みんなの学校(TAFITA)2017年9月の活動

2017年10月6日

今月の主な活動

(1)基礎モデル(学校運営委員会活性化モデル)に関する活動

1)学校運営委員会(FEFFI)の民主的な設立に関する研修

今月から、今年から新しく対象となるアナラマンガ県7郡(1459校)の校長に対するFEFFIの民主的な設立に関する研修を開始しました。まず、9月11日のManjakandriana郡での研修を皮切りに、9月12日 Amboidratrimo郡及び9月20日Andramasina郡でも研修を実施しました。去年も研修講師を務めた県教育省事務所行政官、アバラジャン郡教育省事務所行政官の能力が向上していることもあり、昨年と比べると研修の質は上がっている印象を受けました。

2)学校活動計画(PEC)策定・実施・モニタリングに係るマニュアル改定ワークショップ

9月18日及び19日、学校活動計画(PEC)策定・実施・モニタリングに係るマニュアル改定ワークショップを行いました。参加者は、昨年の経験のある県教育省事務所及び郡教育省事務所の行政官(3名)及び再委託先NGO関係者2名、プロジェクトスタッフ3名でした。主な変更点はテストに関するもので、昨年は算数テストのみ実施を行いましたが、今年は算数に加えて読み書きテストを行い、両方のテストに関して、インドの教育NGOのPrathamの手法を活用することとしました。

3)FEFFI連合の民主的な設立に係るマニュアル改定ワークショップ

9月22日、連合の民主的な設立に係るマニュアル改定ワークショップを行いました。参加者は学校活動計画マニュアル同様、県教育省事務所及び地区教育省事務所の行政官(3名)及び再委託先NGO関係者2名、プロジェクトスタッフ3名でした。今年はマニュアルの大きな変更はなかったため、変更点について確認した後は、講師研修のシミュレーションを行いました。

4)学校活動計画及び連合に係る講師研修

9月25日から5日間にわたって、学校活動計画実施及び連合に係る講師研修を実施しました。同講師研修の講師は県教育省事務所の行政官2名、アバラジャン地区教育省事務所の行政官2名及びローカルコンサルタントが実施し、対象は、アナラマンガ県内の新しい7つの郡教育省事務所の行政官39名で、それ以外に県教育省事務所の行政官10名(うち8名は、去年も研修講師)、去年の対象アバラジャン郡教育省事務所の行政官7名(うち4名は去年も研修講師)が参加しました。同研修では昨年同様シミュレーションや寸劇を多用したものとしました。

(2)応用モデルに関する活動

1)質のミニマムパッケージ(Pratham活動導入)

7月にインドで行われた、インドの教育NGOであるPrathamとJICAみんなの学校プロジェクト経験共有セミナーに参加後、ラーニングキャンプ(Learning Camp)の技術を質のミニマムパッケージの改善に生かすために、8月28日からミニ・ラーニングキャンプをAmbatolampy小学校にて実施しました。インドでのセミナーへの参加前から、帰国後はこのミニキャンプを実施することを伝え、現地視察やワークショップを通してラーニングキャンプ技術を習得することを目標としていました。
この試行では、始めにPrathamのラーニングキャンプ型の読み書きテスト(ASER)を3年生から5年生までの76名に対して実施し、その後、試行を開始しました。76名の生徒は、文字(レター)、単語(ワード)、語句&段落(フレーズ&パラグラフ)の3つのグループに分かれ、月曜日から土曜日まで朝90分の読み書きの講習を実施しました。この講習は、インドの視察に参加したジョエル県教育省事務所FEFFI担当官、質のミニマムパッケージ読み書き計算担当の現地スタッフ2名(リナ、ハンタ)が直接実施しました。座学ではなく、歌や動作を用いた授業を行いました。午後は、住民ファシリテーターが村落内でフォローアップの活動(読書等)を行いました。同対象校では、昨年度から、学校活動計画(PEC)の一環で、校長の研修を受けた住民ファシリテーターが、村落内で組織的に補習授業を行っていました。今回のラーニングキャンプ活動では、これら住民ファシリテーター数十名を活かしつつ、読み書き改善活動が、住民を巻き込んで村を挙げて実施されました。同活動は、10日間にわたって実施され、最終日にはASER方式のテストが実施され、結果は以下のようになり、大幅な改善が見られました。

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この結果により、質のミニマムパッケージに大幅にこの手法を活かすこととなりました。

