プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)人身取引被害者自立支援のための能力向上プロジェクト
(英)Project on Capacity Improvement of Recovery and Reintegration Assistance for Trafficked Persons

対象国

ミャンマー

署名日(実施合意)

2012年2月1日

プロジェクトサイト

ヤンゴン、パイロットサイト

協力期間

2012年6月29日から2016年6月28日

相手国機関名

(和)人身取引対策中央委員会(CBTIP)(内務省ミャンマー警察(MPF)・社会福祉・救済復興省社会福祉局(DSW))
(英)Central Body for Suppression of Trafficking in Persons (MPF/DSW)

背景

メコン川流域地域(GMS)では、近年の地域経済発展に伴い、経済開発の負の影響として、国家間の経済ギャップ、都市と農村部での貧富格差が拡大し、麻薬や武器の取引、組織犯罪の広がりとともに人身取引という国境を越えた課題が深刻化している。5か国と国境を接するミャンマーでは、経済成長の著しいタイと中国が主な吸引源となり、性産業のみならず工場作業等産業の労働力確保を目的とした人身取引被害が増加している。

ミャンマー政府は、1997年に女性と子どもの人身取引国家行動計画を策定し、2005年には人身取引対策法を成立させ、翌2006年には内務大臣を委員長とする人身取引対策中央委員会(Central Body for Suppression of Trafficking in Persons:CBTIP)を設立した(内務省ミャンマー警察が事務局)。さらには「人身取引対策国家行動5か年計画2007〜2011」を作成し、2008年3月には5か年計画を実施するためのナショナルタスクフォースも設置した。さらに、メコン川流域6か国の閣僚により構成されているCOMMITプロセスにも参加しており、2004年にはヤンゴンにおいてCOMMIT閣僚会議をホストし、GMS地域で初めての地域覚書(Regional MOU)に署名した。その後、域内行動計画にも合意し定期的に開催される地域会合にも出席してきた。

しかし米国国務省により人身取引報告書では、2001年以来毎年Tier3(政府が最低基準を順守せず、順守に向けたと努力もしていない国)に格付けされており、ミャンマー政府の取り組みが表面的であり、対外的アピールを重視したものに過ぎないとの批判を受けている。

ミャンマーの人身取引対策は、防止や取締りにおいては対策がある程度進められているものの、被害者に対する保護やサポートは現在まで十分に行われていないのが現状である。被害者が隣接国から帰還しても、社会復帰するための精神的ケアや経済的自立を支援する制度がほとんど存在していないため、再び搾取される状況に戻る悪循環に陥っている。

2009年3月から2010年3月まで社会福祉・救済復興省社会福祉局にJICA短期専門家が派遣され、被害者保護にかかる現状調査を行った。同調査を通じて、ミャンマーには被害者保護シェルターを核とした被害者帰還支援のメカニズムが存在し、社会福祉局を始めとして警察やNGOなどの関係機関が被害者帰還における多様なプロセスに携わっていることが判明した。しかし、社会福祉局職員及び関係者の保護シェルター運営や被害者保護に関するキャパシティは十分ではなく、特に被害者保護・支援に携わる実務者のソーシャルワークに関する能力強化の必要性が明らかになった。加えて、様々な機関が携わる人身取引被害者保護・自立支援の一連のプロセスにおいて、関係機関の更なる連携の促進も課題となっている。かかる状況の下、人身取引対策中央委員会は、2010年4月、人身取引被害者の保護関係者の能力向上を目的とした技術協力プロジェクトを日本政府に要請した。

目標

上位目標

人身取引被害者が、プロジェクトによって改善された人身取引被害者の保護・自立に関する支援を受けられる。

プロジェクト目標

人身取引被害者支援に携わる対象地域の関係者による人身取引被害者の保護・自立支援にむけた支援が改善される。

成果

1. 人身取引被害者の保護・自立支援に携わる人材の能力が向上する。
2. 人身取引被害者の保護・自立支援のためのパイロット活動が計画・実施される。
3. 人身取引被害者の保護・自立支援に携わる人材が実務に活用できるツール及び情報が整備・共有される。

活動

1-1. 人身取引被害者保護・自立に携わる人材育成計画を策定する。
1-2. 人身取引被害者保護・自立のTraining Of Trainers(TOT)を実施するためのトレーナーを選定する。
1-3. 社会福祉トレーニングスクール(SWTS)で活用される人身取引被害者保護・自立TOT研修教材とマニュアルを開発する。
1-4. 開発した教材とマニュアルを活用してトレーナーの研修を実施する。
1-5. 研修を受けたトレーナーによって教材とマニュアルを活用して研修を実施する。
1-6. 上記1-5の研修参加者の連携を促進するためのワークショップを開催する。

2-1. 被害者直接支援のパイロット活動に関するアクションプラン策定を支援する(例:カウンセリング、収入向上活動等)。
2-2. 上記アクションプランに基づくパイロット活動の実施を支援する。
2-3. 上記のアクションプランに基づくパイロット活動の実施を通じてグッド・プラクティスと教訓を収集・蓄積し、必要に応じて研修教材とマニュアルを改訂する。
2-4. 被害者保護に関する関係機関を集めてワークショップを実施し、教訓を共有するとともに人身取引被害者の効果的な保護支援策に関する協議を行う。

3-1. ヤンゴンの社会福祉トレーニングスクール(SWTS)に人身取引被害者保護・自立に関するリソーススペースを設置する。
3-2. 人身取引対策に携わる実務者のための人身取引被害者保護・自立に関するハンドブック(ソーシャルワーク、事例、リファーラル情報等を含むもの)を開発する。
3-3. ハンドブックの利用を促進する。
3-4. 第三国でのワークショップを通して人身取引被害者保護に関する知見を共有する。

投入

日本側投入

1.専門家派遣
 ・長期専門家2名(チーフアドバイザー、人身取引対策/業務調整)
 ・短期専門家数名(教材開発、教材開発普及、コミュニティ開発、成功事例集作成等)
2.研修
 ・第三国研修、本邦研修
3.在外事業強化費

相手国側投入

1.人材
 ・プロジェクト・ダイレクター
 ・プロジェクト・マネジャー
 ・カウンターパート数名
2.施設等
 ・プロジェクト実施に必要な執務室の提供
3.プロジェクト実施にかかる現地経費