2016年3月5日
モンゴルの特別学校は、ウランバートルに6校(視覚障害対象1校、聴覚障害対象1校、知的障害対象4校)が設置されているのみです。地方で生活する障害のある子どもたちは、通常学校に学びの場を求めることになります。障害のある子どもたちの就学促進において、通常学校は大きな役割を担うことが期待されています。
通常学校が障害のある子どもを一人でも多く受け入れられるようになるためには、学校管理職や教員の意欲・関心を高めること、指導に関する一定の能力と自信を身に付けることが不可欠と考えられます。モンゴルでは、教職員の現職研修をウランバートルにある教員研修所が実施しています。プロジェクトでは、教員研修所が実施する各種現職研修の中に、障害のある子どもたちの教育に関する研修を組み込んでいきたいと考えています。
そこで3月初旬、教員研修所が主催する通常学校校長を対象とした研修を1日延長し、障害のある子どもの教育に関する講義や実習を行うことを提案し、同研修所の専門家と共に実現させました。
当日は、地方の通常学校校長25名が出席しました。初めに、各地域の現状を確認するグループワークを行ったところ、各学校に一定数の障害のある子どもたちが就学している一方、教員の指導法や環境の整備に困難を抱えているという現状が明らかになりました。その後、教育省専門家が障害児の教育に関する政策・方針について説明、教員研修所専門家がナレイハ区(ウランバートル市の郊外区)において実施されているインクルーシブ教育推進の取り組みを紹介、知的障害対象特別学校(注)学習マネージャーたちが各学校での具体的な教育実践について写真を交えて解説しました。また、プロジェクト専門家が、各障害種の特性とそれに応じた指導方法、日本におけるインクルーシブ教育の事例についての講義を行いました。
参加者に行ったアンケートの主な結果は以下のとおりです。
Q1 | 本日の研修は役に立ちましたか? | 大変役に立った(25) | まあまあ役に立った(0) | 役に立たなかった(0) |
Q2 | 今後もこのような研修があったら参加したいですか? | 是非参加したい(19) | 参加しても良い(6) | 参加したくない(0) |
Q3 | このような研修にあなたの学校の教員を参加させたいですか? | 是非参加させた(21) | 参加させても良い(3) | 参加させたくない(0) |
Q4 | 今後、どのようなテーマの研修が必要だと思いますか? |
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本活動を通じて、通常学校の教員にも障害のある子どもの教育に関する研修へのニーズがあることが明らかになりました。今後も教員研修所との連携を深め、通常学校が障害のある子どもたちに学びの場を少しでも提供できるように取り組みを続けてまいります。
(注)日本の「特別支援学校」に相当する。