みんなの学校(TAFITA)2017年6月の活動

2017年8月3日

今月の主な活動

(1)基礎モデル(学校運営委員会活性化モデル)に関する活動

1)学校活動計画(PEC)評価総会モニタリング

学年末が近づき、アバラジャン学区教育事務所の対象172校にて、今学年度の活動を総括する評価総会が行われ、県教育局、学区教育事務所、地区教育担当(ZAP)関係者と共に、モニタリングを行いました。評価総会の手順については、事前にZAP長会合→校長会合の場で確認する機会があったため、多くの学校では問題なく総会が実施されました。しかし一部の学校では、1)総会の議事進行を校長がほぼ一人で行い、学校運営委員会会長や会計等が果たすべき役割を果たしていない、2)学校運営員会の事務局会長と総会会長の間の責任分担がはっきりしない、等の問題が発生していることも明らかになりました。これらの状況を受けて、来年度のアナラマンガ県内1,630校への普及段階においては、1)評価総会前に行われる校長会合において、ZAP内全校の学校運営委員会会長も呼び、総会の手法を再確認する、2)学校運営委員会の代表は事務局会長が務めることを明確にして、総会会長はフクタン長が総会会長を名誉職として兼任する、という2点を徹底することが重要だと思います。

2)学校運営委員会(FEFFI)活動モニタリング体制構築

先月に引き続き、ZAP長会合開催に関する能力強化支援を、ZAP長県代表及び県レベルの学校運営委員会担当官に対して行いました。ZAP長会合に先立って準備会合を行ったほか、ZAP長会合当日にも開催支援を行いました。今月は初等教育修了試験準備でZAP長が多忙となったため、12日のみZAP長会合が行われ、各活動の総括表の内容に関して経験共有が行われたほか、評価総会の仕方に関して再確認が行われました。

(2)応用モデルに関する活動

1)質のミニマムパッケージ(算数ドリル補習)パイロット活動

先月に行われた対象校(10校)に対する最終テストの集計及び分析が行われ、結果は以下の通りとなりました。
正答率は全ての学年において伸びており、全体で、46.6%から71.3%と24ポイントの伸びを見せました。正答率の上昇は、低学年になるほど、特に高くなりました(1年生34.5%、2年生30.9%、3年生26.1%、4年生19.5%、5年生15.9%の上昇)。高学年の伸びがそれほど高くない理由としては、現在、各校はドリルのNo.1〜No.3(特に足し算、引き算)を中心に補習を行っており、不得意とする四則計算(掛け算、割り算、桁の多い足し算、引き算)に達していないことが一つの理由として考えられます。

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対象10校間のテスト結果の比較を行ったところ、「校長のモチベーションが高く」、「ファシリテーターのやる気が高く」、「父母が活動の重要性を理解し、子どもたちを遅延・欠席なく出席させている」学校において、正答率の上昇率が高いことが判明しました。さらに、上位2校が農村部に位置していることから、算数ドリル活動は、農村部でより大きな成果を上げられる可能性がある活動だと結論付けることができます。反対に、校長が補習にほとんど関与せず、ファシリテーターが途中でドロップアウトしてしまう学校において、上昇率は低くなりました。

2)質のミニマムパッケージ(読み書き速習)パイロット活動

8日、インドのNGOプラサムが用いている識字テスト(ASER:Annual Status of Education Report)の手法を生かした改善型読み書きテストの試行を1校で行いました。インドのASERでは、就学していない子どもたちも対象としていることもあり、ボランティアが家庭訪問をし、1人1人に対してテストを行いますが、マダガスカルでは就学児に対するテスト実施を予定していることもあり、ASER従来の手法によるテスト試行に加え、ASERテストをディクテ(書き取り)で実施する方法についても試行しました。現時点では、ディクテの方が時間短縮になり、言語能力を厳密に測れるという結論にはなっていますが、来月のインド訪問の際、プラサム側とも意見交換を行い、最終的なテスト手法の決定を行います。
さらに、6月は、先月に行われた対象校(2校)に対する最終テストの集計及び分析が行われ、結果は以下の通りとなりました。分析は、前述のASER手法にヒントを得た形で行いました。

