病院の運営基盤強化に向けて、オンライン研修を実施

2020年9月25日

日本モンゴル教育病院(日モ病院)の運営体制の強化に向けて、プロジェクトでは事務部門のスタッフを対象に財務管理および物流システム管理(SPD)にかかる研修を実施しています。

日モ病院が今後も持続的に質の高い医療サービスを提供していくためには、医師や看護師などの医療従事者の能力向上に加えて、財務管理や資機材の調達・管理等に係る事務部門が適切に機能することも非常に重要です。

これまでプロジェクトでは、本邦研修や現地研修を通じて、日本の大学病院を例に病院運営に関する規則や実施体制について指導を行ってきましたが、実務経験者がいない、あるいは人事が安定しないことなどから、知見が蓄積されず運営基盤が脆弱な状態にありました。今後、外来診療に加えて、病棟・手術部門・救急医療など診療サービスの拡大が計画されており、より広範囲で精緻な運営管理が求められることから、プロジェクトでは関係する事務部門を強化するため、継続的に研修を実施することとなりました。

2020年8月11日に実施した「第1回財務研修」(全4回)では、徳島大学における財務会計制度について紹介しながら、モンゴルの法制度や日モ病院の組織体制に合わせてどのように適用させていったらよいか、議論と検討を重ねました。第2回の同研修では、契約手続きや発注・検収、支払・入金管理、資産管理など具体的な実務について、第3回研修では、人事異動を伴う組織体制における担当職員の責任・権限の範囲と能力強化について、実際に運用するうえでのモンゴル側の疑問を一つ一つ確認し、適用できるよう助言を行いました。第4回研修は、リスクマネジメントを主題に内部監査、内部統制による改善プロセス、また評価までの目標・計画サイクルの管理に触れ、日モ病院の中期計画を基とした年次計画の位置づけについて、今後の作業にかかる方向性を協議する場となりました。

各回の研修の終わりには受講者よりアンケートを提出してもらい、研修で触れた個々の課題に対する有効性と日モ病院での適用性を確認しています。この結果から、日モ病院の課題を把握し、さらに補足して支援・教授すべき内容を検討し、今後の技術指導に活かしていきます。

医薬品・医療材料・消耗品等の院内における物流システムに関しては、2020年7月から8月にかけて「SPD研修」を全3回実施しました。9月には内科の入院病棟で患者の受入れを始めるため、各部署それぞれで準備を整える必要があります。研修では、物品の購入から納品、検品、保管、他部署への配送方法など、現在日モ病院で実践されている手順を確認しつつ、より効率的で健全な運営を図るための方法や工夫について助言しました。病棟のオープン後も、引き続き実施状況を確認しながら問題点を洗い出し、日モ病院に合った物流システムの構築を目指します。

プロジェクトでは、このように相互に議論する機会を重ねることにより、業務を担当する本人が自分たちの課題に気づき、解決方法を考えるきっかけになることを期待しています。

新型コロナウイルスの影響により現場での直接指導が叶わない状況が続いていますが、プロジェクトではオンラインツールを活用してモンゴル側と密にコミュニケーションを図り、コロナ禍の現状の中でこその新しい取り組みを行っています。いずれも、日モ病院の発展的、安定的な病院運営に寄与すべく引き続き支援していきます。

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モンゴル側の参加者の様子

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オンライン画面上の参加者の様子