病気の馬との出会い−マダニのお話その3

2017年8月9日

前回のニュースの続きです。ゴビ砂漠でのフィールド調査中、プロジェクトチームはたまたま(研究者曰く)典型的なピロプラズマ疾患に罹った持ち主不明の馬に出会いました。素人目でも病気とわかるくらい瘦せ細った馬は、私たちが近づいても逃げもせず座ったままです。今回のフィールド調査のリーダーで馬の生態にもピロプラズマ病にも詳しいモンゴル生命科学大学のバトゥール教授が、まず馬にペットボトルの水を与えようとしましたが、異物が口にあたるのを嫌がってか手を振り払ってしまい全く飲もうとしません。研究者の1人が逃げないよう顔を押えている間に、バトゥール教授が無理やり口に水を含ませると、ペットボトルの中味が水だとわかったのか、その後は凄い勢いで自ら500mlの水を一気に飲み干しました。よっぽど喉が渇いていたのでしょう。その後は、ピロプラズマ疾患に効く薬をバトゥール教授が注射。研究者2人がかりで点滴を2袋与え皆で馬を立たせると、多少気力が戻ったのか馬が足元の草を啄み始めました。バトゥール教授曰く「薬が効き始める数時間後にはもっと気分が良くなり、水のある場所まで自分で移動できるだろう。」この馬のこの後の運命を私たちは知りませんが、たまたま車の通る道の傍らで動けなり獣医師集団のプロジェクトチームに出会った強運の持ち主なので、きっと今頃は病気から回復し、元気にゴビ砂漠を駆け回っているだろうと信じています。

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たまたま出会ったピロプラズマ疾患で弱った馬

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脈拍や様子を調べる研究者たち

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ペットボトルの水を与えるバトゥール教授(右)

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薬を注射し…

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点滴を与えると…

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立って草を啄み出した!元気になれよォー!