プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)公務員獣医師及び民間獣医師実践能力強化プロジェクト
(英)Project for Strengthening the Practical Capacity of Public and Private Veterinarian

対象国名

モンゴル

署名日(実施合意)

2020年3月20日

プロジェクトサイト

ウランバートル市及びトゥブ県

協力期間

2020年6月26日から2025年6月25日

相手国機関名

(和)総合獣医庁(GAVS)、モンゴル生命科学大学(MULS)、中央獣医衛生ラボ(SCVL)、モンゴル生命科学大学獣医学部(SVM)及び獣医学研究所(IVM)、ウランバートル獣医局(UVO)
(英)General Authority of Veterinary Services(GAVS), Mongolian University of Life Science(MULS), State Central Veterinary Laboratory(SCVL), Institute of Veterinary Medicine(IVM)and School of Veterinary Medicine(SVM)of MULS, and Ulaanbaatar Veterinary Office(UVO)

背景

モンゴル国の農牧業(農業・畜産)は、サービス業、鉱業に次いでGDP第3位の10.8%を占め、労働人口はサービス業についで26.7%の第2位である。特に畜産業が盛んで同国の産業多角化の主翼を担う分野として注目されていると共に、伝統的に肉類を主食とする同国では、人々の生計を支える上で家畜が重要な役割を果たしている。
しかし、1990年代以降の市場経済化に伴う国営農場解体により多くの獣医師が失職し、その結果家畜疾病が増加した。また、寒雪害(ゾド)による被害とも相まって、2000年代には合計1,800万頭以上の家畜が死亡している。このように、獣医師不足による家畜疾病増加は、ゾドや過放牧とともにモンゴル牧畜業の脆弱性を高める大きな原因となっている。
モンゴル政府は、国内329郡(ソム)全てに獣医師・畜産技術者を3名ずつ配置し対策を講じてきたが、実際に現場に配置される獣医師・畜産技術者の技術レベルが十分ではないため、現場で発生する課題に対し適切に対応できていない。その原因の一つがモンゴル国内で獣医・畜産分野の人材育成を担うモンゴル生命科学大学獣医学部の教育能力不足である。そこで、JICAは技術協力プロジェクト「獣医・畜産分野人材育成能力強化プロジェクト(2014~2020年)」を実施し、獣医学部における教育カリキュラム改善、教育・研究施設の整備、教員の指導能力向上を行ってきた。
加えて、モンゴル政府は、既に現場で活動する社会人獣医師等の能力強化も喫緊の課題と認識し、彼らの実践能力を強化することを目的とした本事業の実施を新たに要請した。
本事業は、モンゴル政府が掲げている「安全で健康な食品・健康なモンゴル人」を達成するために家畜疾病対策として食糧・農牧業・軽工業省(MOFALI)が実施中の国家プログラム「モンゴル家畜プログラム(第2フェーズ:2016~2021)」のうち、社会人獣医師等の人材育成に貢献する取り組みとして位置づけられる。

目標

上位目標

公務員獣医師及び民間獣医師の実践能力(注1)が定期的に向上する
(注1)実践的能力:人畜共通感染症、動物疾病、畜産製品の食品安全、環境汚染への対応、クリニックにおける診断能力等)

プロジェクト目標

公務員獣医師及び民間獣医師の実践能力が向上する。

成果

1.モンゴル国内の獣医機関(SCVL、IVM、SVM、UVO)による研究・研修活動の基盤が整う。
2.研究・研修グループによる獣医師のニーズ(注2)に基づいた研究の実施能力が強化される。
3.研究・研修グループによる獣医師のニーズに基づいた研修の実施能力が強化される。
4.プロジェクトで開発された研修が実践的な研修コースとして提案される。
(注2)獣医師のニーズ:様々な現場で働く官民獣医師が必要と考える技術や知識に加え、獣医師が習得しておくべきとGAVSや獣医系機関が判断する技術・知識を含むこととする)

活動

1-1.研修と研究活動に関わるSCVL、IVM、SVM、UVOを中心とした獣医機関による定期会合が開催される。
1-2.研究・研修に係る畜産の現場におけるニーズを分析する。
1-3.活動1-2の分析結果を基に、研修と研究に適切な実施課題(分野)を選定する。
1-4.活動1-3において選定した課題(分野)について、獣医機関スタッフおよびJICA専門家による研究・研修グループを、プロジェクトが定期的に公募する(企画競争)。
1-5.プロジェクトが、活動の対象とする研究・研修グループを選定する。

2-1.選定された研究・研修グループが研究活動を実施する。
2-2.研究の進捗状況を、各グループとプロジェクトが共同で定期的にモニタリングする。
2-3.研究・研修グループが活動2-2において実施したモニタリング結果に基づき、研究活動を修正する。
2-4.研究結果に関する成果を、各グループがプロジェクトに報告する。
2-5.優良事例となる研究活動や成果について、プロジェクトが定期的な広報活動を実施する。

3-1.研究内容や専門性および現場のニーズに基づき、各グループが指導する研修項目(内容)を選定する。
3-2.各グループが指導する研修カリキュラムを、対象とする獣医師の業務タイプ別に開発する。
3-3.実習を主体とした研修用教材(実習用のテキスト、機器、消耗品など)を準備する。
3-4.プロジェクトが、研修実施者を対象にTOTを実施する(研修方法に係るガイダンスやプレゼンテーション技術の提供)。

4-1.研究・研修グループが、活動3-2で開発されたカリキュラムを基に、ウランバートルとトゥブ県で研修とセミナーを開催する。
4-2.研究・研修グループが、モンゴル獣医師会の定期年次総会開催に合わせ、地方において技術研修を実施する。
4-3.獣医機関(SCVL、IVM、SVM、UVO)が総合獣医庁(GAVS)と連携し、獣医師免許の更新認定に係る研修内容(カリキュラム)を策定する。
4-4.研究・研修グループがウランバートルとトゥブ県で獣医師免許更新研修を試行的に実施する。

投入

日本側投入

1.専門家派遣

1.チーフアドバイザー(長期専門家)獣医師研究・研修計画
2.業務調整(長期専門家)
3.短期専門家(人畜共通感染症、動物感染症、食品安全、環境汚染、動物クリニック診断技術他)

2.本邦研修

3.機材供与

4.現地活動費支援

相手国側投入

1.カウンターパート配置

1.プロジェクト・ダイレクター
2.副プロジェクト・ダイレクター
3.プロジェクト・マネージャー
4.獣医機関リーダー
5.カウンターパート研究者)

2.日本人専門家執務スペース

3.研究・研修に必要な施設ラボ、飼育施設等)

4.プロジェクト活動経費研究者人件費、旅費、消耗品、機材維持管理費、光熱費等)