プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)リロングウェ市無収水対策能力強化プロジェクト(LiSCaP)
(英)The Project for Strengthening the Capacity of Non-Revenue Water Reduction for Lilongwe Water Board(LiSCaP)

対象国名

マラウイ

署名日(実施合意)

2017年8月25日

プロジェクトサイト

リロングウェ市

協力期間

2019年6月21日から2024年4月20日

相手国機関名

(和)リロングウェ水公社
(英)Lilongwe Water Board(LWB)

背景

リロングウェ市の人口増加率は3.8%(2018年国勢調査)と、全国平均2.9%(2018年国勢調査)を上回っており、これに伴い水需要量も増加しています。2015年にけるリロングウェ市の水需要量123,211立方メートル/日(2015年国家水資源マスタープラン)は、リロングウェ水公社(Lilongwe Water Board。以下「LWB」という)の生産水量92,441立方メートル/日(LWB Annual Report、2015/2016)を大きく上回っています。このような水需給バランス悪化により、2010年までは24時間であった一日当りの給水時間も、2015年には年には18時間(LWB Strategic Plan 2015-2020)と減少傾向にあります。
マラウイ国政府では、この問題を解決するために「マラウイ国家成長・開発戦略2017-2022(MGDSIII)」におけるの重点分野一つとして「農業、水資源開発、気候変動対策」を位置付け、リロングウェ市の新規水源として大模ダム開発や地下水開発も計画していますが、資金確保等に苦慮しており必ずしも順調には進んでいません。
また、給配水管の施工不良や老朽化による漏水の増加が水需給量をさらに逼迫させる要因となっていることに加えて、水道メータの誤検針や、違法接続等による請求できていない水量も含めた無収水率は、2015年において36%(LWB Strategic Plan 2015-2020)にも及んでいます。このためLWBでは、既存水源水量を最大限効率的に活用するため無収水量の削減を目指し、「LWB Strategic Plan 2015-2020」において2020年までに無収水率を28%に削減する目標を掲げ活動を実施してきています。
しかし、これまでにLWBが実施してきた無収水削減対策は、DMAの構築、水道メータの更新計画の策定、地上漏水にかかる対処療法といった側面だけに留まっており、一時的には無収水率が低減するものの、しばらく期間を空けると無収水率が上昇するといった復元が見られていました。LWBもこの課題を認識しており、より包括的、効果的かつ持続的な無収水削減計画の立案と技術的な能力向上に対する支援を望んでいました。
このような背景から、マラウイ政府はリロングウェ市における水利用効率の改善に向けたリロングウェ水公社の能力強化を目的として、無収水削減計画の作成や、無収水削減に係るパイロット活動・研修等を主な活動内容とした「リロングウェ市無収水対策能力強化プロジェクト」を我が国に要請し、実施の運びとなったものです。

目標

上位目標

リロングウェ市における無収水対策の取り組みが計画的に実施される

プロジェクト目標

リロングウェ水公社の無収水対策能力が強化される

成果

1. LWBの無収水対策に係る計画策定能力が向上する
2. LWBのDMA(District Metered Area(配水小ブロック))における無収水対策実施能力が向上する
3. LWBの無収水対策に係る知見の組織内外への発信・共有能力が向上する

活動

成果1

1. 「中長期無収水削減目標値、および目標達成に向けた3年間のローリングプラン」の作成を行う「NRW削減マネジメントチーム」を編成する
2. 無収水削減計画作成に係るLWBのキャパシティ・アセスメントを実施する
3. リロングウェ市の無収水に係るベースライン/エンドライン調査を行う
4. 各地域(Zone)の現状の無収水率算定方法をレビューし、より正確な無収水率算定方法を提案する
5. 各地域(Zone)のベースライン無収水率を算定する
6. 5で算定したベースライン無収水率に基づき「中長期無収水削減目標値、および目標達成に向けた3年間のローリングプラン」を作成する
7. 各地域事務所は、ローリングプランを実施するための予算申請をする
8. 各地域事務所は、ローリングプランを実施する
9. 各地域事務所の実施状況のモニタリング評価を行い、同結果に基づきローリングプランを更新する

成果2

1. パイロット活動を実施する「NRW削減アクションチーム」を編成する
2. 南部地域事務所の無収水対策実施能力に係るキャパシティ・アセスメントを実施する
3. パイロット活動の対象DMA(4カ所)を選定する
4. 対象DMA(1カ所目)の現況を、既存の図面・顧客台帳等のレビューや現地踏査などを通して把握する
5. 対象DMA(1カ所目)における無収水対策パイロット活動実施計画を作成する
6. 対象DMA(1カ所目)を水理的に分離し、流入部に流量計と圧力計を設置する
7. 対象DMA(1カ所目)に係るベースライン無収水率を確定する
8. 対象DMA(1カ所目)において、国際水協会のWater Balanceに示される「Unbilled Authorized Consumption」及び「Apparent Losses」対策を実施する
9. 上記2.8実施後の無収水率を測定し、対策の効果を検証する
10. 対象DMA(1カ所目)において国際水協会のWater Balanceに示される「Real Losses」対策を実施する
11. 対象DMA(1カ所目)において、上記10.実施後の無収水率を測定し、対策の効果を検証する
12. 上記8.および10.を踏まえ、対象DMA(1カ所目)において実施した各段階の無収水対策のそれぞれについて費用対効果を分析する
13. 上記4.-12.の内容を取り纏めた対象DMA(1カ所目)におけるパイロット活動内容を記録する
14. 上記4.-13.を対象DMA(2~4カ所目)において実施する
15. LWB南部地域事務所は顧客満足度調査を定期的に実施し、結果を記録する
16. LWB南部地域事務所はパイロット活動計画を評価し、その達成度、各セクションの貢献度、教訓等を把握する
17. パイロット活動の実施を通して習得した手法や調査機器の使用方法などを定着させ、他職員に技術普及する効果的な方法を検討する

成果3

1. LWB組織内外に無収水削減に係る取組みを共有する戦略を検討する
2. 無収水削減に係る計画作成の結果(成果1)をLWB組織内外に定期的に共有し、フィードバックを受ける
3. パイロット活動の結果(成果2)をLWB組織内外に定期的に共有し、フィードバックを受ける

投入

日本側投入

1. 専門家派遣(長期2名):チーフアドバイザー/無収水管理、キャパシティ・ディベロップメント/ナレッジマネジメント/業務調整
2. 専門家派遣(短期5名):業務主任者/給配水管布設・修繕、メーター検針/料金請求、漏水探知・管理、顧客対応/広報、機材調達
3. 研修員受入:本邦研修、域内研修
4. 資機材調達:調査用機材、配水管修繕用機材、パイロット活動用資機材、事務機器等
5. その他現地活動費用

相手国側投入

1. カウンターパートの配置:プロジェクトダイレクター、プロジェクトマネージャー、副プロジェクトマネージャー、その他本部および南部地域事務所
2. 施設および機材:事務所、インターネット環境、機材保管場所
3. その他現地活動費用