プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)法整備支援プロジェクト
(英)The Project for Capacity Development of Legal, Judicial and Relevant Sectors in Myanmar

対象国名

ミャンマー

署名日(実施合意)

2013年8月22日

プロジェクトサイト

ネピドー、ヤンゴン

協力期間

2013年11月20日〜2018年05月31日

相手国機関名

(和)連邦法務長官府、連邦最高裁判所
(英) Union Attorney General's Office, Supreme Court of the Union

背景

(1)当該国における法・司法セクターの現状と課題

ミャンマーでは、2011年3月に新政府が発足して以来、「民主化」、「経済改革」、「少数民族との和平」を3つの柱とした改革が、精力的に進められている。法・司法セクター改革による法の支配の確立は、これら改革を進める上での不可欠な要素として認識されており、特に、2015年のASEAN経済共同体の共同設立に向けた市場経済化促進・投資環境整備のための法・司法制度の整備が喫緊の課題とされている。

現行のミャンマー法は、英領インドで形成されたインド法典を移植した法規の集成に、1958年までの制定法をも組み込んだ「ビルマ法典」が、ビルマ式社会主義時代及び軍政時代を通じ、一部を除いて維持されている。特に民商事法分野においては、現代の複雑・高度化した市場経済に合致しない前時代的な内容を含む法律が多く残存しているほか、場当たり的な法令整備が行われてきた結果、法制度全体が体系化されておらず、法令同士の抵触やオーバーラップが見られる。このような問題は、法の適用・運用の不透明性につながり、ミャンマーにおける投資やビジネスの展開を考慮する際に求められる透明性や予測可能性を著しく低下させている。

法・司法関係機関においては、法令の起草に関して、法令の所管・関係省庁(国家計画・経済開発省、商業省、内務省等)の法的な資質のあるスタッフが不足している上、法案起草のためのトレーニングの機会も極めて限定されている。法案起草に関する助言・審査などを担当する法務長官府においても、研修プログラムにこれら研修は十分には組み込まれておらず、専門的な知見・ノウハウを取得する機会は限られている。さらに、司法を担う裁判所は、ビルマ式社会主義時代及び軍政時代において、裁判所としての役割が限定されていたことから、今後のミャンマーの急激な環境変化に対応するための準備がなされているとは言えず、司法分野の意識改革もまた、法の支配の実現に向けた課題となっている。

このような背景から、ミャンマーの法・司法関係機関における、社会経済及び国際標準に則した法令の整備及び適切な運用が行われるための組織的・人的能力の向上が、ミャンマー政府が掲げる経済化促進・投資環境整備などの改革を推進していく上での最重要課題の一つとなっている。

(2)当該国における法・司法セクターの開発政策と本事業の位置づけ

2011年3月の大統領就任演説に代表されるように、ミャンマーにおける法の支配の確立が、近代的な民主国家の建設にあたり、不可欠な課題と位置づけられているとともに、「民主化」、「経済改革」、「少数民族との和平」を3つの柱とした改革を推進していく上での最重要課題の一つとして認識されている。2013年1月にミャンマー政府主導で開催された第一回開発協力フォーラムで、ミャンマー政府、開発パートナーが採択した「ネーピードー合意」においても、法整備や行政機能の強化を含めた協力を進めていくことが確認されている。また、現在ミャンマーにおいては、2015年のASEAN経済共同体設立に向け、急ピッチで法令の整備、近代化が進められている。

本事業は、2015年のASEAN経済共同体の設立などを見据え、ミャンマーが直面する喫緊の経済法等の起草・改正課題に対応する活動を行いながら、法・司法関係機関の法案作成能力の向上を図るとともに、より中長期的な観点から、人材育成の基盤整備、法令相互の整合性・体系性、立法の優先順位などを検討し、もって将来の自立的、持続的な法令の整備及び適切な運用、さらには、法の支配の確立、民主化、経済改革に寄与することを目指すものである。

目標

上位目標

ミャンマーにおいて、法の支配、民主化、持続的な経済成長が、ミャンマーの社会経済及び国際標準に則した法令の整備及び適切な運用により推進される。

プロジェクト目標

ミャンマーの法・司法及び関係機関において、時代に適合した法整備、運用を行うための組織的・人的能力が向上する。

成果

成果:【サブプロジェクト(SPJ)1(法務長官府/JICA)】

1.プロジェクト活動を通じ、法務長官府が、法案審査・法的助言の実務改善及び技術向上に関する教訓を得、対象法分野に関する理論及び実務に関する知見並びに、法情報の調査及び法案作成のノウハウを蓄積する。また、対象法分野を所管する関係機関が、それらの知見及びノウハウを蓄積する。
2.法務長官府が、人材育成のための研修制度・手法及び環境を改善する。

