プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)労働安全衛生行政支援プロジェクト

対象国

マレーシア

プロジェクトサイト

【写真】

クアラルンプール、セランゴール州

署名日(実施合意)

2006年12月15日

協力期間

2007年4月9日から2012年4月8日

相手国機関名

(和)人的資源省 労働安全衛生局

背景

【写真】

1980年代以降の工業化の急速な進展に伴い、マレーシアでは多発する労働災害に対して国家政策レベルの対策が講じられてきました。1990年代当初から現在に至る間にマレーシアの労災事故件数は65%減(社会保障機構、2006年)と大幅に減少しましたが、ILOの労災事故統計データベース(LABORSTA)に見るマレーシアの労働者10万人当りの労災事故死者数は10.8人(2002年)と、米国4人、独国2.9人、仏国3.7人、英国0.7人、日本2.5人と比較し、なお高い水準にあります。先進国に比べ死亡事故率が3倍程度高い状況は、マレーシアの労働安全衛生には改善すべき余地がなお多く残っていることを示しています。この間に労働安全衛生法(1994年)の制定に見られるように関連法令及び企業に対するガイドライン等の整備が進められてきましたが、行政の最先端に立つ安全衛生監督官の検査監督に係る技術能力等の不足により、現場での法執行に実効性が伴わない事態が生じています。また、近年の事故件数の減少にもかかわらず、社会保障機構(SOCSO)の労災補償費は増加の一途をたどっており、障害年金の給付など労災補償制度の維持に影響が出ることを危ぶむ声も出ています。産業振興が今後も急ピッチで進むと考えられるマレーシアにあっては、労働安全衛生状況の好転を図ることは、健全な社会経済を維持する上で不可欠な条件の一つとなっています。

マレーシアにおける労働安全衛生は、安全衛生の効率的促進を図る1992年の国立労働安全衛生センター(NIOSH)の事業開始、1994年の労働安全衛生法制定以降の関連規則等の法制度の整備、同年の工場機械局から労働安全衛生行政局(DOSH)への改組とその後の組織拡充、ILO関連条約の批准など、マレーシア政府が一連の関連施策を長期かつ継続的に実施してきた経緯に示されるように、国策上の優先度が高くなっています。

特にDOSHの組織拡充への政府の努力には顕著なものがあり、近年連邦政府の給与費予算が減少停滞している中で、2005年から2006年にかけてDOSHの技術職員が13%増員されていることは注目に値します。以上の状況に対応し、安全衛生行政強化のためDOSHが策定した戦略計画(2005年-2010年)には、将来にわたり社会的要請に合致する法制の整備、戦略的かつ有効な法執行、安全衛生意識向上の促進の3分野に力を注ぐことが掲げられており、各分野について期間中の実行計画を定めています。この内法執行の強化及び安全衛生意識の向上の分野に対して本プロジェクトの実施が要請されました。

上位目標

マレーシア国の労働安全衛生の状況が先進国並みに改善されること。

プロジェクト目標

労働安全衛生局(Department of Occupational Safety and Health: DOSH)による労働安全衛生行政が建設業と中小企業を中心に改善されること。

成果

  1. 労働安全衛生行政執行の方法や手続きが改善されること。
  2. 建設業と中小企業における安全衛生監督官の検査監督能力が向上すること。
  3. 産業界及び一般に対し労働安全衛生に関する啓発・普及を行うDOSHの能力が向上すること。

活動

1-1
DOSHによる労働安全衛生行政執行の現行の方法及び手続きの検討を行います。
1-2
労働災害及び疾病に関する情報収集のシステム及びその分析手法を改善します。
1-3
企業による労働安全衛生法及び規則の遵守状況を調査します。
1-4
優先分野(建設業、中小企業)に関する検査監督要綱を策定します。
1-5
選定された地域のDOSH事務所においてパイロット・プロジェクトを実施します。
1-6
優先分野に関する検査監督要綱を確定します。
2-1
現行の安全衛生監督官に対する研修プログラムを検討します。
2-2
安全衛生監督官の研修ニーズを分析します。
2-3
上記ニーズ及び活動1-4の成果に基づき、安全衛生監督官のための新しい研修モジュールを策定します。
2-4
上記研修モジュールに基づき、トレーナーズ・トレーニングを実施します。
2-5
安全衛生監督官に対する研修を実施します。
2-6
研修内容を評価し、改善します。
3-1
現行の啓発・普及活動及び資料の内容を検討します。
3-2
企業及び一般市民対象の啓発・普及活動資料の質を改善します。
3-3
企業対象のワークショップやセミナーを開催します。

日本側投入

【写真】

総額約1.3億円
長期専門家1名
短期専門家2名〜5名/年
本邦研修3名〜7名/年
在外事業強化費

相手国側投入

カウンターパート5名、専門家用執務室、事務用備品、秘書、プロジェクト運営経費(研修事業、セミナー、資料印刷製本等)