2017年11月16日
今回は、10月25日〜11月16日に来訪した永野専門家の活動紹介です。
永野専門家は、モンゴル生命科学大学獣医学部のErdenetogtokh先生とともにモンゴルでは初の試みとなる羊の体外授精に取り組んでいます。Erdenetogtokh先生は約半年間の本邦研修も経験しており、日本で学んだことをモンゴルで再現する段階にきています。
この羊の体外授精が成功すれば、良質な羊の量産が可能となり家畜改良の効率化に貢献することが出来ます。それでは、羊の体外授精の手順を簡単にご紹介します。
まず、羊の卵巣から卵子を採取し、培養器を用いて気相及び温度を体内の環境と近い状態に保ち、卵子の成熟培養をします。
直径120マイクロメートルの羊の卵子を吸い取るための極細ピペットを炎で炙りながら製作。まさに職人技です。
ゴム管の先に細いガラス管をつなぎ、ゴム管から軽く息を吸う方法で卵子を集めとります。
洗浄した卵子を顕微鏡で見てみると…
成熟したきれいな円形になっています!この成熟した卵子に体外受精を施し、1週間待ちます。授精に成功した卵子は、写真のように大きな円形型をしています。
そして授精に成功した卵は、羊の子宮内に移植されます。今回は4頭の羊を対象に移植手術を行いました。
約3時間に亘る手術の末、無事に4頭の羊の子宮への移植が完了しました。この後、4頭の羊は農場へ戻され、妊娠して子宮内で子羊が成長していくことが期待されます。
体外受精卵を移植した羊の出産は来春の予定です!(続報をお楽しみに!)
JICA専門家の技術移転により、モンゴル初の新たな挑戦が行われた20日間でした。安定的かつ効率的な羊の繁殖と改良を実現すべく、Erdenetogtokh先生の試みは続きます。