ゴビスンベル県地方獣医師会セミナーでのハプニング

2017年9月28日

8月5日(土)、ゴビスンベル県で開催された地方獣医師会でSATREPSプロジェクトのセミナーを実施しました。

モンゴルでは、全国で活躍する獣医師たちを地域別に2か所に分けて集め、最近の家畜伝染病の動向や新たな技術や知識をより向上させるための会議を毎年実施しています。当SATREPSプロジェクトチームも毎年地方獣医師会に参加し、プロジェクトの研究内容や成果を発表し、原虫病対策への意識を高めてきました。今年は、モンゴル南部に位置するゴビ地区の獣医師たち約150名が、ウランバートルから南へ300キロ程離れたゴビスンベル県の県庁所在地であるチョイルで開催された地方獣医師会に参加しました。当プロジェクトからは日本から横山直明プロジェクトリーダーを迎え、計6名の研究者が地方獣医師会に参加し、プロジェクトの成果を発表しました。

このセミナーでは、あるハプニングが起こりました。セミナーに参加していたチョイルの獣医師が、我々の発表で披露されたトリパノソーマ病の症状によく似た馬がいることに気づき、早速その馬の持ち主である遊牧民に連絡したのです。なんとその遊牧民が、プロジェクトチームに診断してもらおうと、地方獣医師会が終了した後に開催されたレセプション会場にその馬を連れてきたのです!つい先ほど学んだばかりのトリパノソーマ病について早速実地で学べるとあって、これには参加した地方獣医師達も大喜びしました。診断中のプロジェクトチームに質問したり、メモを取ったり等、熱心にトリパノソーマ病について学んでいました。

ウランバートルに戻ってからICTキットを使ってこの馬の血清を調べたところ、トリパノソーマ病であることが確定しました。持ち込まれた馬が牝だったことから、病気を拡散している感染雄がいると予想され、現在この遊牧民の協力を得て調査や治療を行っています。

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セミナーを開催するプロジェクトディレクターのバタチェチェグ教授とプロジェクトマネージャーのバトゥール教授

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診断中のバトゥール教授と実地で学ぶ地方獣医師

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レセプション会場に現れた遊牧民と病気が疑われる馬