2)質のミニマムパッケージ(読み書き速習)パイロット活動

ミニマムパッケージ(読み書き速習)の対象校が本年10月からは28校増加する(2018年1月からさらに30校が追加予定)のを受けて、14日から3日間講師研修を実施したほか、21日から3日間、ファシリテーター代表研修を実施しました。本ファシリテーター代表研修の講師は、郡教育省事務所の教育顧問7名、県教育省事務所の行政官2名、プロジェクトスタッフが務めました。今回はファシリテーター全員を研修するのではなく、代表各校5名(校長1名、教員代表1名、コミュニティ・ファシリテーター代表3名)、計140名に対して実施し、その後25日から研修を受けたファシリテーター代表は残りのファシリテーターに対してカスケード研修を実施しました。

3)学校給食コンポーネント

学校給食基礎調査

基礎調査結果をまとめ、報告書(案)を作成しました。現在、最終化に向けたコメントのとりまとめを行っています。

ベースライン調査準備

2017年11〜12月に実施するベースライン調査に向け、現在準備を進めています。ベースライン調査は、学校やFEFFIの代表者など限られた対象者に実施する部分と、対象校の1・2年生全員あるいは基準を満たすだけのサンプル数を対象に実施する部分とに分かれます。前者はプロジェクトが直接実施し、後者はNGO再委託により実施します。現在、調査計画、質問票、NGO再委託の公示文書等の準備を進めているところです。

FEFFIに対する研修モジュールの準備

学校給食パイロットプロジェクトの対象5校は、すでに自主給食を実施しており、またPEC研修も受講済みです。他方、現状の自主給食にはさまざまな課題があり、その課題を解決することによって、教育の質改善に寄与できるポテンシャルがあることが明らかになっています。このポテンシャルを引き出すため、プロジェクトは2つの研修モジュールを作成中です。
一つ目は学校活動計画(PEC)に給食活動を統合するための研修モジュールです。これは、学校活動計画を作成する際、FEFFIメンバーから理解を得て、「学校給食委員会を設立し、メンバーを選出する」、「メンバーが学校給食の推進や改善を実現するための詳細計画案を策定する」、「詳細計画案をFEFFI総会で承認する」という活動を含めることを目標にしています。自主給食は、保護者かコミュニティが提供する資源によって成り立っているため、それを推進するためには、より多くの資源を提供してもらう必要があります。この点、学校給食の利点をFEFFIメンバーによく理解してもらうことが不可欠であり、それなしでは自主給食推進は難しい。したがって、本研修モジュールを通じ、FEFFIの理解を得ることが非常に重要なプロセスとなります。
二つ目は、学校給食の推進・改善に特化した、具体的な活動計画を策定するための研修モジュールです。学校給食委員会が設立され、メンバーが選出されたのち、このモジュールを通じ、具体的に自主給食を推進・改善できる詳細計画を策定するための手順を一つ一つ確認するものです。計画案の策定は学校給食委員会が策定しますが、プロジェクトは計画策定のための研修を提供し、能力強化を支援します。

活動計画の見直し

当初の予定では、今学期はすでに自主的な学校給食を実施している5校のみで活動予定だったが、これを変更することにしました。まず、上記のような活動を通じ、持続的な自主給食の実施に必要な環境や条件を抽出します。そのうえで、まだ自主的な学校給食が実施できていないが概ね抽出した環境や条件に適合する学校を特定して、自主給食を開始させるところまでを今学期の到達目標とします。

(3)教育省、ドナー関係

1)教育省大臣との面談

合同調整委員会の開催にあわせ、教育大臣と面談し、プロジェクトの1年次の活動結果と全体の進捗について報告しました。今回の面談では、プロジェクトの成果をアピールできたことが成功でした。その後教育省内部で、なぜJICAのモデルを世銀プロジェクトに導入しなかったのかという話もあったようで、この機会をとらえ、普及資金獲得への最初のステップを築きたいと考えています。

(4)その他

1)FEFFIモデルの検証ワークショップ及び合同調整委員会

FEFFIモデルの検証ワークショップにおいては、基礎モデル(FEFFI設立、PEC活動、連合活動)の成果や教訓を、教育省中央・地方行政官と共有することを目標に開催されました。今回は、成果の指標をとりまとめるだけでなく、優良事例の学校及び連合関係者を会場へ呼び、活動の内容や教訓、成果を実際に語ってもらうこととしました。この関係者の「声」は、成果を関係者に実感させるのに非常に効果があったため、合同調整委員会においても、この手法を使ったところ同様にとても好評でした。 合同調整委員会における議事は、順調に進行し終了しました。焦点は、モデル全国普及の時期や方法でした。

