って言えば、研修後に約85%の世帯が苗木生産を実践しています。植林については、実践世帯の割合が25%以上増加し、研修に参加した世帯のうち約9割が植林活動を実践しています。

−PRODAIRE開始以前に改良かまどを作った経験のある世帯は、わずか2.2%だったのに対し、2016年5月の時点では51.6%に増加しました。研修参加者に限ると、約70%が研修後にかまどを作製しています。その結果、対象地域で研修後に作られた改良かまどは約15,000個にのぼりました。

−対象地域全体で、PRODAIRE開始以前に取り木からライチの苗木を生産した経験のある世帯は、6.9%だったのに対し、54.1%に増加しました。つまり、約7000世帯が取り木からライチの苗木を生産し、約18,000本のライチの苗木を定植したことになります。

植林地踏査・ラバカ調査

上記質問紙調査の対象500世帯を、2014/2015年と2015/2016年の植林本数の和で層化して、各層より抽出した120世帯を対象として、6月9日〜15日に植林地踏査を実施し、植林された木の生残率を測定しました。調査時期は米収穫期の後半にあたり、農作業のため不在農家が多かったことや、寒期のため対象世帯に体調不良者が多かったこと、季節外れの降雨日が含まれたことなどから、結果的に92世帯の植林地踏査に留まりました。同植林地踏査の結果に基づいて、質問票調査の結果判明した当初対象4コミューン全体の植林本数から、植林された木の生残数を求め、植林活動の成果を明らかにします。

また、6月9日、16日、17日にラバカ調査を実施しました。同調査時点までに当初対象4コミューンで研修が実施された49ラバカを、エリア・マネージャーの知見を借りて、アクセスが可能なラバカとそうでないラバカに分類しました。アクセスが可能とされた37のラバカを調査員が踏査し、関係者へのインタビューを通して、住民主体によるラバカ対策の持続性について評価しました。

b)新対象2コミューンでの質問票調査

新対象2コミューンの住民を対象として、これまでPRODAIREが実施した普及活動のインパクトを定量的に測定することを目的として、5月31日〜6月8日に質問票調査を実施しました。エリア・マネージャーがローカル・トレーナーの助けを借りて作成した対象地域の世帯リストを用い、そこからランダムに抽出した202世帯から回答を得ました。その結果に基づき、2014/2015年と2015/2016年の植林本数の和で層化してランダムサンプリングした世帯を対象とする植林地踏査と、新対象2コミューンで研修が実施されたラバカを対象とするラバカ調査を、2016年7月に実施する予定です。

(2)ブングラバ県での活動

2016年5月に引き続き、6月にブングラバ県で研修活動の実施はありませんでした。プロジェクトでは、インパクト調査の結果の集計と分析、本県での普及活動の実施機関であるブングラバ県農業局(DRAE)および同県森林局(DREEF)との再契約に関わる合意書の締結に向けた協議や、PAPRizとの連携に関わる実務的な協議を進めました。

1)インパクト調査の結果の集計と分析(対象期間:6月1日〜30日)

プロジェクトが活動している2コミューンの対象世帯2205世帯より、202のサンプル世帯を抽出し、4月に質問紙調査を実施しました。続いて、その結果に基づき、2015/2016年の植林本数で層化した調査世帯から、50世帯を新たにランダム抽出し、植林地踏査調査を実施しました。同調査の主な結果を次に報告します。

−93%の世帯が傾斜地を所有しており、植林意思がある。
−95%の世帯が薪を、17%が炭を燃料として使っている。
−44%の世帯が、ラバカから何らかの被害を受けている(主に水田や水路への土砂の流入被害)。
−65%の世帯が植林研修に、55%が改良カマド研修に参加した。
−研修に参加しなかった世帯の半数以上が、研修が実施されることを知らなかった。
−プロジェクトが植林を支援した樹種ユーカリとアカシアに関して、前者で61%、後者で52%の世帯が苗木を生産し、前者で59%、後者で45%が植林した。推計植林本数は、前者が114,000本(活着率67%)、後者で45,000本(活着率73%)。
−43%の世帯が、研修後に改良カマドを作り、調査時点でもカマドの使用が確認されている。現在使用されているカマドの推計値は約1300個。

