ポーテージ早期教育プログラム相談員養成セミナー開催

2017年8月30日

「指で砂に円を描くという活動から始めて、次はクレヨン、最後に鉛筆を持って描くという活動にしたらいいんじゃないかしら。」
「柔らかい芯の鉛筆にしたら、描きやすいと思う。」
ポーテージ早期教育プログラム相談員養成セミナーのグループワークでは、発達に遅れや偏りのある子どもたちの発達をどのように支援していくかについて、参加者が活発に意見交換を行っていました。

ポーテージ早期教育プログラムとは1972年にアメリカのウィスコンシン州ポーテージにて誕生したプログラムです。相談員が発達に課題のある子どもの家庭を訪問し、チェックリストを使用してアセスメントを行い、親の希望を聞きながら取り組む課題を特定し、家庭での指導を支援するものです。特殊な用具・キットを用いず、身の回りにあるものを使用して発達支援が行えることから、35カ国語以上に翻訳・翻案、活用されています。

本プロジェクトでは、認定NPO法人日本ポーテージ協会が20年以上に及ぶ臨床経験や研究成果を踏まえて開発した「新版ポーテージ早期教育プログラム」をモンゴルに紹介しました。2016年9月から半年間、モンゴル自閉症協会及びモンゴルダウン症協会の会員家族の協力を得て試行を行い、このたび、8月28〜30日にウランバートル市にて相談員養成セミナーを開催しました。

セミナーには、労働・社会保障省傘下の「障害児の保健・教育・社会保障委員会」、バヤンゴル区及びフブスグル県の同支部委員会、モンゴル国立教育大学、第10特別幼稚園、第186幼稚園、第249幼稚園、リハビリテーション教育・職業センター、バヤンゴル区保健センター、障害児の親の会、自閉症協会、ダウン症協会、その他の関係者約40名が参加しました。

参加者は講義を通じてポーテージ早期教育プログラムの理論的な背景、構成、指導の進め方を学んだ他、各グループで1人の子どもを想定し、その子どものケースについて、課題分析を行う実習にも取り組みました。セミナーの最後には、各参加団体が今後、どのようにポーテージ早期教育プログラムを実施していくかについて発表しました。「9月の新学期から、まず1人の子どもを対象に実施してみたい」「平日は幼稚園で指導を行うが、週末は親や家族に指導をお願いし、月1回、親と面談する機会を設けたい」など、具体的な計画が聞かれました。

今後、3ヵ月ごとにポーテージ早期教育プログラム実践者間の共有会を開催し、実践する中で生じた課題の解消や好事例の紹介を通じて、相談員の技能向上に努めていきます。また、障害や発達に遅れのある子どもの発達支援のツールとして、同プログラムを広く活用していくことができないか関係者と協議を重ねていきます。

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認定NPO法人日本ポーテージ協会会長・常務理事による講義

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グループワーク「課題分析」の様子

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労働・社会保障省人口開発局長による閉会の挨拶