基礎系長期研修員の研究経過報告会

2017年6月7日

本プロジェクトによる基礎医学系長期研修員12名は、2015年4月に来日し6大学の博士課程に入学、2017年3月に2年経過となります。各大学を所管するJICA国内センターの担当者は、日常的な研修員とのコンタクトに加え、定期的モニタリングとして基本的に6か月毎に研修員・指導教授との面談を実施しています。それにより、研究が順調に進んでいるかどうか、日本の生活に馴染んでいるのかどうか知ることができます。

今回は、4年間の博士課程のちょうど折り返し点として、長期研修員とその指導教官に参集してもらい研究経過報告会を行いました。年度も押し詰まった2017年3月31日午後、長期研修員12名、指導教授等15名、岡山大学事務局2名、JICAを含む計33名がJICA市ヶ谷に集いました。また、本会議のためにミャンマー代表として保健大臣から指名されたヤンゴン第一医科大学(UM1)学長Prof. