プロジェクト概要

プロジェクト名

障害児のための教育改善プロジェクト

対象国名

モンゴル

署名日(実施合意)

2015年4月10日

対象地域

ア)診断・発達支援モデルのパイロット地域:ウランバートル市バヤンゴル区およびフブスグル県
イ)教育改善モデルのパイロット校:知的障害を対象とする特別学校4校および通常学校10校(ウランバートル市8校およびフブスグル県2校)を選定

協力期間

2015年8月1日から2019年7月31日

関係官庁・機関

ア)教育・文化・科学・スポーツ省 教育政策局(障害児教育を担当)(旧:教育文化科学省 戦略政策計画局)
イ)労働・社会保障省 人口開発局(障害児の診断・発達支援を担当)(旧:人口開発社会保障省 人口開発政策実施調整局)
ウ)障害児のアセスメント、発達支援、教育に従事する公的機関職員

  • 教育・文化・科学・スポーツ省 教育政策局 特別なニーズ教育担当官
  • 教育研究所 特別なニーズ教育カリキュラム担当官
  • 教員研修所 特別なニーズ教育研修担当官
  • モンゴル国立教育大学 特別支援教育コース教官
  • 労働・社会保障省 人口開発局担当官
  • リハビリテーション研修職業センター所長、担当部局職員

エ)「障害児の保健・教育・社会保障委員会」(労働・社会保障省傘下)

  • 「障害児の保健・教育・社会保障委員会」メンバー
  • パイロット地域(バヤンゴル区/フブスグル県)の支部委員会メンバー

オ)パイロット地域(バヤンゴル区/フブスグル県)教育文化局 障害児のアセスメント、発達支援、教育担当職員

背景

モンゴル教育文化科学省(現 教育・文化・科学・スポーツ省)の統計によれば、2013-2014学年度に初中等教育を受けている497,022人に対し障害児数は16,197人(注1)、これらの子どもたちはウランバートルに設置されている特別学校(注2)もしくは通常学校で学んでいる。就学できていない障害児の人数は正確には把握されていないが、2004年に実施された調査では7〜18歳の障害児6,713人のうち2,920人(約43%)が「学校で全く学習をしたことがない」と回答している(注3)。

機構が2013年に実施した「モンゴル国特別支援教育にかかる情報収集・確認調査」によると、障害児の教育に係る主な課題は以下のとおりである。

教育へのアクセスに関する課題
  • 障害の把握が困難であること
  • 医療、教育、福祉面からの包括的な発達支援が不足していること
  • 就学先が不十分であること(特別学校は6校のみ、通常学校は就学を拒否することも多い)
  • 保護者・地域社会の障害に対する理解が不足していること
  • 保護者の就労が困難となり貧困に陥り易いこと
  • 道路、公共交通機関が未整備なため通学が困難なこと
教育の質に関する課題
  • 教育内容が各自のニーズに合致していないこと
  • 教員の指導力が不足していること
  • 1クラスあたりの子どもの人数が多いこと
  • 障害児を指導する教員のモチベーションを向上させる仕組みがないこと
  • 教材、機材、施設が不足していること

これらの課題に対し、モンゴル国政府は、障害者が障害を持たない人と等しくあらゆる機会を得られるよう法制度の整備に努めている。教育へのアクセス改善に関しては、2014年6月に「障害児の保健・教育・社会保障委員会」が人口開発社会保障省(現 労働・社会保障省)の傘下に設置され、現在、同委員会が障害児のアセスメントに係る各種ツール、発達支援計画作成ガイドラインの開発に取り組んでいる。教育の質改善に向けても、特別学校の授業時間数、カリキュラムや教科書が策定された他、モンゴル国立教育大学に当該分野に係る1年コースが設置された。

このような状況を受け、さらなる障害児の発達支援、教育改善を目的として、2015年8月より「モンゴル国障害児のための教育改善プロジェクト」が開始された。

(注1)教育科学省(現 教育・文化・科学・スポーツ省)「初中等教育機関の2014-2015学年度の統計情報」による。
http://www.meds.gov.mn/BDBsta2015(2015年5月20日閲覧)
(注2)障害のある子どもを対象とした、日本の特別支援学校にあたるもの。
(注3)Ministry of Education, Culture and Science, UNICEF “Kugjliin Berkhsheeltei Khuukhduudiin Nukhtsul Baidliin Talaarkh-Zuraglaal”(『障害児の状況について‐素描2005年』), Ulaanbaatar, 2005.

