プロジェクト概要

プロジェクト名

(日)工学教育拡充プロジェクト
(英)Project for Enhancement of Engineering Higher Education

対象国名

ミャンマー国

署名日(実施合意)

2013年10月4日

プロジェクトサイト

ヤンゴン、マンダレー

協力期間

2013年10月4日から2020年4月3日
※延長しました。

相手国機関名

ヤンゴン工科大学、マンダレー工科大学

背景

(1)当該国における高等教育セクターの現状と課題

1)高等教育の質の低下:現在までの経緯
ミャンマー連邦共和国(以下、「ミャンマー」)は1950年代までは東南アジア地域では高等教育の先進国であり近隣諸国から留学生が集まっていた。しかしながら、1)1960年代からの社会主義政権下において大学への予算配分が恒常的に不足したこと、2)1988年に発生した学生の民主化運動デモに伴い、大学が2000年まで断続的に閉鎖されたこと、さらに、3)2000年以降、学部生の受け皿として地方に多数の高等教育機関を短期間で新設したため、経験豊富な教員を十分な人数確保することが困難であったことなどから、高等教育の質が低下した。現在のミャンマーにおいては、経済・社会開発に資する各種課題解決能力の高い工学系人材の果たす役割は大きく、また日本企業を含む民間企業もこのような人材を求めているが、現状としては応用力・実践力がある人材が育成されておらず、産業界等のニーズに十分応えられていない。

2)現在の高等教育セクターの全体像
ミャンマーにおける高等教育は、教育省の全体取り纏めのもと、13省庁が管轄しており、合計163の高等教育機関が存在する。これらの高等教育機関への進学者数は約47万人(2012年時点)となっており、進学率15%と他の東南アジア諸国に比較して低い数値となっている。163機関のうち教育省が66機関、科学技術省が61機関と、両省で全体の約8割の高等教育機関を所掌している。工学系の高等教育機関については、科学技術省が管轄をしており、工科大学(Technological University)31校が存在している。

3)ヤンゴン工科大学とマンダレー工科大学の概要
ヤンゴン工科大学(Yangon Technological University, 以下、「YTU」)は科学技術省傘下にある高等教育機関の中で一番歴史も古く、同省傘下の他の工科大学に助言を行う立場にある。民主化運動への対応の中で、2001年から修士・博士課程のみを提供する大学院大学となったが、2012年12月からは、新たに6年制のCOE学部プログラムの提供を開始し、下ミャンマー全域から学士課程に優秀な学生を集めて、近隣諸国に劣らない質の高い学部教育の提供を目指し始めたところである。
マンダレー工科大学(Mandalay Technological University, 以下、「MTU」)は上ミャンマー地域を代表する工学系高等教育機関であり、他の工科大学教員の修士・博士号取得のための国内留学先にもなっており、またYTUと同様、上ミャンマー全域から優秀な学生を集めて、COE学部プログラムを2012年12月から開始している。

4)両大学の直面する課題
冒頭に記載したようなミャンマーの高等教育機関の質の低下については、科学技術省傘下の工学系トップ大学であるYTUとMTUにおいても同様の状況にある。具体的には、1)教育の内容については、暗記中心の教授法、応用力・実践力が育たない教育方法、また、2)教員の質については、経験の少ない多数の若手教員(教育の中断の影響)、実践経験の不足、教員の能力向上機会の不足、安い給料・実績に連動しない教員評価制度、さらに、3)研究の質については、研究環境の未整備(研究機材、予算、論文、他の参考文献、学会等)、これに起因する教員の研究経験不足(過去20年間、研究が殆ど実施されず)、教員の研究へのインセンティブ不足、などが課題となっている。

