プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)調停制度強化プロジェクト(フェーズ2)
(英)The Project for Strengthening Mediation System(2nd Stage)

対象国名

モンゴル

署名日(実施合意)

2012年11月5日

プロジェクトサイト

全国(全県の一審裁判所)

協力期間

2013年4月1日から2015年12月15日

相手国機関名

(和)モンゴル国最高裁判所
(英)Supreme Court of Mongolia

背景

モンゴルでは、1990年の市場経済化以降、経済活動の活性化等に伴って増加している市民間のトラブルに対応するために、市民や企業の権利を保障する法制度整備や紛争解決手段の多様化のニーズが高まっており、Millennium Development Goal Based Comprehensive National Development Strategy of Mongolia(2007)等でも、法・司法制度及び関連機関の機能強化が優先課題の一つとなっている。
簡易な事件や話し合いによる解決に適した少額の金銭請求事件や離婚事件等を調停にて解決することで、裁判所の訴訟事件の審理が充実し、また、市民が満足する形で早期に合理的な紛争解決を図ることが可能となるため、調停制度導入のニーズが非常に高い。
「調停制度強化プロジェクト」(フェーズ1)では、モンゴルにおける一般民事および家事事件において調停制度を導入するため、調停の業務フローを策定し、パイロットコートにおいて調停制度を採り入れるとともに、調停人養成トレーナー及び調停人候補生の養成、全国的な調停制度の導入に向けての制度構築等を実施した。2012年5月には調停法が成立し、全国での調停導入に関し、法的な環境も整備されたことを受けて、モンゴル最高裁判所は、調停法が施行される2013年7月までにモンゴル全国の一審裁判所に調停制度を導入すること、制度として定着させることを目指している。この取組はモンゴルにおける司法改革の主要な取組の一つであり、JICAによるフェーズ1の成果と経験を生かした継続的な支援が必要とされている。
フェーズ1において2ヵ所のパイロットコートでの調停制度の試行導入を支援し、2012年5月に実施した終了時評価により、モンゴル側の高いオーナーシップとともに着実な成果が確認されていることに鑑み、調停制度の全国導入を支援する本件新規プロジェクトでも、その効果発現は期待される。
2012年10月に実施した詳細計画策定調査において、モンゴル側での調停制度運営に伴う経常経費(常勤調停人の給与や継続研修の実施費用等)をはじめとする予算措置に向けた取組も確認できたことから、自立発展性の観点からも、本案件の実施は妥当であると結論づけた。

目標

上位目標:

一般民事事件および家事事件等において、モンゴル全国の一審裁判所で調停制度が活用され、紛争解決手段の一つとして定着するとともに、より多くの人々が多様で柔軟な紛争解決手段による便益を享受する。

プロジェクト目標:

一般民事事件および家事事件等に関して、全国の裁判所において調停が実施され、紛争解決手段の一つとして機能する。

成果

1.調停制度の全国導入・運用のために必要な規則、体制、設備等が整備される。
2.調停制度の全国導入・運用のために必要な調停人及びその調停人を養成するトレーナーが計画的に養成されるとともに、裁判官及び裁判所職員等の調停及び関連する紛争制度に対する理解が向上する。
3.全国での調停実施状況のモニタリングを行い、その結果に基づいて必要な調停制度の設計及び実務運用の改善がなされる。
4.調停制度の効用が広く周知され、国民の調停制度に対する認知度が高まる。

活動

1-1 調停法施行にあたっての各種準備活動の計画を策定し、裁判所等の関係機関と協力して策定した計画を実施する。
1-2 調停人委員会(注1)にプロジェクト専門家がアドバイザーとして参加し、同委員会の活動について、必要な提言を行う。
1-3 裁判所や弁護士会等の関係者による調停制度検討ワーキンググループ(以下「WG」という。)を設置する。
1-4 WGにおいて、調停実施に必要な規則、制度の整備を行う。
1-5 調停事務に必要な書類やマニュアル等を作成する。
1-6 WGにおいて、常勤および非常勤の調停人候補者名簿を作成し、裁判所評議会(注2)が同名簿に基づいて常勤及び非常勤の調停人を選任する。
1-7 全ての一審裁判所に調停実施のための調停室その他の設備を設置する。

2-1 WGにおいて、調停人及びそのトレーナーの養成計画(必要人数、頻度等)を策定する。
2-2トレーナー候補者に対するトレーナー養成研修を実施する。
2-3トレーナーが、調停人候補者に対する研修を実施し、全国での調停実施に必要な調停人を養成する。
2-4 裁判官及び裁判所職員に対し調停及び関連する紛争解決制度の研修を実施する。
2-5 適切な連携を図るため、弁護士会調停センター等、官公庁や民間の管轄する調停関連機関に対して、裁判所における調停制度について周知し、必要に応じて協力して活動する。
2-6 WGにおいて、各種研修カリキュラム及び教材を必要に応じて改定する。
2-7 調停人への継続研修を実施する。

3-1 全ての一審裁判所において、裁判官、裁判所職員、調停人が業務フローにしたがって調停業務を実施する。
3-2 各裁判所での調停業務の実施状況モニタリングを行い、その結果に基づき、WGにおいて、制度や業務フロー等の必要な見直しを行う。
3-3 国立法律研究所等と協力して、利用者の満足度についてもモニタリングを実施する。

4-1 WGにおいて、メディア等の活用も含む全国的な広報活動計画を策定する。
4-2 WGにおいて、広範囲の国民に向けた広報用素材を作成する。
4-3 計画に基づき、トレーナーや調停人等の人材を活用しながら、全国にて広報活動を実施する。
4-4 国民の調停制度認知度調査を実施し、結果をその後の広報活動に反映する。

(注1)調停人委員会:調停法で定められた裁判所評議会附属の委員会で、裁判官や弁護士、研究者など5名の委員から構成され、調停人の選考、資格証明書の交付、調停人の養成、再研修等を実施する。
(注2)裁判所評議会:モンゴル国憲法及び裁判所法により、司法の独立を確保するために置かれる、裁判官の選任をはじめとする裁判所の事務の管理を行う機関。

投入

日本側投入:

1.長期専門家:調停制度(1名×2.7年)
2.短期専門家:(2名から3名×7日×2回/年)、(分野:調停技術、調停手続(裁判所における調停事務含む)等)
3.本邦研修:約20名×0.3ヵ月×1回/年
4.供与機材:調停室整備のための設備・備品、調停人研修関連費用(テキスト印刷、修了証書、バッジ等)
5.現地業務費:現地セミナー開催費用、現地スタッフ雇用費用、その他
6.国内支援体制:アドバイザリーグループ(TV会議)

相手国側投入:

1.カウンターパート:最高裁判所、弁護士会
(1)プロジェクトディレクター:最高裁判所長官
(2)プロジェクトマネージャ−:最高裁判所民事部長
(3)ワーキンググループ

2.施設・機材:
(1)首都裁判所内の長期専門家用オフィス
(2)セミナー・WS開催のための会議室・教室
(3)調停室関連設備・機材等

3.ローカルコスト:
(1)モンゴル側関係者の給与
(2)供与機材に関する税関手続費用、国内移動費、保管費用、設置費用
(3)施設・資機材維持管理費用