特別学校4校にて研究授業を実施しました

2016年3月29日

プロジェクトでは、これまで知的障害や肢体不自由、発達障害のある児童生徒が通う特別学校(注1)4校にて勉強会を実施してきました。一連の勉強会では、各学校1名の対象児を選び、対象児のための「個別教育計画」を策定しました。その後、対象児が所属するクラスにて研究授業を行うための「指導案」を作成しました。

モンゴルの特別学校でも、学校ごとに「指導案」のフォーマットがあります。しかし、そのフォーマットには、発達度合いの違う子どもたちが集まったクラスで授業をするための「目標」や「個々の配慮」、「教員の手立て」等を書く欄がありませんでした。そこで、プロジェクトでは新しいフォーマットを提案し、勉強会ではこの新フォーマットを使用して指導案を作成しました。
対象児の担任を含めたワーキングチームが各学校で結成され、個別教育計画の目標と指導の手立てに沿った指導案となるよう、全員で協議をしながら進めていきました。一度出来上がった指導案に沿って、模擬授業も行いました。模擬授業では、ワーキングチームの教員が子ども役となり、気付いた点や改善すべき点を挙げました。教員たちは、集団活動の中でどのように個々の教育目標達成のための指導をしていくかについて協議をし、重度の子どもの活動と教員の働きかけ方などについて協議をしながら、指導案をよりよいものにしていきました。
例えば、算数の最初の指導案は、習熟度の異なる子どもたちの活動がひとまとめに書かれていて、他の教員が見た時にどのような授業になるのかイメージがしづらいものでした。プロジェクト専門家からのアドバイスや模擬授業でのコメントなどを受けて、子どもたちを習熟度別に3グループに分け、同じ「引き算」をテーマにしつつも、各グループの実態に応じた課題に取り組むような指導案に修正しました。
研究授業当日は、特別学校の教員のみならず、近隣の通常学校の教員やコアグループ(注2)の一部のメンバーも授業を観察しました。研究授業の後は、授業者と観察者、プロジェクトチームによる協議会が開催され、授業のよかった点や改善点などについて意見交換が行われました。
特に通常学校の教員には、特別学校での授業を初めて見る人も多く、工夫された教材や個々の発達段階に応じた教員の働きかけが参考になったという声が聞かれました。授業者となった担任からは、今回の指導案では教員と子どもの活動を分けて書いたために指導がしやすかった、個々の課題に合わせた教材を作ることができたなどの感想がでました。

モンゴルの学校は6月から9月まで夏休みのため、勉強会はこの研究授業で一区切りを迎えました。2016年9月に勉強会を再開予定です。次回の勉強会では、教員たちが一人ひとりの教育ニーズに応じたより良い授業ができるよう、子どもの発達に関する講義や教材作成の実習を取り入れる予定です。

(注1)日本の「特別支援学校」に相当する。
(注2)プロジェクトの実施主体であり、同分野の中核人材から成るグループ。教育省担当者、教育研究所(カリキュラム作成担当)、教員研修所(現職教員研修担当)、国立教育大学特別なニーズ教育コース(教員養成担当)、ウランバートル市の教育文化局の当該分野専門家及び特別学校4校から成る。

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1.新フォーマットを使った最初の指導案づくり

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2.最初の指導案を使った模擬授業

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3.教材づくり

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4.研究授業

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5.観察者は別室でビデオ映像をライブで視聴

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6.研究授業後の協議会