プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)日本モンゴル教育病院運営管理及び医療サービス提供の体制確立プロジェクト
(英)Project for the Establishment of Hospital Management and Medical Services at the Mongolia-Japan Teaching Hospital

対象国名

モンゴル国

署名日(実施合意)

2016年9月23日

プロジェクトサイト

首都ウランバートル市(約134万人(注1))

(注1)モンゴル国家登記・統計庁(2015)

本事業の受益者(ターゲットグループ)

1)直接受益者:MNUMS、日モ病院
2)間接受益者:ウランバートル市民

協力期間

2017年3月26日〜2022年3月25日

総事業費(日本側)

5億円

相手国機関名

教育・文化・科学省戦略政策計画局、MNUMS

事業の背景と必要性

(1)当該国における保健セクターの開発実績(現状)と課題

モンゴル国(以下、「モンゴル」という)の乳児死亡率(出生千対)は2005年の34.9から2015年では19.0へ、妊産婦死亡率(出生十万対)は95から44へそれぞれ減少(注2)するなど国全体の基礎保健指標は改善している。しかしながら、地方で働く医師をはじめとする医療従事者の質の低さ、及び地方における医療機材設備の未整備等を背景に、地方の一次及び二次医療サービスの向上が保健セクターの課題となっている。これに対しモンゴル政府は医療従事者の能力強化をはじめとする様々な政策的努力を進めているが、卒後研修体制や研修プログラムをはじめとする教育体制が十分に整備されていない。
このような課題の解決に向け、我が国は日本モンゴル教育病院(以下、「日モ病院」という)を建設(104床)するための無償資金協力(2014年〜2019年)を実施している。同病院は医学部、医療技術学部(看護学科、助産学科、臨床検査学科等を含む)を有するモンゴル唯一の医療系国立大学、モンゴル国立医科大学(Mongolian National University of Medical Sciences。以下、「MNUMS」という)を運営母体としている。日モ病院は将来的に保健人材の卒前・卒後研修拠点となると同時に、昨今増加傾向にある非感染性疾患(Non-Communicable Diseases。以下、「NCDs」という)である脳血管疾患や悪性腫瘍などに対応できる高次医療サービスの提供拠点として、モンゴルの医療サービスの向上に貢献することが期待されている。しかしながら、モンゴル国内でも教育病院の建設は今回が初めてであることから、運営母体であるMNUMSは教育病院の運営経験がない。従って、日モ病院が教育病院としての役割を果たすためには、まず総合病院として高い水準の運営管理、及び質の高い医療サービスを提供する体制を整備する必要がある。

(2)当該国における保健セクターの開発政策と本事業の位置づけ

「2012年〜2016年におけるモンゴル国政府のアクションプラン」では、「健康で強いモンゴル市民」という目標の下、質の高い診断・治療を受けるための環境整備が明記されている。本事業は日モ病院の医療サービス提供体制の整備を支援することから、モンゴルのアクションプランの趣旨と合致している。また、2016年2月に承認された「モンゴル持続可能な開発ビジョン2030」の重点項目「持続可能な社会開発」における「効果的で質が高く、利用しやすいヘルスケア・システム」に向けた取り組みとして、診断サービスへのアクセス向上やNCDs対策が示されている。日モ病院では地域の医療サービスだけでなく、脳血管疾患や悪性腫瘍等に対応できる高次医療サービスの提供が計画されていることから、本事業は同ビジョンを支援するものと考えられる。

(3)保健セクターに対する我が国及びJICAの援助方針と実績

JICAは2012年5月に日本政府が発表した「対モンゴル国 国別援助方針」を踏まえ、3つの重点分野と5つの重点開発課題を設定している。保健セクターは重点分野「全ての人々が恩恵を受ける成長の実現に向けた支援」における重点開発課題「基礎的社会サービスの向上」に位置付けられており、本事業はこれら方針と合致する。関連事業として、無償資金協力「日本モンゴル教育病院建設計画」(2014年〜2019年)及び技術協力「一次及び二次レベル医療施設従事者のための卒後研修強化プロジェクト」(2015年〜2020年)が挙げられる。

(4)他の援助機関の対応

アジア開発銀行(以下、「ADB」という)は「第4次保健セクター開発プロジェクト」(2011〜2016年)にて、ウランバートル市の一次から三次病院の構造改革のほか、二次病院の自治強化を主とした病院制度の改善に取り組んでおり、ウランバートル市内に二次レベルの地区総合病院を建設予定である。現在は「第5次保健セクター開発プロジェクト」(2012年〜2017年)にて、血液供給、医療廃棄物処理、院内感染対策など、患者と医療従事者の安全性の確保を目指した協力を実施している。
世界保健機関(WHO)は、国別協力戦略(2010年〜2015年)のもと、保健システム強化、NCDs対策、保健に関するミレニアム開発目標(MDGs)の指標達成モニタリング、公衆衛生上の安全保障(ヘルスセキュリティ)強化、食品安全強化の5つの分野での政策策定支援、研修等を実施している。

(注2)前述データはいずれも World Bank, World Development Indicators(WDI), June 2016

事業目的(協力プログラムにおける位置づけを含む)

本プロジェクトは日モ病院において、次の4つの成果(1)適切な運営管理が行われている、2)患者中心の医療が導入される、3)先端医療サービスが導入される、4)高度な救急医療の体制が整備される)の実現を目指した活動を行うことにより、技術水準・質ともに高い医療サービスが提供される体制の確立を図り、もって日モ病院が総合病院、教育病院として高い水準で機能することに寄与するものである。

投入

本プロジェクトは日モ病院の建設と平行して実施されることが見込まれており、開院準備期間として2年程度、開院後は3年程度を本プロジェクトでカバーすることが想定されている。

日本側投入

1)JICA専門家派遣(病院管理、患者管理、看護、救急医療、その他プロジェクトに必要な分野の専門性を有する人材の派遣)
2)本邦研修(病院管理、患者管理、救急医療等の分野)
3)機材供与(プロジェクト活動に必要な機材)

相手国側投入

1)カウンターパート
プロジェクト・ダイレクター:教育・文化・科学省戦略政策計画局長
プロジェクト・マネージャー:MNUMS院長
その他、カウンターパート人材
2)施設及び資機材
必要な事務用品が備えられたプロジェクト事務所スペース 装置、機器、器具、車輌、工具、スペアパーツなどJICAが提供するもの以外の資機材等
3)ローカルコスト
プロジェクトの実施に必要な運営費
JICA専門家のモンゴル国内出張に対する交通手段及び旅費

環境社会配慮・貧困削減・社会開発

1)環境に対する影響/用地取得・住民移転
1)カテゴリ分類(A,B,Cを記載):C
2)カテゴリ分類の根拠:環境への望ましくない影響は最小限であると判断される。
2)その他:特になし。

関連する援助活動

1)我が国の援助活動
本プロジェクトが実施される日モ病院は、無償資金協力「日本モンゴル教育病院建設計画」(2014年〜2019年)にて建設しており、同計画により整備される施設、供与される医療機材はNCDsに対する高次医療サービス及びウランバートル市内の地域医療サービスに活用される予定である。
また、日モ病院は将来臨床研修病院として、技術協力「一次及び二次レベル医療施設従事者のための卒後研修強化プロジェクト」(2015年〜2020年)で育成される臨床研修指導医の卒後研修実施拠点として活用されることも見込まれる。
2)他ドナー等の援助活動
ADBがウランバートル市に200床の二次レベルの地区総合病院を建設予定である。