母子健康手帳に関する研修を実施しました

2016年5月13日

2016年5月12〜13日

2009年5月13日は、モンゴル国政府が「障害者の権利に関する条約」を批准した日であり、モンゴルでは「早期発見の日」という記念日となっています。障害を早期に発見できれば、早期に発達支援を開始でき、障害による困難を軽減したり、二次障害を防いだり、保護者の孤立を防ぐこともできます。モンゴル国人口開発社会保障省は、5月13日に向けて、保護者や関係機関の障害の早期発見に対する意識を向上させたいと考えていました。そこで、プロジェクトでは、意識の向上を促すテレビコマーシャルの制作・放送と母子健康手帳に関する研修を実施することにしました。

日本では、母子健康手帳を用いた定期健診が、障害の早期発見に大きな役割を果たしています。日本の母子健康手帳はモンゴルにも紹介され(注)、現在ではモンゴル全国に普及しているのですが、障害の早期発見という文脈においては十分活用されているとは言えないようです。母子健康手帳の正しい活用を促すとともに、障害の早期発見・早期介入という観点からどのような課題があるのか把握することが今回の研修の目的でした。プロジェクトのパイロット地域であるバヤンゴル区全23ホローの保健センターから1名ずつ(家庭医)、障害児の保健・教育・社会保障中央委員会及び支部委員会、バヤンゴル区の保健センターの担当者、合計29人を対象としました。

モンゴル国保健・スポーツ省、国立母子保健センター、ウランバートル市保健センター等から講師を招き、以下のような講義を行いました。

  • 母子健康手帳の歴史、意義
  • 母子健康手帳の内容
  • 妊産婦に対する注意事項
  • 新生児に対する注意事項
  • 身体測定時の注意
  • 子どもの発達を観察するポイント

講義後、プロジェクトの専門家が、モンゴルにおける障害の早期発見及び発達支援体制構築に向けた参加者の意見を聴取しました。参加者からは、以下のようなことが聞かれました。

  • 母子健康手帳は障害の早期発見に役立てられると思う。
  • 現在の母子健康手帳には、保護者が子どもの発達を確認する欄がある。しかし、担当の家庭医は、保護者が母子健康手帳をきちんと記載しているかを確認するに留まり、発達の遅れがあっても、助言を行うことができていない。
  • 発達の遅れが見られた場合の対応方法について、母子健康手帳に記載してはどうか。
  • 医療の現場と教育の現場が分断されないよう留意しなければならない。
  • 「障害児の保健・教育・社会保障支部委員会」は、様々な分野の専門家で構成されているので、様々な団体に発達支援への協力を求めることができるはずだ。いわば「橋」の役割を果たしていくべきである。

プロジェクトでは引き続き、モンゴルの既存の制度を活用しつつ、障害の早期発見・早期介入のための体制を整備するよう努めてまいります。

(注)JICA草の根技術協力事業「ボルガン県ボルガン市第3地区における『母と子のための』地域ぐるみの健康まちづくりプロジェクト」にて作成された。

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