プロジェクト概要

プロジェクト名

国家温室効果ガスインベントリの継続的な改善サイクル構築にかかる能力向上プロジェクト

対象国名

モンゴル国

署名日(実施合意)

2017年6月27日

協力期間

2017年11月1日から2021年10月31日

相手国機関名

自然環境気候基金

背景

モンゴル政府はコペンハーゲン協定に基づき、2010年1月に開発途上国による適切な緩和行動(Nationally Appropriate Mitigation Action、以下「NAMA」という。)を提出、また2015年10月には各国が自主的に決定する約束草案(Intended Nationally Determined Contribution、以下「INDC」という。)を提出し、同文書が2016年9月に第1回の自国が決定する貢献(Nationally Determined Contribution、以下「NDC」という。)として承認されている。モンゴルでは、温室効果ガス(Greenhouse Gas、以下「GHG」という。)の排出量は極めて低いレベルにあるものの、日本、韓国等近隣の先進国に比較し、炭素強度(carbon intensity)が突出している 特徴があり 、エネルギー分野の緩和策が特に重視されている。そのため、GHGインベントリを安定的に作成し、かつ精緻化していくことで、適切な緩和行動の促進が期待される。
モンゴルは1990年から2014年にかけて、国連気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change、以下「UNFCCC」という。)の下で作成した第1回/第2回国別報告書を含め、4度のGHGインベントリの作成経験を有する。しかし、いずれもプロジェクトベースのアプローチであり、実施機関も都度変更されてきたため、インベントリ作成のノウハウが国内で体系的に整理されていない。現在は、自然環境・観光省(Ministry of Environment and Tourism:MET)の傘下機関である自然環境気候基金(Environment and Climate Fund:、以下「ECF」という。)が実施機関となり、第3回国別報告書(Third National Communication、以下「TNC」という。)のためのインベントリを作成中である。
UNFCCCの下、2年ごとの定期的かつ持続的なGHGインベントリの作成が求められる中で、今後、現行の実施機関が継続的かつ安定的にインベントリを作成・改善していくために、当該機関の能力強化を含むインベントリシステムの強化が課題として認識されている。こうした背景の下、2014年7月に、モンゴル政府より本プロジェクトの要請がなされた。
JICAは2016年1月~2月に第1次詳細計画策定調査、2017年4月に第2次詳細計画策定調査を実施した結果、モンゴルにおいては、国家GHGインベントリの作成にかかる分野横断的な課題、及び分野別の課題解決に資する計画策定・実施能力の強化が必要と分析された。分野別課題については、METが所管する「グリーン開発政策実施活動計画(2016~2030)」(案)において、GHGインベントリに関連する活動として、エネルギー分野の温室効果ガス発生量の削減、及び牧草地のGHG排出量・吸収量の調査手法の確立に言及していることから、エネルギー及び土地利用・土地利用変化及び林業(Land Use, Land-Use Change and Forestry。以下「LULUCF」という。)分野が、支援の対象分野に決定された。
本プロジェクトは、この結果に基づき、国家GHGインベントリの定期的な改善サイクル構築にかかる能力強化を図るものであり、JICA、MET及びECF、モンゴル財務省の四者間の合意に基づき、2017年6月27日にR/D(Record of Discussion)署名が行われた。

目標

上位目標

定期的に改善された国家温室効果ガス(GHG)インベントリが、緩和行動の策定・モニタリングに活用される。

プロジェクト目標

関係機関との協力に基づき、国家GHGインベントリが定期的に改善される。

成果

1:継続的かつ定期的にインベントリシステムを改善する能力が強化される。
2:エネルギー分野の課題が整理され、計画的にインベントリを改善する能力が強化される。
3:LULUCF分野の課題が整理され、計画的にインベントリを改善する能力が強化される。

