みんなの学校(TAFITA)2017年7・8月の活動

2017年9月25日

今月の主な活動

(1)基礎モデル(学校運営委員会活性化モデル)に関する活動

1)学校運営委員会及び連合の年間活動成果のとりまとめ

プロジェクト開始から1年が経過し、教育省関係者とプロジェクトで必要な情報を収集し、1年間の学校運営委員会による活動成果を取りまとめました。それによると、第1年次対象アバラジャン郡の対象校172校すべてにおいて、学校運営委員会の民主的設立、学校運営委員会の法的地位の獲得、学校活動計画の計画策定(実施率92%)、住民による実施活動各校平均4.6活動、同平均動員額約4万円が確認されました。また、171校(99%)で、年平均138.5時間の校外学習活動が実施されました。一方、学校運営委員会連合の活動の結果は、平均事務局会合回数5回、総会開催数3回、連合の活動計画実施のための動員額(連合平均)は537,340アリアリ(約18,000円)となっています。これらの活動結果は、ニジェールの連合のそれと比べても悪い数字ではありませんが、来年度以降の普及に向けて、より汎用性の高いモデルを追及していきます。

2)学校運営委員会連合総括総会モニタリング

昨年12月から1月にアナラマンガ県アバラジャン郡内に設置された5連合では、2〜3月にかけて活動計画承認連合総会が開催されて以降現在まで、優秀児童・教員への賞与や学校運営委員会活動モニタリング等といった連合活動が実施されてきています。7月7日は連合活動計画総括総会準備のためのワークショップを開催し、以下の点を確認・共有しました。
1)PEC(学校活動計画)の活動内容の確認、問題点の抽出、とりまとめ、
2)リソース管理の徹底、
3)コミュニケーション手段:地区教育担当(ZAP)長を通した学区教育事務所(CISCO)へのレポート提出など
その後、7月及び8月には、5連合で連合活動計画総括総会が実施されました。172対象校に対して166校が連合に参加し、分担金の支払い率は99%(164校)となりました。分担金は、予定していた2,663,000アリアリに対して2,686,700アリアリ(約10万円)が集まりました。全ての連合が3回総会を実施しており、連合事務局の会合も、今年は多くの連合が1月に設立されたにもかかわらず、平均5.6回行われた。教育改善を目指したテーマ別活動(優秀教員・生徒の表彰等)については、平均4.8活動が実施されました。

3)学校運営委員会活動モニタリング体制構築

地区教育担当(ZAP)長会議はモニタリング情報収集の中心として週1で開催されてきています。その会議の中で1時間を学校運営委員会モニタリングに費やすことをルーティン化させるための働きかけを行ってきた結果、定例化されていることを確認しました。

4)学校運営委員会の民主的な設立マニュアル改定ワークショップ

8月17日及び18日、学校運営委員会の民主的な設立マニュアル改定ワークショップを行いました。参加者は、昨年の経験のある県教育局及び学区教育事務所の両学校運営委員会担当官(2名)及びプロジェクトスタッフでした。
主要な変更点は、次の2点です。
1)事務局会長を学校運営委員会の代表とし、総会会長は名誉職としてフクタン長が兼任することを推奨する(マダガスカルの学校運営委員会の法令では、2名の会長(総会会長と事務局会長)がいるが、特に農村部で人材が少ない場所では優秀な会長を2名見つけるのは難しいこと、総会会長と事務局会長の間の責任分担がはっきりしておらず、現場では混乱も見られことなどが理由であった)。
2)新規対象の7学区教育事務所(CISCO)では、2016年の9月頃に学校運営委員会が設立されているため、最初の住民啓発総会で、参加者が昨年民主的に設立されたと判断した場合には、選挙は行わない。

5)学校運営委員会の民主的な設立講師研修

8月23日及び24日に、学校運営委員会の民主的な設立に関する講師研修を行いました。同講師研修の講師は県教育局及びアバラジャン学区教育事務所の学校運営委員会担当官及びローカルコンサルタントが実施し、対象は、アナラマンガ県内の新しい7つの学区教育事務所の行政官35名で、それ以外に、県教育局の行政官9名(うち7名は、去年も研修講師)、去年の対象アバラジャン学区教育事務所の行政官6名(全員去年も研修講師)が参加しました。2日目は現場での校長研修のシミュレーションを行いました。校長に対する学校運営委員会設立研修は9月11日から実施される予定となっています。

