地方獣医師のための病理解剖デモンストレーション

2017年6月27日

本プロジェクトも今年度で4年目に突入し、地方における獣医師のトレーニング活動を本格化させる段階となりました。その一環として、6月16日〜19日、プロジェクトチームは首都ウランバートルから西に約680km離れた場所に位置するバヤンホンゴル県エルデネツォグト村を訪れ社会人獣医師のトレーニングを実施しました。

エルデネツォグト村は人口4,200人の自然豊かな村で、天然温泉の地としても有名です。村人や遊牧民は羊や山羊、ヤクと呼ばれる牛に似た家畜を大切に育てています。厳しい冬があけた春・夏には、村人が美しい大草原で日光浴を楽しむ様子が見られる、そんなのどかな村です。

本プロジェクトのチーフアドバイザーである梅村専門家は、同村の獣医師及びモンゴル生命科学大学獣医学部教員約30名を対象に、馬の鼻疽、炭疽、ブルータング病、小反芻獣疫 (PPR)、口蹄疫、重金属中毒に関する講義をし、子山羊の病理解剖デモンストレーションを行いました。同デモンストレーションでは、梅村専門家が日本で採用されている最も主流な家畜の解剖手法を紹介し、メスの入れ方から骨の切断方法まで細かに解説をしました。実際に内臓を取りだした後は、寄生虫や感染症の見つけ方及び判断基準等を説明した上で、組織検査のためのホルマリン固定の仕方を解説。これにより、村の獣医師達が解剖を行い、ホルマリン固定臓器をモンゴル生命科学大学獣医学部に送ることでさらに詳細な組織検査を行い、より正確な疾病診断が出来るようになることが期待されます。

首都へのアクセスが悪いためトレーニングや教育を受けることが難しい村の獣医師達が、地域で発生する家畜の疾病に関し改めて学習し、病理解剖という実践的技術を体験型で習得することの出来る貴重な機会となりました。

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村の草原で暮らすヤク

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日光浴をする人々

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講義に聴き入る村の獣医師達

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梅村専門家の病理解剖デモンストレーション