みんなの学校(TAFITA)2017年5月の活動

2017年6月6日

今月の主な活動

(1)基礎モデル(学校運営委員会活性化モデル)に関する活動

1)学校運営委員会(FEFFI)活動モニタリング体制構築

マダガスカル国における学校運営委員会のモニタリング体制は、1)行政官の情報共有の場(郡レベルで集まるZAP長会議や県レベルで行われる担当者会議)と、2)学校運営委員会連合の総会、の2つを中心としています。その機能化に向けた働きかけを、今月は以下のように集中的に行いました。

・モニタリング担当者の兼任解除への働きかけ:
州教育事務所長と郡教育事務所長と協議し、各レベルの学校運営担当者を学校運営委員会のモニタリングに専念させることを働きかけ、明確な回答を得ました。

・ZAP長会議の中でのモニタリング討議時間の確保:
ZAP長会議はモニタリング情報収集の中心として現在週1で開催されています。その会議の中で、1時間を学校運営委員会モニタリングに費やすことをルーティン化しました。

・ZAP長会議のための準備会合の定期的開催:
ZAP長会議の委員長、県・郡レベルモニタリング担当官、プロジェクトが、ZAP長会議のための準備会合を開くことにしました。

今後のモニタリング体制の方向性としては、担当官同士の相互情報共有の定例化・モデル化していくことを想定しています。郡レベルの担当官は能力差があるため、ZAP長から選出されるZAP長代表も同時に能力強化を行うことで、会議での相互情報共有を強化し、それを定例化します。また学校運営委員会連合も、モニタリング体制の柱として、今後も支援を引き続き行っていきます。

(2)応用モデルに関する活動

1)質のミニマムパッケージ(算数ドリル補習)パイロット活動

4月に行われた算数ドリルのファシリテーター研修の後、対象10校にて研修受講ファシリテーターによる他のファシリテーターへの報告・研修会が行われ、ナショナルコンサルタントが中心となってモニタリングが行われています。ドリルが進むにつれて難易度が上がってきていますが、ファシリテーター全員がドリルの問題を自習した後、代表者が黒板の前に出て皆の前で問題を解くことによって、ファシリテーター全員の理解が進んでいます。以前課題となっていたファシリテーターの確保も、ファシリテーター研修後は顕在化していません。17日から19日には、対象校において今学年度の最終テストが実施されました。現在テスト結果の集計及び分析が行われています。

2)質のミニマムパッケージ(読み書き速習)パイロット活動

先月に引き続き今月もナショナルコンサルタントを中心に、定期的な活動モニタリングを行いました。読み書きについては、ファシリテーター全員を研修し、モニタリングも頻繁に行われていることもあり、ファシリテーターの継続的な確保の問題は発生していません。しかし、今後、対象校を拡大するにあたって、ファシリテーター研修の方式やモニタリング体制について、検討を続けていく必要があります。31日には、対象2校に対する最終テスト(今学年度)が実施されました。テスト結果については6月以降明らかになる予定です。また、テストの簡略化及び成果のさらなる可視化を目指し、テスト及び評価ツールを改良中です。

3)教育効果の高い学校モデル

教育効果の高いモデルとは、経済状況の悪い地域で、学力試験(算数)の平均点が高い学校を訪問し、共通点を探り、同地域の学力の低い学校にはない点を特定し、その点を学力の低い学校に導入することで、実際に効果があるかどうか検証するものです。
昨年の12月より試行を行い、今回は学力テストの実施、内容の保護者・住民との共有、学習の質の改善を目的とした各アクターの誓約、補習と家庭学習(宿題)の実施、教員会議(校内研修)の実施などの内容を導入しました。今回の試行では、成績の向上、教員のモチベーションの改善等の肯定的な結果が出ています。質のミニマムパッケージなどの先行モデルとの違いは、投入が少なく、現在いる教員にも焦点を当てている点であり、成果の出具合は低いかもしれませんが、成功すれば普及可能性は高いモデルとなります。今後、家庭学習(宿題)における成果をあげるため、校内研修における学び合いのための要件等を特定していく必要があります。

