珍しい機材

2015年10月29日

ウランバートルでは既に2回の雪が降り日本人にとっては秋がないまま冬が来たように思えますが、モンゴルの人たちにとっては今は間違いなく秋なのだそうです。新学期の開始と共に短期専門家として6人の北海道大学の先生方がモンゴルに来られ、教員の指導能力強化のための協力活動を行っています。プロジェクトではこうした人の顔が見える協力を行うとともに獣医学教育に必要な教科書や機器などを供与しています。

機材の選定は教育に真に必要であること、現地の業者がメインテナンスできること、プロジェクト終了後もモンゴル生命科学大学が消耗品を買うことができることなどを考えながら慎重に行っています。学生実習ができるようにと、これまでに家畜の妊娠や臓器の変化などを観察する超音波診断装置、水などに有害な物質が含まれていないかを調べることができる原子吸光分光光度計、動物の臓器などを顕微鏡で観察するために薄く切る機器であるミクロトーム、そして顕微鏡などの機材を供与してきました。

こうした機材のなかで日本からひときわ珍しい機材(?)が送られてきました。価格はあってないような程度ですが、多くの煩雑な手続きを経て、ドライアイスで厳重に保管され飛行機に乗ってきました。その正体は「病原体」。サルモネラなどの細菌、インフルエンザなどのウイルスです。病原体はモンゴルに到着して低温管理下で眠っていましたが、北海道大学から病原体を送りだした迫田先生がモンゴルに来て、元気な(?)病原体を確認しましたので、眠りから覚めた病原体さんたちは今後長い期間にわたり学生の実習に活躍してくれます。なお、病原体の輸送は専門の業者による厳重な管理の元で行われ、モンゴルに到着してからも設備の整った施設のなかで、日本で研究実績のある先生たちによって管理されていますので、外部に広がるような心配はありません。

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インフルエンザウイルスの電子顕微鏡像(写真提供:北海道大学迫田義博先生)

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ヘルペスウイルスの感染による細胞死(写真提供:北海道大学迫田義博先生)