「障害児のための教育フォーラム」において発表しました

2015年12月22日

2015年12月21〜22日、NGO Open Society Forum(注)主催「障害児のための教育フォーラム」が開催され、教育文化科学省、国立教育大学、特別学校や幼稚園等の教育関係者、「障害児の保健・教育・社会保障中央委員会」、当事者団体、保護者によるNGO関係者等、多数が集まりました。フォーラム初日には、合計11本の発表と協議が行われました。本プロジェクトからも、日本におけるインクルーシブ教育システム構築と大阪の事例について紹介を行いました。

本プロジェクト及び事前調査(「モンゴル国特別支援教育にかかる情報収集・確認調査」「障害児支援・教育改善プロジェクト詳細計画策定調査」)を通じ、モンゴルでは「インクルーシブ教育」の概念について十分な議論が行われていないという課題を把握しています。そこで今回の発表では、モンゴルにおけるインクルーシブ教育の在り方を検討する一助として、まず、モンゴルにおける特殊教育からインクルーシブ教育への移行を国際的な潮流とともに振り返りました。その後、日本におけるインクルーシブ教育システム構築を紹介しました。さらに大阪にて30年以上にわたり実践されてきた障害のある子どもとない子どもが通常学級にてともに学ぶ取り組みについて紹介しました。

モンゴルではウランバートルにある6つの特別学校、いくつかの学校に設置されている特別学級やノンフォーマル教室が障害のある子どもたちの主な学びの場となっています。けれど、各地での取り組みを丁寧に見ていくと、通常学校の通常学級が障害児を受け入れている事例も見受けられます。以上のことから、特別支援教育の歴史があること、その一方で、一部の地域や学校の努力により通常学校でも障害児が学んできた事例があるという点において、モンゴルと日本には類似性があると言えるでしょう。
特殊教育とインクルーシブ教育という概念の最も大きな違いは、改善すべき対象を誰/何とするかです。特殊教育では、変わるべきは個人(障害児)であり、身体的、知的あるいは精神的機能を改善することに主眼が置かれます。一方、インクルーシブ教育では改善されるべきは障害児ではなく、「障害児を受け入れない教育」です。多様な子どもを受け入れ適切な教育を提供することを追求するプロセス自体が重要です。その点に留意して、モンゴルにおけるインクルーシブ教育の在り方の検討を続けて欲しいと思います。

(注)世界的な投資家George Soros氏が1979年、アメリカに設立したOpen Society Foundation(外部サイト)を母体とするNGO。モンゴルに設立されたOpen Society Forumは、政治、経済、社会政策に対して主に啓発活動を行っている。

【画像】