活動

成果1

1-1:国家GHGインベントリに係る既存の制度的・手続的・法的取決めをレビューし、課題リストを作成する。
1-2:前回のインベントリの技術レビュー(算定方法、前提条件、活動量・排出係数・他の係数の入手可能性・妥当性)を行い、課題リストを作成する。
1-3:前回のインベントリの不確実性評価及びキーカテゴリー分析の手法・結果をレビューし、課題リストを作成する。
1-4:活動1-1から活動1-3で明確になったすべての課題をロングリストとして整理した上で、それぞれの課題の対応方針案を特定する。
1-5:活動1-4で作成したロングリストから、本プロジェクトで対応する優先度の高い課題を特定する。
1-6:活動1-5で特定した課題解決にかかる関係機関(インベントリ作成機関、データ保有機関、技術的・科学的な知見を有する専門家等)を集めてワークショップを開催し、活動1-5で特定した課題に対する改善方法・手順を検討・合意する。
1-7:活動1-6における合意事項に基づいてGHGインベントリ改善計画を作成する。
1-8:活動1-7で作成した改善計画に従い、インベントリの改善活動(例えば、データのカバレッジの改善、算定方法の改善、算定ファイルの改善、緩和行動のモニタリング指標を利用した算定方法の検討等)を行う。
1-9:活動1-8の改善結果を報告書にまとめる。
1-10:前回のインベントリ時に作成された「モンゴルのGHGインベントリ作成手順のナショナルマニュアル」(英語、モンゴル語)を最終化する。
1-11:必要に応じ、前回のインベントリ時に作成された自然環境・観光省/[ECF]とデータ提供機関の間の協力取決め(MOU)を改訂・新規作成する。
1-12:関係機関及びその他ステークホルダーを対象に、セミナーを開催し、改善の成果を報告する。
1-13:アーカイビングシステム及びGHGインベントリの普及啓発に関するギャップを特定し、対応する。

成果2

2-1:活動1-2で明らかになったエネルギー分野の課題のうち、本プロジェクトで対応する優先度の高いテーマとそのテーマにかかる優先課題を特定する。
2-2:活動2-1で特定された優先課題解決にかかる関係機関(インベントリ作成機関、データ保有省庁、技術的・科学的な知見を有する専門家等)を明らかにする。
2-3:活動2-2で特定した関係者間でワーキンググループ会合を開催し、課題解決の基本的な方法論と必要なデータ、作業調査デザインに合意し、エネルギー分野の優先課題の改善ガイダンスとして取りまとめる。
2-4:改善ガイダンスに従って、活動2-3で特定したデータを収集する。
2-5:改善ガイダンスに従って、活動2-4で収集したデータを分析・加工し、インベントリに利用可能なフォーマットとして整理する。
2-6:改善の結果を報告書としてまとめる。
2-7:関係機関及びその他ステークホルダーを対象に、セミナーを開催し、改善ガイダンスに基づく活動の結果を報告する。(活動1-12と合同で行う)

成果3

3-1:活動1-2で明らかになったLULUCF分野の課題のうち、本プロジェクトで対応する優先度の高い調査テーマとそのテーマにかかる優先課題を特定する。
3-2:活動3-1で特定された課題解決にかかる関係機関(インベントリ作成機関、データ保有省庁、技術的・科学的な知見を有する専門家等)を明らかにする。
3-3:活動3-2で特定した関係機関でワーキンググループ会合を開催し、特定した算定区分について、基本的な方法論と作成すべきデータ、作業調査デザインに合意し、調査枠組みを決定する。
3-4:活動3-3で決定した調査枠組みに基づき、調査方法や調査手順を検討し、LULUCF分野における優先課題の改善ガイダンスとして取りまとめる。
3-5:改善ガイダンスに従って、対象とする算定区分の算定に必要なデータ収集を実施し、インベントリに利用可能なフォーマットとして整理する。
3-6:ワーキンググループ会合を開催し、調査方法、調査結果、調査結果を踏まえた係数・活動量の作成に関する技術的な検討を実施する。
3-7:活動3-5の活動成果を踏まえた排出/吸収量の算定を実施する。
3-8:改善の結果を報告書としてまとめる。
3-9:改善の結果を踏まえて、将来のインベントリサイクルで対応すべきLULUCF分野の優先度の高い調査テーマとそのテーマにかかる優先課題を特定する。
3-10:関係機関及びその他ステークホルダーを対象に、セミナーを開催し、改善ガイダンスに基づく活動の結果を報告する。(活動1-12と合同で行う)

投入

日本側投入

・長期専門家:GHGインベントリ(全般)
・短期専門家:GHGインベントリ(制度的取り決め、エネルギー、LULUCF、業務調整)
・ワークショップ
・本邦研修
・国内/第三国研修
・供与機材:データ管理用パソコン等

相手国側投入

・カウンターパート(C/P)要員
・長期専門家及び短期専門家チームのオフィススペース
・会議スペース
・必要に応じたオペレーション・コスト