成果:【SPJ2(最高裁判所/JICA)】

成果1:
最高裁判所が、最高裁判所が所管する対象法分野に関する理論及び実務に関する知見並びに、法情報の調査及び法案作成のノウハウを蓄積する。
成果2:
最高裁判所が、人材育成のための研修制度・手法及び環境を改善する。

活動

活動:【SPJ1】

(1-1)法務長官府及びJICAが編成するJCCが、アセアン経済統合に向けた国内法の整備等、喫緊の整備が必要とされる法令の中から、本活動の対象とする法令を決定する。
(1-2)法務長官府が、法務長官府の職員及び対象法令の関係機関によるワーキンググループ(WG)を設立する。
(1-3)WGが、日本人専門家の協力のもと、対象法令に関する判例、法理論、諸外国の立法・運用例等の情報を調査・収集し、収集した情報及び調査のノウハウをとりまとめる。
(1-4)WGが、日本人専門家の協力のもと、対象法令の運用面も含めた必要な情報を収集し、課題を分析するためのセミナー・ワークショップを開催する。
(1-5)WGが、日本人専門家の協力のもと、(1-3)及び(1-4)の活動を通じ法令相互の整合性、体系性を検討すべきことが明らかとなった法分野について、整合性、体系性を確保するための検討・研究を行う。
(1-6)WGが、日本人専門家の協力のもと、具体的な法案起草に関する検討を行う。
(1-7)法務長官府が、最高裁判所からの招待に基づき、SPJ2の活動(1-3)から(1-6)の活動に参加する。
(1-8)WGのうち法務長官府のメンバーが、日本人専門家の協力のもと、(1-3)から(1-7)の活動を通じて得た、法案審査、法的助言の実務改善、技術向上に関する教訓を参考資料として取りまとめる。

(2-1)法務長官府が人材育成を強化するためのWGを設立する。
(2-2)WGが、日本人専門家の協力のもと、日本その他の諸外国における研修制度等、法務長官府の職員研修の改善に必要な情報を収集し、改善の方法を検討する。
(2-3)WGが、日本人専門家の協力のもと、法務長官府の職員研修カリキュラム、テキスト、研修手法等を改善する。
(2-4)法務長官府が、JICAの協力のもと、法務長官府の職員に必要な研究・研修機材等を整備する。

活動:【SPJ2】

(1-1)最高裁判所及びJICAが編成するJCCが、最高裁判所が所管する法令の中から、本活動の対象とする法令を決定する。
(1-2)最高裁判所が、最高裁判所の職員及び対象法令の関係機関によるワーキンググループ(WG)を設立する。
(1-3)WGが、日本人専門家の協力のもと、対象法令に関する判例、法理論、諸外国の立法・運用例等の情報を調査・収集し、収集した情報及び調査のノウハウをとりまとめる。
(1-4)WGが、日本人専門家の協力のもと、対象法令の運用面も含めた必要な情報を収集し、課題を分析するためのセミナー・ワークショップを開催する。
(1-5)WGが、日本人専門家の協力のもと、(1-3)及び(1-4)の活動を通じ法令相互の整合性、体系性を検討すべきことが明らかとなった法分野について、整合性、体系性を確保するための検討・研究を行う。
(1-6)WGが、日本人専門家の協力のもと、具体的な法案起草に関する検討を行う。
(1-7)最高裁判所が、法務長官府からの招待に基づき、SPJ1の活動(1-3)から(1-6)の活動に参加する。
(1-8)WGのうち最高裁判所のメンバーが、日本人専門家の協力のもと、(1-3)から(1-7)の活動を通じて得た、法案作成の実務改善、技術向上に関する教訓を参考資料として取りまとめる。

(2-1)最高裁判所が人材育成を強化するためのWGを設立する。
(2-2)WGが、日本人専門家の協力のもと、日本その他の諸外国における研修制度等、裁判官、書記官、裁判所スタッフ研修の改善に必要な情報を収集し、改善の方法を検討する。
(2-3)WGが、日本人専門家の協力のもと、裁判官、書記官、裁判所スタッフの研修カリキュラム、テキスト、研修手法等を改善する。
(2-4)最高裁判所が、JICAの協力のもと、裁判官、書記官、裁判所スタッフに必要な研究・研修機材等を整備する。

投入

日本側投入

・長期専門家派遣:【126M/M】(12M/M×3名×3.5年)
(1)法案作成/法案審査/法的助言/人材育成
(2)法案作成/法案審査/法的助言/人材育成
(3)業務調整/援助協調
・短期専門家派遣
・研修員受け入れ

相手国側投入

・施設提供(プロジェクトオフィス、ワーキンググループ(WG)会議室等)
・カウンターパート配置
プロジェクトダイレクター(2名):法務長官府局長、最高裁判所局長
プロジェクトマネージャー(2名以上):法務長官府副局長・課長級、最高裁判所副局長・課長級