プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)農牧業バリューチェーンマスタープランプロジェクト
(英)Project for formulation of Master Plan on the Agricultural Value Chain

対象国名

モンゴル

署名日(実施合意)

2019年9月26日

プロジェクトサイト

モンゴル国全域(但し、パイロット事業はウランバードル市及び今後選定する県で実施)

協力期間

2020年12月17日から2023年12月16日

相手国機関名

食糧・農牧業・軽工業省(MOFALI)及び国家開発庁(NDA)

背景

モンゴルの農牧業は、鉱業に次いでGDPの約10.9%(2019年)を占め、労働人口の約3割が従事する同国の基幹産業である。他方、都市周辺部への家畜集中や飼養頭数の増加に伴う過放牧・草地荒廃、寒雪害(ゾド)の被害、家畜疾病の蔓延等が畜産セクターの課題となっている。また、農業セクターにおいては、国の政策により作付面積と収穫量が増加し、国内自給率は向上しつつあるものの、寒冷期の安定的な生産/供給体制の構築、輸入野菜に対する検査体制の整備等が不十分であることが課題となっている。加えて、製造業に共通する加工/流通についても、加工技術レベルの低さ、コールドチェーンを含む物流網の未整備、国際基準を満たす品質と衛生管理の未実施等が障害となり、未だ十分な競争力を発揮できていない。
そこで、食糧・農牧業・軽工業省(MOFALI)、および国家開発庁(NDA)の両省庁連携のもと、地域特性(気候、生産基盤、および市場へのアクセス等)の要素を勘案した上で、戦略的な農牧業バリューチェーン(VC)振興のためのマスタープラン策定のための協力を我が国に要請した。
モンゴル政府は各種政策において農畜産品の加工・製造強化を掲げており、流通、販売(輸出)を含む農牧業VC強化を重要視している。長期的政策である「持続可能な開発ビジョン2030」では、持続可能な経済成長の実現に向けた農牧業セクターの発展を目指すのと同時に、先端技術の導入による農畜産品加工促進や輸出振興を目標に掲げている。また、「食糧・農業に関する国家政策(2015-2025年)」においても、食品安全や環境に配慮しつつ、農牧業VC振興と競争力強化を目指している。中期的政策としては、2016年7月に成立した新政権により、「政府行動計画2016-2020年」が策定され、食肉・乳製品の加工・製造業のための各種国家プログラムや獣毛および皮革を含めた軽工業向けの産業集積地開発が計画されている。
本事業は、輸入代替および輸出促進を含む農牧業VCの振興に係るマスタープラン策定を目指しており、上述のモンゴル国家政策に合致するものである。また、本事業にて策定されるマスタープラン、およびそれを達成するためのアクションプランは、主にNDAが策定予定の開発政策計画法に基づき、NDAが策定を進めている地域開発政策関連のプログラム、およびMOFALIが策定し実施する農牧業セクターにおける各種プログラムに反映される予定である。

目標

上位目標

モンゴル国内外の市場ニーズに基づいた農牧業VCビジネス振興(農商工連携、農畜産品の販売促進等)が図られる。

プロジェクト目標

本事業にて策定したマスタープラン、およびアクションプランが、地域開発政策および農牧業に係る国家プログラムに反映される。

成果

1.パイロット事業の結果、および教訓導出
2.実施機関/協力機関の農牧業VC振興支援能力の向上
3.モンゴル農牧業VCのマスタープラン、およびアクションプランの策定

活動

1.政策、行政体制、プログラム、省/県予算、既存社会制度、土地利用状況、課題および対策の検討

2.気候、土地等自然条件上の利点の活用法および不利な点の改善方法の検討

3.既存インフラ施設(圃場・農道・灌漑・流通網・加工施設・防災等)の現況と課題、改善策の検討

4.既存農畜産品の優位性と、その他未利用の農畜産物の利用可能性の検討

5.個別生産者と法人の現況と課題、並びに需要に見合った生産規模を達成するための生産者の組織化等についての検討

6.ターゲットとなりうる市場(国内および海外市場)のニーズ確認
6-1.所得別階層の農産物の消費状況・傾向と将来予想
6-2.農畜産品の現在および将来のニーズ(全世界、モンゴル、ならびターゲット国(例:日本、中国、韓国、ロシア、中東)における品目毎のa.生産量、b.販売量、c.輸出入量、d.消費者動向)

7.農畜産品の生産者(個別、グループ、および法人)、流通者、加工者、販売者への各種公的支援状況・新規・改善案の検討

8.農畜産品生産者、流通者、加工者、販売者のビジネス上の課題把握と、市場のニーズを基盤としたビジネスに基づく日常の取引、商業活動、生産等を振興するための方策の検討

投入

日本側投入

1.調査団員派遣(合計約60M/M)
(総括/制度開発、業務調整員/広報、市場/流通、農業開発、畜産開発、ビジネス振興)
2.研修員受け入れ(農牧業VCに関わる分野)
3.その他(調査用資機材)

相手国側投入

1.カウンターパートの配置
2.JICA専門家執務室
3.JICAによる投入以外の必要経費(調査用資機材の維持管理費、研修等実施の際のカンターパート個人に係る日当、宿泊、交通費)