目標

上位目標

すべての障害児がニーズに合った発達支援・教育サービス(注4)を受けられる。

(注4)障害児一人一人の特性・ニーズに配慮した行政サービス(医療・社会福祉)の提供、障害児および保護者が希望する就学先(特別学校、通常学校)で自立のための教育活動が実施されることを指す。

プロジェクト目標

障害児に対する診断・発達支援・教育のモデル(注5)が構築される。

(注5)パイロット地域/学校において、障害児の診断・発達支援・教育実践のためのツール開発および実践体制の構築を指す。

成果

1.パイロット地域において、関係機関(注6)の障害児に対するアセスメント・発達支援を実施する能力が強化される
2.パイロット校において、関係機関の障害児(知的障害を伴う)へ質の高い教育を提供する能力が強化される
3.ミニ・プロジェクト(注7)により、障害児のニーズに合った様々な教育形態の効果が検証される
4.成果1〜3の関係者間での経験共有、および国レベルの制度、政策への反映が行われる

(注6)2.プロジェクトの概要(7)関係官庁・機関 ウ)エ)オ)を指す。
(注7)障害児のニーズに応える教育改善策を、小規模なパイロット活動として行う(なお対象は知的障害に限定しない)。一回のミニ・プロジェクトの予算は数十万円程度、実施期間を6か月〜1年未満とし、プロジェクト期間内に複数回実施する。

活動

成果1に関する活動

1-1.パイロット地域を選定する
1-2.障害児を対象としたアセスメント・ツール(注8)及び発達支援を見直し、改善する
1-3.障害児の保健・教育・社会保障委員会及びパイロット地域の支部委員会を対象に、アセスメント及び発達支援に関する研修を実施する
1-4.パイロット地域の「障害児の保健・教育・社会保障委員会」がアセスメント及び発達支援活動を実施する(保護者を対象とした広報活動も含む)
1-5.活動1-4.を見直す
1-6.「障害児の保健・教育・社会保障委員会」の活動以外に、就学前健診や療育の実施可能性について検討する
1-7.関係機関が個別に収集している障害児個々に関する情報を管理するメカニズムを検討する

成果2に関する活動

2-1.パイロット校を選定する
2-2.コアグループ(注9)を結成する
2-3.コアグループが従来の発達アセスメントのツール、個別教育計画、教育実践を見直し改善する
2-4.コアグループとパイロット校教員が改善されたツールを使用し、質の高い授業を実施できるように研修を実施する
2-5.パイロット校教員が障害児を対象とした個別教育計画を作成し、その計画に基づいて授業を実施する
2-6.活動2-5.を見直す
2-7.個別教育計画の作成方法についてマニュアルを開発する
2-8.障害児(知的障害を伴う)を対象とした教育実践事例集を作成する

成果3に関する活動

3-1.「ミニ・プロジェクト」として障害児(すべての障害種を対象とする)のニーズに合った様々な教育改善策を計画する
3-2.「ミニ・プロジェクト」を実施する
3-3.「ミニ・プロジェクト」を評価する

成果4に関する活動

4-1.教育関係機関に対して、成果1〜3の経験を共有するセミナーを開催する
4-2.通常学校での障害児の受け入れを促進するため、通常学校の管理職に成果2の経験を紹介する
4-3.教員養成課程のカリキュラム(特別なニーズ教育コース及び通常コース)に成果2の経験を反映させる
4-4.現職教員研修に成果2の経験を反映させる
4-5.特別なニーズ教育に関する学校カリキュラムに成果2の経験を反映させる
4-6.障害児に対するアセスメント、発達支援、教育を促進するためのキャンペーンを実施する

(注8)障害児が学校現場で適切な教育支援を受けられるよう、医学的・心理学的な見地から子どもの現在の能力および教育的ニーズを評価するツールを指す。モンゴルの既存のアセスメント・ツールを参考に、日本の経験を踏まえながら発展・充実させる。
(注9)プロジェクトの実施主体であり、同分野の中核人材から成るグループ。教育・文化・科学・スポーツ省(就学前・初等教育担当、特別なニーズ教育担当、生涯学習担当、カリキュラム担当)、労働・社会保障省(「障害児の保健・教育・社会保障委員会」教育担当)、ウランバートル市教育局、教育研究所(カリキュラム作成担当)、教員研修所(現職教員研修担当)、国立教育大学特別なニーズ教育コース(教員養成担当)及びパイロット特別学校で構成している。

投入

日本側投入

1.専門家派遣(アセスメント、特別支援教育他)
2.本邦研修
3.プロジェクトで作成された成果物(案)の印刷や配布
4.成果物に係る翻訳費用(日本語-モンゴル語)
5.成果3のミニ・プロジェクト実施費用
6.プロジェクトオフィスの資機材

モンゴル側投入

1.カウンターパートの配置

  • 教育・文化・科学・スポーツ省 教育政策局
  • 労働・社会保障省 人口開発局

【成果1】

  • 障害児の保健・教育・社会保障委員会(バヤンゴル区およびフブスグル県の支部委員会)
  • リハビリテーション研修職業センター

【成果2-4】

  • 教育研究所
  • 教員研修所
  • モンゴル国立教育大学
  • パイロット地域(バヤンゴル区およびフブスグル県)の教育文化局
  • パイロット校教員(特別学校4校および通常学校10校)

2.カウンターパートの給料、謝礼、旅費等

3.プロジェクトにより作成され、モンゴル国政府に承認を得た成果物の印刷および配布

4.パイロット地域以外の関係者および関係機関に対するセミナー等の情報提供/プロジェクトの普及

5.水道代・電気代込みのプロジェクトオフィスの提供