医学教育の認証評価に関する研修

2016年12月1日

現代の国際グローバル化の波は経済活動だけでなく医学教育の領域にも押し寄せています。医師、患者等が国境を越えて行き来する中、ある国の医療を担う医師たちが国際水準に見合った医学教育を受けてきたかどうかが問われています。

これは2010年に米国が「2023年以降は国際的基準で認証評価を受けた医科大学・医学部の出身者のみに米国での医業申請資格を与える」と宣告したことが引き金になっています。日本は2001年には医学教育モデル・コア・カリキュラムを設定し全国で導入していましたが、これを受けて早速、日本医学教育認証評価評議会(JACME)を発足させ、世界医学教育連盟(WFME)の国際水準に準拠した基準を作成して医学教育の認証評価を実施することとしました。ミャンマーもまた、医学教育の向上のために認証評価制度を導入することを目指して、日本の経験に学びたいと支援を求めてきました。

2016年5月、千葉大学田邊政裕名誉教授、白澤浩教授による当地ヤンゴンでのセミナーに続き、10月11日と12日に、千葉大学にてミャンマー側医学教育関係者の研修が実施されました。来日したのは4医科大学学長、看護大学学長、保健省保健人材開発管理局の学術担当副局長、ミャンマー医療評議会(MMC)副会長の7名です。一行は、学習成果基盤型教育(Outcome-based education)の状況や臨床実習のためのスキル・センターなどの施設を見学、さらに千葉大学のJACMEによる認証評価の詳細を学び、準備してきたヤンゴン第一医科大学のWFMEの基準に則った自己アセスメントについて突っ込んだ協議も行いました。

ミャンマーでは4医科大学は同一カリキュラムを採用し同質の教育を行っていると言われていますが、今回、4医科大学の学長全員が研修に参加したことから、ミャンマー側の強い意気込みが感じられました。千葉大学側には懇切丁寧に経験を共有いただき、学長達一行からは所期の目的が全て達成されたと深い感謝の意が表されました。ミャンマー側にとっては、医学教育の認証評価を導入するにはまだまだ長い道のりですが、この研修の経験を元にミャンマーの置かれた環境の中で着実に歩みを続けていってほしいと切望しています。

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開会:中山俊憲医学研究院長(左から7番目)表敬

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Histology(組織学)実習教室見学

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模擬手術室見学