所感

(1)基礎モデル普及に関する動き

将来の基礎モデル普及に向けて、今月は動きがありました。現在実施中の世銀のプロジェクトにおけるFEFFI支援の評価を受け、新プロジェクトにおいてはFEFFI支援を行わないということ、ただしTAFITAによるFEFFI活性化の成果に関する外部評価が行われ、その結果によっては、新プロジェクトの中でFEFFI支援が復活する可能性があることがわかりました。
一方、教育大臣との会合の中で、教育省(少なくとも大臣)は、FEFFI支援が中断されたことを残念に思い、TAFITAのFEFFI活性化モデルを世銀側に紹介し、FEFFI支援は継続したいと考えていることがわかりました。教育省側は、JICA側と相談の上、FEFFI活性化モデルに関する外部評価を実施し、教育省としてのFEFFI活性化公式モデルを確定すると述べた文章を作成し、ドナー側に提示する意向を示しました。このような状況に対し、プロジェクトとしては、TAFITAモデルの成功を印象付けるための世銀と大臣の現場視察を近々に実現するとともに、2019年以降に予定されているFEFFIモデル外部評価の前倒しを検討します。

(2)WDRとマダガスカルでの教育開発の方向性

今年の世界開発報告(WDR:World Development Report)のテーマは学習(Learning)です。この報告書の執筆チームを率いたDeon Filmer氏とHosly Rogers氏には、去年開催したみんなの学校のシンポジウムに参加していただいた経緯もあり、この報告書が発刊されるのを、興味を持って待っていました。報告書の最初の方から、low‐learning trapという言葉が多く使われています。これは、低い学習成果しか挙げられない国々がはまっているtrapのことで、低いアカウンタビリティーと高い不平等性に特徴付けられます。さらに、技術的、政治的な要因が複雑に絡みあい、学習改善のために必要な4要素である教員(Teachers)、学習者(Learners)、学校運営管理(School management)、学校のインプット(School inputs)の方向性が、学習の改善以外に向いているため、なかなか抜け出せないとしています。
このTrapから抜けるためには、1)Asses learning — 正しく学習の質を評価することによって、改善のための活動を正しく特定し、2)Act on evidence — すべての学習者のために学校が機能するように、革新の実践をエビデンスベースで導入し、3)Align actors — 学習を目的とした教育システムが機能するために、技術的・政治的な障害を取り除く、としています。
もっと詳しくこのTrapの全容を知るために、この報告書を熟読したいのですが、現時点でも根本的な問題が、「技術的・政治的」である以上、一プロジェクトが解決できる問題ではないことが容易にわかります。しかし一方、同報告書ではTrap脱出の希望として、Prathamも含めた、学習改善のための革新的手法の存在が上げられ、これらの手法が使われることによって、このTrapから抜け出せる可能性が高まるとされています。
TAFITAはニジェールのスタッフとともに、インドのPrathamとの共有セミナーを通してみんなの学校プロジェクトの質のミニマムパッケージモデル(基礎モデルも含む)の基礎学力改善モデルとしての技術レベルを確認できました。自己採点にはなりますが、Prathamのラーニングキャンプモデルに学ぶ点は多かったものの、同モデルよりも優れている点もあり、今後の改善によっては、マダガスカルや他国の学習の質の改善に大きく貢献できる可能性を確認できました。
現在必要なことは、さらにモデルを改善し、学習の成果を出し、それをエビデンスベースで、学習改善のために必要な上記4要素から分析するなどして、より具体的な形で結果をマダガスカル政府やドナーに提示し、low-learning trapから抜け出せる政治的、技術的問題を解決しやすい環境をつくる手助けをすることと思われます。
マダガスカルが深刻なlow-learning trapにかかっている状態を鑑みれば、これらのアクションのプライオリティは非常に高いですが、モデルの開発や改善に割ける人的・財的リソースは限られており、今後は、その増強か、それが無理なら、プロジェクトの活動プライオリティを変え、人的・財的リソースを集中的にこの部分に投下すべきであると思います。

活動に関する写真

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FEFFIの民主的な設立に関する研修
(シミュレーションの様子)

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学校活動計画及び連合に係る講師研修
(寸劇の様子)

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質のミニマムパッケージのカスケード研修