日本の協力がサイクロン被害を最小化 モザンビークの市長から感謝の声「コロナ禍での協力に感銘」サイクロン・イダイ被災地域強靭化プロジェクト(ARPOC)

2021年1月25日

2019年3月のサイクロン・イダイの学びを活かす

2021年1月8日、モザンビーク国のベイラ市市長は、「(2019年3月14日に甚大な被害をもたらした)サイクロン・イダイの時は、事前に取るべき行動が分からず混乱した。今回はJICAのおかげで事前の避難をスムーズに行うことができ被害を最小化できた。また、コロナ禍に遠隔でプロジェクトを実施してくれていることに、感銘を受けている」と、日本の協力に対する感謝の言葉を述べました。

2019年3月にアフリカ南東部モザンビーク国を襲ったサイクロン・イダイは同国に甚大な被害をもたらしました(死者約650名、国内避難民約40万名)。その後、モザンビーク政府は、災害からの復興及び災害に強い社会形成のための協力を日本政府に要請し、国際協力機構(JICA)が2019年9月から協力(サイクロン・イダイ被災地域強靭化プロジェクト)を行っています。

2020年12月30日、協力対象地域である同国ベイラ市北部にサイクロン・シャレーン(Chalane)が上陸しました。サイクロン・イダイに比べ規模は小さいですが(中心気圧983ヘクトパスカル(注1)、最大瞬間風速33メートル/秒(注2))、満潮と重なり高潮の被害などが大きく懸念されました。プロジェクトでは、サイクロン・イダイで得られた課題をもとに、プロジェクトで作成した高潮・洪水ハザードマップをもとにした災害リスクの理解促進及び避難計画策定支援を実施してきました。今回のサイクロン対応では、これらを活用することで、被害を最小限に抑えられたことができました(政府発表(2021年1月4日時点)によるとベイラ市では死者や負傷者の報告はゼロ)。浸水リスクの高い地区では、プロジェクトの支援をもとにして、ハザードマップを参照して事前に避難所を特定していました。これにより、サイクロン・シャレーン接近時には、関係機関が連携して避難所への避難を住民に呼びかけ、住民は安全な施設へ事前にかつ円滑に避難することができました。

(注2)NASA MODIS (Moderate Resolution Imaging Spectroradiometer)

コロナ禍でも可能な協力を続ける

プロジェクトでは、2020年3月以降、コロナ禍により、日本人の現地渡航は困難となり、遠隔による運営が主になっています。2021年1月8日のWeb会議では、ベイラ市の市長は「サイクロン・イダイの時は事前に取るべき行動が分からず混乱した。今回はJICAのおかげで事前の避難をスムーズに行うことができ被害が少なかった。また、コロナ禍に遠隔でプロジェクトを実施してくれ感銘を受けている」と述べました。また、「他援助機関に対して、本プロジェクトが作成したハザードマップを活用し復興事業を実施するよう再度進言したい」とも表明しました。

2021年1月23日にはサイクロン・エロイーズ(Eloise)がベイラ市南部に上陸しました。今後もサイクロン上陸の可能性がありますが、日本の協力によって、同地域の復興が進むとともに、災害に強い地域社会を形成するために、現地に寄り添いプロジェクトの協力を続けていきます。

【画像】サイクロン・シャレーンの進路

【画像】浸水被害の出たベイラ市沿岸部

【画像】本プロジェクトで作成した高調ハザードマップと避難対象となった地区の関係