牛の人工授精(後編)

2018年8月2日

7月1日~6日、繁殖学の技術移転を行うため片桐成二専門家が来訪しました。片桐専門家は、6月に来訪した永野専門家の研修コースを引き継ぐ形で、牛の受精卵の回収と凍結に関する技術指導を行いました(2018年7月19日付けの記事をご覧ください)。これは、モンゴルにおいて食肉用牛の品種改良等に活用される重要な技術移転の一つです。

今回の研修では、前編と同様にモンゴル生命科学大学獣医学部繁殖学研究室のメンバーと、新たに商業農場関係者も加わり人工授精の一連の流れを実習形式で学びました。講師として参加したErdenetogtokh先生達が農場関係者に知識と技術を教える練習にもなりました。これは、今後、Erdenetogtokh先生を中心としてモンゴル生命科学大学獣医学部が受精卵回収と移植の有料サービスを商業的農場に対して実施し、JICAが供与した機材のメインテナンス、研究費等に充てることを念頭に置いた持続可能なモデルを想定しています。本プロジェクトが来年終了を迎えるにあたり、カウンターパートと専門家が活動の継続性を意識して取り組んでいる一例と言えます。

これまでの4年半の間、短期専門家による技術移転と本邦研修を幾度も行い、そしてカウンターパート達が努力を重ねたことで、今回Erdenetogtokh先生を含む計3名が受精卵移植実施者となるに適切な能力水準に達したことが確認出来たことは、プロジェクトとしても大変喜ばしい成果となりました。

一方で、今回行った受精卵凍結の研修では、凍結胚の生存率は33%に留まりました。まだまだ技術水準の向上が必要ですが、モンゴル初の受精卵凍結の試みとしては成功といえます。引き続き、カウンターパート達が人材育成のための指導者として自立していく様子をレポートしていきます!

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講師として活躍するErdenetogtokh先生(写真中央)

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受精卵回収作業の様子

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片桐専門家(写真中央)と研修参加者達