コロナ禍での第1期供与機材の納入が終わりました

2020年6月30日

リロングウェ市無収水対策能力強化プロジェクト(LiSCaP)では、日常的に実施される無収水削減の活動プロセスを強化するために、4つのDMA(District Metered Area)でパイロット活動を実施し、無収水対策の実施能力強化と無収水の削減活動に取り組みます。そのパイロット活動の実施とOJT実地活動を支えるための供与機材として、第1期では1つめのDMA整備に必要な水道メータや配管資材、配水圧管理や漏水探知のための機材、水道配管の補修・埋設作業のための機材をリロングウェ市水公社(LWB)との協議を通じて決定し、調達を実施しました。
調達機材は、全4回に渡ってLWBに納入され、本邦調達の船便・陸送便にあたる第4回目の最終貨物が2020年6月に到着しました。

今回の業務実施に際し、不安要素があったのは第3回目と第4回目の機材輸送時と納入時でした。というのも、新型コロナウィルス感染拡大によって阻害される懸念があったからです。チーフアドバイザーを含む長期専門家2名の一時帰国と短期専門家の海外渡航制限を余儀なくされ、プロジェクト専門家がLWBに不在になるという事態に陥りました。常時であれば、機材納品にともなってプロジェクト専門家はカウンターパート機関の担当者立会いの下で納入検査を行ないます。ところが、新型コロナウィルス感染拡大による影響はそのような常態を許しません。そのような環境下にあるがゆえに、機材輸送と納入は見送るべきだとする声も一部では上がりました。ただ、機材調達はプロジェクトの進捗への影響、機材調達契約の相手方やメーカー業者への影響、そして何よりもカウンターパート機関の期待感とモチベーションに大きく関わってきます。混乱の中でも物流は機能していて、LiSCaPでLWBとともに協働していく以上、供与を見送るという判断の余地はありませんでした。しかし、プロジェクト専門家が不在の中で、LWB職員が単独で検査を行ない、機材供与を実現するためにはどうしたらよいのか、という課題がありました。

そうした課題を乗り越えることができたのは、LWB職員の意欲の高さと習得の早さ、及びプロジェクト専門家との密なコミュニケーションによるものでした。コロナ禍前の第1回目と第2回目の機材納入時には、プロジェクト専門家はLWB職員とともに納入検査を実施することができました。その活動において、検査手順やその実施方法、機材保管の整理の仕方に至るまで協働で作業をしたことによって、LWB職員の実施経験値と主体性はある程度まで醸成されていました。とはいえ、第3回目と第4回目にあたる機材はLWB職員にとって初めて目にする製品も含まれており、LWB職員自らが単独検査を実施できるかどうかは未知数でした。

そのため、プロジェクト専門家は遠隔からの細かいコミュニケーションで側面支援をし、業務実施への不安と課題を解消することに注力しました。具体的には、検査実施の前にWeb会議を開いて作業手順の周知や共有を図ったり、資料として用意した機材本体とその全付属品に至るまでの梱包明細書(写真入りチェックリスト)を使って、コンポーネントごとの事前確認などを行ないました。その甲斐あってか、LWB職員は単独での検査実施に臨むことに対して自信を深めたようで、プロジェクト専門家も安心して任せることができるようになりました。

こうして、未曾有のコロナ禍による影響があったとはいえ、第1期供与機材全数の納入が無事完了し、第2期におけるパイロット活動が速やかに開始できる体制を確保することができました。

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LWBヤードでのコンテナ貨物荷卸しの様子

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検査実施用の梱包明細書(写真入りチェックリスト)

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チェックリストをもとに梱包箱から慎重に機材を取り出すLWB職員の様子

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熱心に納入検査を行なうLWB職員の様子

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整理整頓された納入検査後の機材保管の様子

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屋根付きヤードの下で操作イメージを膨らますLWB職員の様子