(2)応用モデルに関する活動

1)みんなの学校プロジェクト/Pratham経験共有セミナー参加

7月15日より22日まで、インドでみんなの学校プロジェクトとインドの教育NGO Prathamとの経験共有セミナーが開催されました。みんなの学校プロジェクト側は、マダガスカルからプロジェクトスタッフ3名、カウンタパート2名、ニジェールからは、カウンタパート3名とニジェール、マダガスカル兼務専門家2名が参加しました。
今回のセミナーは、プロジェクト活動や、国ごとの政策、活動視察などの構成による一般的な情報共有セミナーからは一線を画し、経験技術の共有を超え、お互いの技術改善を目指す内容構成となっています。マダガスカルでは、Prathamのラーニングキャンプの手法を質のミニマムパッケージ(読み書き)の改善のため、一部導入することを目指し、ミニ・ラーニングキャンプをアバラジャン郡の対象校1校で実施しました。

2)質のミニマムパッケージ(Pratham活動導入)

上記セミナーを受け、8月28日からPrathamのラーニングキャンプ活動をAmbatolampy小学校で開始しました。事前にPrathamの読み書きテスト(ASER)を3年生から5年生までの76名に対して実施し、その後、試行を開始しました。76名の生徒は、3つのグループ(文字、語句、文章&段落)に分かれ、月曜日から土曜日まで朝90分の読み書きの講習を実施しました。読み書き講習は、インドの視察に参加したジョエル県教育局学校運営委員会担当官とジェルマン教育省中央PECチーム課長補佐、質のミニマムパッケージ読み書き計算担当の現地スタッフ2名(リナ、ハンタ)が直接実施しています。座学ではなく、歌や動作を用いた授業を受けることとなり、終始子どもたちは楽しそうな表情を見せていました。さらに床にチョークで書くというのが今までにない経験を楽しんでいる様子でした。
その後、午後は住民ファシリテーターが村落内でフォローアップの活動(読書等)を行いました。同対象校では、昨年度から、学校活動計画(PEC)の一環として、校長の研修を受けた住民ファシリテーターが、村落内で組織的に補習授業を行っていました。今回のラーニングキャンプ活動は、これら住民ファシリテーター数十名を活かしており、読み書き改善活動が、住民を巻き込んで村を挙げて実施されている印象を受けました。同活動は、10日間にわたって実施され、最終日にはASER方式のテストが実施される予定です。

3)学校給食基礎調査

5月より約2か月間実施してきた基礎調査が7月に終了しました。調査の目的は、学校給食コンポーネントの実施計画を策定するための必要な情報を収集することです。これまでに、教育省、保健省、国家栄養局等の関係機関へのインタビューを実施し、学校給食や栄養・保健に関する政策動向及び基礎情報収集を行いました。また、アナラマンガ県アバラジャン郡にて自主的な給食を実施している、計16校の公立小学校への訪問を実施し、コンポーネントの活動内容策定及び対象校選定を行いました。コンポーネントの枠組みについては、関係者と話し合いの上、現時点での活動方針及びポンチ絵にまとめました。
8月には現地コンサルタントを通じ、給食運営のシステム(調理者の役割分担、食料保管状態等)や学校給食設備の規模や質(水回りや台所の状態等)、学校菜園の実施状況について、より詳細な調査を開始しました。これら調査を経て、現状の給食運営の問題・課題を探り、それらを改善していけるよう、学校運営委員会の能力強化を図り、最終的には、自主給食が成り立つ条件を抽出し、その条件をさらに絞り込む形で普及型自主給食モデルを特定しました。具体的には、パイロット活動で、学校運営委員会のライン下に、給食運営に係る小委員会を設立し、より効率的で透明性の高い食材等資源のコミュニティ内調達システムを構築します。同時に、鉄分補給等の栄養改善活動・啓発の実施を模索し、家庭での栄養バランスの良い食事の摂取促進にもつなげる計画です。

所感

(1)プロジェクト1年目の成果と普及に向けた方向性

本文に述べてきたように、プロジェクト1年目の基礎モデル成果について、学校運営委員会、連合の機能度、住民の参加度等、ニジェールのそれに匹敵するような結果が確認されました。同時に、応用モデルでは、ニジェールとセネガルで実績のある質のミニマムパッケージの算数でも、同様の結果が出ているほか、新たに開発した同パッケージの読み書きでも期待できる成果が確認されています。新たに開発している「教育効果の高い学校モデル」に関しては、今までのみんなの学校が開発してきた学習の質の改善に係るモデルの良い点を抽出し統合した上で、さらに教員間の情報共有の強化の要素を加え、より現場に適用性と効率性を高めたモデルに改善していきます。
これらのモデルの今後の普及について、特に基礎モデルについては、外部評価やモデル承認ワークショップ等の活動が予定されていますが、実際には普及への確実なステップはなく、現実の状況に対応した柔軟な普及戦略を模索していくことが必要とされています。特にニジェールやセネガルでの基礎モデル普及の背景にあった世銀のSBM(自立型学校運営)推進の方向性が弱まっているため、マダガスカルでは、先行する両国のような全国普及までのロードマップは描きにくく、より現状に対応した柔軟な対応が求められています。

活動に関する写真

学校運営委員会選挙講師研修

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ラーニングキャンプの試行

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