プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)モンゴルの気候条件に適した道路舗装技術能力向上プロジェクト
(英)Project for Capacity Development of Improvement of Road Pavement Design Suitable for Mongolian Climate Condition

対象国名

モンゴル

署名日(実施合意)

2018年11月1日

プロジェクトサイト

ウランバートル市ならびにパイロット事業サイト

協力期間

2019年4月1日から2023年3月31日

相手国機関名

直接受益者:道路・運輸開発省(MRTD)、道路・運輸開発センター(RTDC)
間接受益者:ウランバートル市道路開発局(UBRDD)、道路建設会社

背景

モンゴル国は面積156万平方キロメートルの国土にわずか312万の人口を有し、北をロシア、南を中国に接する国である。国土の大部分が高度1,000mを超え、同時に草原ステップ地帯が国土の8割を占める。このような樹林帯が少ない地形がモンゴルに厳しい気候をもたらす要因である。
広い国土を有するモンゴルの輸送手段として道路が大半を占めており、道路による輸送人数は全体の約99%、貨物輸送量は全体の約51%を担っている。2017年8月時点では、モンゴルの道路舗装率は年々上昇し、過去5年間で年平均500kmを上回るペースで道路舗装延長が伸びている他、国道(総延長約13.0千km)の舗装延長は約5.7千km、舗装率は約44%に達している。然しながら、これら道路の舗装化は、1990年代の計画経済から市場経済へ移行した際に、外国の援助により進められたものが多く、その際は各国の道路基準が適用されている。また、道路建設に必要ないくつかの基準は、旧ソビエト連邦の技術基準を基に作成されているが、極度の乾燥(砂漠化)、冬季の極寒、昼夜の大きな気温差等の特徴を有するモンゴルの厳しい気候条件に、必ずしも十分適応できていない状況にある。その結果、国道、地方道ともに、ひび割れや平坦性の低下等の道路破損箇所が多く見られ、円滑な道路交通、維持管理費抑制等の阻害要因となり、社会・経済活動の効率性向上や環境負荷軽減等を妨げる一因となっている。
モンゴル政府としても、「モンゴル国持続可能な開発ビジョン2030」(SDV2030)のインフラ分野において、経済成長に資する道路・鉄道・空港の整備が重要である旨示しており、今後中長期的には経済成長が見込まれることから、これを支える運輸・交通インフラの整備及び維持管理を、同国の開発課題として位置づけている。かかる状況の下、モンゴル政府の要請を受け、舗装技術の能力強化を目的とした技術協力プロジェクトを実施することとなった。

目標

上位目標

モンゴル国の気候条件に適した道路舗装技術が確立される。

プロジェクト目標

道路舗装の問題点が明らかになり、道路舗装基準類が策定・改訂される。

成果

成果1:道路・運輸開発省及び道路・運輸開発センターの舗装道路の構造設計、配合設計等の基準策定・改訂能力が向上する。
成果2:道路・運輸開発センターの材料試験実施能力が向上する。
成果3:パイロット事業により、成果1、2で策定した基準やマニュアルが実践・検証され、道路舗装技術開発能力が向上する。

活動

成果1

1-1.構造設計及び配合設計に係る基準類の改定/策定作業のためのワーキンググループ(WG1)メンバーを選定する。
1-2.道路舗装規則作成リストを見直し、道路舗装構造設計、配合設計等を基準体系として整理する。
1-3.モンゴルの舗装道路の現況の問題点を把握する。
1-4.基準改訂/ドラフト作業の参照とする各国の基準を選定する。
1-5.基準改訂/ドラフト作業の実施計画を作成し、実施する。
1-6.JCCが、活動1-5で作成された実施計画の内容を確認し、必要に応じて要修正箇所を指摘する。
1-7.最終案を作成し、道路・運輸開発省に提出する。
1-8.当該改訂/ドラフト作業の際の経験、知見、教訓を文書化し、WGの持続的な基準のマネジメントや以降の同様の作業実施のために手引書を作成する。
1-9.最終案に係るセミナーを開催する。

成果2

2-1.道路・運輸開発センター材料試験所の能力向上のためのワーキンググループ(WG2)メンバーを選定する。
2-2.道路舗装に係る材料試験所の活動、役割、試験施設、保有機器を整理する。
2-3.モンゴル国の気候に適した道路舗装の材料試験に関する情報、資料、論文等から知見を整理する。
2-4.モンゴル国の気候に適した道路舗装の材料試験項目を整理し、能力強化に必要な項目の試験活動を実施する。
2-5.活動2-4で実施した成果をマニュアルとして取りまとめる。
2-6.活動2-5のマニュアルをセミナー等で発表し、関係者で共有する。

成果3

3-1.成果1、2を反映したパイロット事業実施のためのワーキンググループ(WG3)メンバーを選定する。
3-2.道路維持管理計画からパイロット事業を選定する。
3-3.パイロット事業の舗装設計、仕様書を含む事業計画を準備する。
3-4.パイロット事業のモニタリング方法を検討し、評価シートを作成する。
3-5.パイロット事業の調達および施工監理を支援する。
3-6.活動3-4で作成したモニタリング・シートを使用し、パイロット事業をモニタリングする。
3-7.パイロット事業を通じて、プロジェクトの広報活動を行う。
3-8.パイロット事業で得られたプロセス、経験、結果および教訓を取りまとめ、成果1の基準、2のマニュアルの有用性を確認するとともに、改善点を文書化する。

投入

日本側投入

・専門家派遣:チーフアドバイザー/道路舗装設計1、道路舗装構造設計1、道路舗装配合設計1、材料試験1、材料品質管理1、建設施工管理1、研修計画/モニタリング1、広報/業務調整1、舗装設計補助1
・国内支援委員会
・研修員受け入れ:本邦研修(計2回)
・試験機器に係る機材供与
・その他現地活動費

相手国側投入

・人材の配置:プロジェクトダイレクター、プロジェクトマネージャー(3名)、カウンターパート
・プロジェクト実施に必要な執務室及び施設設備の提供
・パイロット事業にかかる費用
・運営・経営経費:電気、水道、通信等、カウンターパートの国内旅費及び日当費
・その他(必要に応じて)