なお、アロチャ・マングル県、ブングラバ県でのインパクト調査の結果の詳細や分析は、9月を目途に完成予定の最終インパクト調査報告書にまとめて記載する予定です。

2)PAPRizとの連携協議(対象期間:6月1日〜30日)

本プロジェクトの終了を見据え、同県で同じカウンターパート機関を対象に活動を展開するPAPRizとの連携をより強化するため、今後のロジ業務、とくに両プロジェクトの予算支出の分担について協議しました。

(3)中央での活動

1)LIFEモデルユーザーマニュアル最終ドラフトの完成

3月に開催された第1回マニュアル作成委員会の会議でのコメントを受け、同委員会の中心メンバーとともに、マニュアルの最終ドラフトを完成させました。最終ドラフトには、6月30日、7月1日に開催された第2回マニュアル委員会で、再度、微調整が加えられました。7月から8月にかけて、両省の全関係者、ドナーなど関連機関にドラフトを送付し、コメントを得る予定です。

2)マニュアル作成委員会メンバーによるブングラバ県のプロジェクトサイト訪問の実施

上記の第2回マニュアル委員会開催に先立ち、メンバーによるブングラバ県のプロジェクト活動サイトの訪問を6月30日に実施しました。ほぼ全世帯に改良カマドが普及している集落、国道沿いに植えられ通行者の目を引くアカシアやユーカリの植林地、研修後も住民が定期的に維持管理を行っているラバカ等を訪問し、住民と自由に意見交換を行ってもらいました。ラバカ対策サイトでは、アンバトランピのコミューン長がメンバーを歓待し、「(同コミューンの一部のフクタンでしか活動していないため)、是非、他のフクタンでもプロジェクトの活動を展開してほしい」と訴えました。委員会メンバーにとっても、プロジェクトの支援開始から1年弱で、すでに、住民レベルに植林や改良カマド、ラバカ対策の活動が根付きつつあることを体感し、モデルの有効性を再度確認する絶好の機会となりました。

(4)他ドナー、他のプロジェクトなどとの連携

1)アンバトビー鉱山会社との連携

アロチャ・マングル県アンダインゴコミューンでのLIFEモデルの展開に関して、6月10日に、アンバトビー鉱山会社様のCSR担当者と話し合いを持ちました。連携覚書(MoU)の署名は7月11日の週を予定しています。

2)住友商事のCSRによる代替苗木ポットの供与

2015年に引き続き、住友商事様より、アロチャ・マングル県、ブングラバ県の対象コミューン住民の植林活動支援のために、約2000万MGA(購入時の為替で約75万円相当)の代替ポットの供与をいただき、ポットがプロジェクトに納入されました。2016年8月にブングラバで、引き渡し式を実施する予定です。

3)UNDP/GEFプロジェクトMRPAとの連携

6月の中旬の10日間で、アロチャのNGOのスタッフをMRPAのソフィア県のサイトに派遣し、MRPAの活動を実施するアメリカ系NGOのthe Peregrine Fund (TPF)の現地スタッフに対するLIFEモデルの展開に関するOJTを実施しました。TPFの現地スタッフからも、改良カマドのデモンストレーション後に、すでに、それをまねしてカマドを作る住民が、各フクタンに複数いるとの報告を受けています。

3)世銀のPADAPとの連携に向けての話し合い

6月9日、6月13日にそれぞれ、世銀現地事務所の環境担当者、農業・農村開発担当者と会い、PADAPへのLIFEモデルの採用について話し合いました。7月11日〜22日、世銀本部よりPADAP案件形成ミッションが来マするため、そのタイミングで、再度、協議を持つことを確認しました。

4)世銀の日本社会開発基金の活用の検討

世銀PADAPとの連携の可能性の追求に加えて、世銀の日本社会開発基金(JSDF)を活用したLIFEモデルの展開についても検討しています。