日本人指導教員のミャンマー訪問(その2)

2016年2月3日

前号に引き続き、2015年11月には基礎医学の博士課程長期研修員を受け入れている日本側指導教員3名がミャンマーを訪問しましたので報告します。

金沢大学血管分子生理学安藝翔助教(11月19〜20日)

金沢大学の多久和陽教授のもとで、生理学長期研修員のDr. Khin Thuzar Aungが研修を行っています。彼女に日常的指導を行っている安藝助教が来緬し、出身校であるヤンゴン第二医科大学にて学長Prof. Aye Aungや生理学学科長Prof. Mya Mya Thwinと面談し、学内の共同研究ラボを視察しました。ラボが日本の学部生向けのレベルに相当し、ミャンマー研修員の研究手技が知識量に比べて弱い理由が分かったと、今後の指導方法の参考になったようです。ミャンマー側教授との面談では、機器やメソドロジーは常に進化するものなので、ある手技を4年間でマスターするというより、研究に対する考え方・哲学を体得することが重要と述べ、帰国後の長期研修員が教育者として次世代を育成する役割を強調しました。

千葉大学公衆衛生学羽田明教授(11月23〜26日)

羽田教授は、生化学長期研修員Dr. Kyaw Thihaを受け入れています。マグウェイ医科大学を訪問し、学長 Prof. Aye Tun、生化学学科長Prof. Khin Win Sein等と面談しました。学長からはマグウェイ地域の疾患の状況と、研究部門の新設が認められたので研究も進めていきたいとの説明、学科長からは課題や将来展望について説明がありました。長期研修員の研究テーマについては、ミャンマーの保健医療の向上に資するものであってほしいとの要望が示される一方、最先端の研究には多くのサンプル数と研究費が必要であり状況は厳しいとの説明が羽田教授からありましたが、今回の面談を契機として、研修員を含めて両教授は緊密な連携を取っていくことになりました。

岡山大学薬理学西堀正洋教授(11月26〜29日)

西堀教授は、薬理学長期研修員Dr. Soe Soe Htweを受け入れています。ヤンゴン第一医科大学の薬理学学科長Prof. Nang Hla Hla Win(名古屋大学にて博士号取得)、ヤンゴン第二医科大学の薬理学学科長Prof. Nu Nu Aye(山梨医科大学にて博士号取得)と面談し、薬理学関係者を対象に「敗血症の病態生理学と新治療法」について講義を行いました。聴衆は両医科大学から60名に上り、活発な質疑応答が交わされました。西堀教授は近年、自然物質の医学への応用のため分析検査システムを研究中であり、ミャンマーに有益な内容として長期研修員の研究テーマに活用できるかもしれないとの紹介があり、第二医科大学薬理学科長と連絡を取り合うことになりました。

【画像】

金沢大学安藝助教へのヤンゴン第一医科大学でのブリーフィング

【画像】

西堀教授のヤンゴン第二医科大学でのレクチャー

【画像】

千葉大学羽田教授とマグウェイ医科大学生化学科長