(2)当該国における高等教育セクターの開発政策と本事業の位置づけ

2012年に大統領が各省に担当セクターに関する国家開発計画を準備するように指示を行ったことを受け、教育省(高等教育セクターの調整・計画を主導)は、13項目からなる高等教育セクターの国家開発計画を策定した。同計画では、ASEAN各国と同等の水準の高等教育システムを達成すべく、国際水準の教育の実現、外国大学とのネットワーク強化、大学の教員・事務系・技術系職員の能力強化、学生の質の向上、等に係る行動計画を策定している。
また、科学技術省(工科系大学を所掌)は、2001年以降大学院大学となっていたYTUとMTUにCOE学部プログラムを2012年に開設することにより、2020年までにASEAN諸国の大学と同等レベルの質の高い教育を実現することを目指している。
本事業は、対象大学であるYTU・MTUと本邦大学とのネットワークを強化しつつ、教員の能力強化や学生の質の向上を目指すものであり、上記のようなミャンマー政府による高等教育機関の質向上に係る諸政策と合致している。

目標

上位目標

ヤンゴン工科大学とマンダレー工科大学の対象学科を中心に質の高い卒業生が輩出され、産官学の各界に就職することを通じて、ミャンマーの経済社会の発展に貢献する。

プロジェクト目標

ヤンゴン工科大学とマンダレー工科大学の対象学科を中心とした学部教育の質と研究能力が向上する。

成果

成果1. 教員の研究能力が博士号取得及び共同研究を通じて向上する
成果2. COE学部プログラムのコースワークがより多くの実験演習を含む内容に改善される。
成果3. 大学の組織制度と教員の教育手法が実践的教育を実施できるように改善される。

活動

成果1:研究能力向上

1-1. YTUとMTUの教員を対象とした3.5年間の本邦博士プログラムにより、教員の能力向上を行う。
1-2. YTUとMTUの研究活動を促進するための、研究資金供与や教員研修を実施する。
1-3. YTUにおける共同研究に必要な機材をYTUとMTUに供与する。
1-4. YTU・MTUがより多くの研究資金を得るための計画を策定する。

成果2:COE学部強化

2-1. カリキュラムとシラバスを検討・改定する。
2-2. 実験演習のための手引書を作成する。
2-3. 実験演習に必要な機材を供与する。
2-4. ミャンマーで活動している日本産業界との連携を強化することにより「産業界実務研修」(毎学年末)及び「補完プログラム」(卒業前半年)での実務研修の機会を拡大する。
2-5. 教育プログラム管理(カリキュラム、シラバス、手引書)についてPDCAサイクルを導入・実施する。

成果3:実践的教育に向けた組織制度・教育手法の改善

3-1. 日本人専門家のモデル授業により教員を育成する。
3-2. 日本型の研究室を中心とした教育システムを導入・現地化する(研究室での研究に基づく卒業研究(卒論)作成や修士・博士学生の研究・教育助手としての活用含む)。
3-3. 教育内容・方法等に係る好事例を教員間で共有するためのファカルティ・ディベロップメント(FD)活動を実施する。
3-4. 機材(教育・研究用)を適切に運用・維持管理するための体制を強化する。
3-5. 国内支援大学とのMOU締結を促進する。

投入

日本側投入

・長期専門家:4名程度(計240MM程度)
(チーフアドバイザー1名、アカデミックアドバイザー2名、業務調整員1名)
・短期専門家:約240名+α程度(本邦大学教員、年間1学科あたり8名)
・博士号取得:40名程度(本邦博士2014年度、2015年度入学)
・短期研修:60名程度(年12名程度、1学科あたり2名程度)
・機材供与:教育・研究用機材
・その他:研究活性化資金、専門家現地活動費、ワークショップ開催費等

相手国側投入

・C/P配置
・Project Director:科学技術省先端科学技術局長
・Project Manager:YTU学長、MTU学長
・日常的C/P:各対象学科長(6名×2大学=12名)、各学科の教員
・専門家執務室、機材等の維持管理費用、その他経常費用

外部条件

(1)実施のための前提

・工学系人材に対するニーズが劇的に変化しない。
・YTUとMTUが新/他大学に統合されない。

(2)成果達成のための外部条件

・訓練/指導をうけた教員がYTU・MTUに留まる。
・YTUとMTUがCOE学部プログラムの実施を継続する。

(3)プロジェクト目標達成のための外部条件

・設定されていない。

(4)上位目標達成のための外部条件

・設定されていない。