(日)ウランバートル市廃棄物管理能力強化プロジェクト
モンゴル
ウランバートル市
2009年8月6日
2009年10月10日から2012年10月9日
(和)ウランバートル市市長事務局環境汚染・廃棄物管理部
ウランバートル市には、モンゴル国(以下「モ」国)の人口約260万人の約4割にあたる約100万人が居住している。近年人口の急増(2000年〜2007年のウランバートル市の平均人口増加率3.9%)とともに市場経済への移行に伴う消費生活の変化に伴い、排出されるごみ量が増加し、廃棄物に係る問題が深刻化している。増加するごみ量に対して収集運搬サービスが追いつかず、特に地方から流入してきた遊牧民等が移動式テントを用いて定住し始めたゲル地区を中心に、ごみの不法投棄が大きな問題となっていた。また、ウランバートル市のごみの約9割を受け入れていたウランチュルート処分場(2009年6月閉鎖)においても、容量が限界に近づきつつある一方、覆土などの適切な処理が行われておらず、周囲の環境に与える悪影響が指摘されていた。
このような状況の下、2004年から約2年間、JICA開発調査「ウランバートル市廃棄物管理計画調査」が実施され、2020年を目標とするウランバートル市の廃棄物管理マスタープランが作成された。同調査を踏まえ、ウランバートル市では、マスタープランの達成に向け、主に(1)廃棄物処理システム改善(廃棄物処理会計の見直しと廃棄物サービス基金の設立、ごみ排出ルールの制定など)、(2)衛生埋立の実施、(3)3R の推進、(4)関連諸制度・組織体制等の改善、といった取組を推進していく計画である。また、2008年度には無償資金協力による関連資機材の投入、新規最終処分場(ナランギンエンゲル処分場)の建設等が行われた。
他方、開発調査以降、システムの改善が急速に行われてきているものの、マスタープラン基本目標である「環境保全と調和する廃棄物管理体制の構築」の達成に向けては取り組みが不十分な点も多く、また、組織やシステムの改編、リサイクル等の新規概念導入等が急速に進んだため、関係機関においてすらそれらを理解している人材は少数であり、引き続きウランバートル市の廃棄物管理体制の強化に向けた人材・組織の強化が急務となっている。また、わが国の無償資金協力により建設されたナランギンエンゲル処分場においては、モンゴルでは初めての取り組みとなる衛生埋立が行われる予定であり、新しい技術の定着を促進し、供与された資機材を適切に維持管理していくための技術移転も求められているところである。
不適切な廃棄物処理によって悪影響を受けているウランバートル市の都市環境と公衆衛生が改善される。
人材育成を通じて、ウランバートル市の廃棄物管理能力が強化される。