4)学校給食基礎調査

子どもの飢餓は喫緊の課題となっており、特に学齢児においては、朝食抜きで登校した後に空腹のまま授業を受けることにより、勉強に集中しづらくなることが問題となっています。また貧困家庭にとっては、学校給食の存在が子どもの就学のきっかけとなると認識されています。このような流れの中、マダガスカル教育省は、2016年11月に国家学校給食政策を策定し、その中で学校給食の目標を「学校へのアクセスと学校パフォーマンスの向上に貢献すること」と明記しています。
2017年3月に実施された合同調査委員会において、給食コンポーネントを加えていくことが検討されることになりました。現在プロジェクトは、学校運営委員会の枠組みを利用し、外部支援なしで自主的に学校給食を運営しながら、生徒の栄養状態及び学力の改善を支援するという給食コンポーネントの実施を計画しています。5月より2か月間の日程で、情報収集のための調査が行われており、5月14日〜24日には、JICA本部より相賀専門員がマダガスカル入りし、児童の栄養・学校給食に係る政策枠組み及び実施状況の現状把握とプロジェクトへの提言を目的に、調査を行いました。特に世帯調査では、4校の合計10人の学齢児(就学児7人+不就学児3人)の世帯を調査し、10人中7人(70%)が低体重であることが判明しました。標本数が小さいため、70%の低体重率は代表性のある数値とは言えませんが、学校給食のニーズの高さを示唆するデータとしては十分ではないか、との結論を得ました。
今後は、プロジェクトが現在対象としているアナラマンガ県アバラジャン学区にて自主的に給食を運営している学校を視察しつつ、自主的な給食運営の成功要因を分析し、教育省をはじめ関係機関と連携のもと、給食コンポーネントの実施計画を策定する予定です。

課題

課題1:モニタリング体制確立の困難さ

今月は、モニタリング体制確立のために、多くの活動を行いましたが、マダガスカルの学校運営委員会のモニタリング体制の確立の目途は全くたっていません。この遅れの理由は、まず、モニタリング体制確立の必要性に関する関係者認識の低さが挙げられます。この認識の低さは、マダガスカル側のカウンタパートだけではなく、プロジェクト関係者を含みます。モニタリング体制の確立という活動は地味で、成果も見えにくく、評価もされにくいので、プロジェクト実施者にとっても力が入りにくく、分野に関わらず、多くのプロジェクトで表面的にその重要性が盛んに叫ばれていますが、成功したというケースをあまり聞いたことがありません。中等半端な覚悟とその介入では、成功することは、まず難しい。しかし、本プロジェクトは、この難しいモニタリング体制確立を活動のひとつの柱に掲げています。今後は、現地スタッフ、コンサルタント、専門家の力を総動員して、この難しい課題に挑んでいきます。

課題2:質の改善活動、試行から展開へ

今年度は、質に関する活動では、すでに実績にあった質のミニマムパッケージ(算数)の導入のみが予定されていましたが、読み書き改善の強いニーズを特定したため、迅速に、読み書きの改善の試行を開始しました。それのみならず、やはり質に関する活動として、教育効果の高い学校調査を実施し、引き続き、そのモデルの試行も行っています。いずれも、実証は小規模ながら高い成果が確認されています。今後、各モデルの実証を拡大・統合し、より効率的なモデル形成を目指していきます。この試行から普及に向かう段階では、試行では手厚くなされていたモニタリング支援をどのように、効果を減らさず、普及に適したやり方に変えていくのか、ユニットコストをいかに減少させるか等の思考や想像力が必要であり、できるだけ早い時期にその戦略を特定する必要があります。

活動に関する写真

教育効果の高い学校のパイロット活動モニタリング アンジャパマキ公立小学校

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算数の授業

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各アクターの誓約内容の共有

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家庭での補習授業

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家庭での補習授業

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算数ドリル中間テストの結果

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補習授業の一場面