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分析の結果、ベースライン(2016年12月)の時点で非識字グループ(文字を全く読めない+アルファベットが読める)に属していた子どもたちの割合は54%でしたが、補習の結果、最終テストでは21%まで減り、識字グループ(短文が読める+文章が読める)に属する子どもたちが、31%から46%に増加したことが明らかになりました。
読み書きについては、「対象校選定に時間をかけたこと」、「ファシリテーター全員を直接研修したこと」、「モニタリングを密に行ったこと」から、大きな成果が見られ、さらに住民・教員ファシリテーター21人中1名しかドロップアウトしませんでした。しかしながら、来年度、普及にあたっては、全く同様の密なアプローチにすることは難しいため、普及に耐えられるよう、今後、手法を改善させていきます。

3)学校給食基礎調査

先月より引き続き、自主学校給食モデルの試行開始のための調査を継続しています。調査の目的は、学校給食コンポーネントの実施計画を策定するための必要な情報を収集することです。これまでに、教育省、公衆衛生省、国家栄養局等の関係機関へのインタビューを実施し、学校給食や栄養・保健に関する政策動向及び基礎情報収集を行いました。また、アナラマンガ県アバラジャン郡にて自主的な給食を実施している計16校の公立小学校への訪問を実施し、コンポーネントの活動内容策定及び対象校選定を行いました。
コンポーネントの枠組みについては、6月28日に「給食コンポーネント活動戦略決定ワークショップ」を実施し、教育省基礎教育を始めとする関係者との話し合いの上、合意に達しました。

(3)教育省、ドナー関係

1)学校運営委員会(FEFFI)評価・学校補助金支給

先月に顕在化していた、学校運営委員会にかかる外部評価をめぐる問題(注)は、最終的に世銀及びPAPSP関係者、教育省PECチームと13日に会合を行い、教育省側から説明文書が発出されたことによって、解決に向かうこととなりました。また世銀において意見交換会合が行われましたが、これら一連の会合を通して、JICAみんなの学校プロジェクトが、一部従来のツールを使わないなど、他地域とは違ったやり方で試行を行っていること、さらに、介入地域では成果が出始めていること(JICA対象地域のアバラジャン郡172校では学校運営委員会が法的地位を得ている率は100%、世銀が介入しているAnosibe An’Ala学区では全170校のうち、1校も法的地位を得ていない)が良い意味で、強調される機会となりました。本評価については、引き続き、世銀と緊密に連絡を取りつつ、フォローアップを行っていくこととするほか、学校活動計画の最終状況などが明らかになり次第、世銀等ドナーとの情報共有会や現場視察などを開催していきます。

2)EU(PASSOBAプロジェクト)

15日、EUからの求めに応じ、EUのPASSOBAプロジェクトと意見交換会を行いました。EUは、世銀コンサルタントからの薦めでJICAにコンタクトを取った経緯を冒頭で述べ、JICAのアプローチが優れていることが、口コミで広がりつつあることが明らかになりました。EUは、対象地域ボエニー県では、700校中6校しか学校運営委員会が法的に設立されていない現状を踏まえて、JICAの手法に非常に強い関心を持っていることが伺えました。PASSOBAは来年の3月に延長フェーズが終わる予定となっていますが、後継案件等については引き続き情報収集を行い、共同で普及を行えるかどうか探っていきます。

(注)世銀の公共セクター能力強化プロジェクト(PAPSP:Project d’Appuis aux Performances de Secteurs Publiques)の評価において、本プロジェクトが使用していないツールの有無を、学校運営委員会の機能度を測る指標とする点をめぐっての問題。前回の合同調整委員会時に基礎教育局長(DEF)から「アバラジャンでは、プロジェクトで試行しているツールで評価するので問題がない」と明言されていた。

所感

今月は、世銀やEUと意見交換を行い、教育省PECチームが主導で行った世銀・EU支援の活動に多くの課題が残っていることが明らかになりました。前述のとおり、JICAの対象地域では学校運営員会の法的な地位の取得率はほぼ100%であるのに対し、世銀やEUの対象地域ではほぼ0%となっています。今後、プロジェクトは、学校活動計画の実施状況や住民参加の促進、学習の質への貢献などで、成果を上げ、これら指標をドナーや教育省に対して可視化・宣伝していくことによって、プロジェクト目標でもある「参加型・分権化学校運営改善モデルが全国へ普及されるための基盤整備」の達成につなげていきたいと思っています。

活動に関する写真

総括総会モニタリング

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給食コンポーネント活動戦略決定ワークショップ

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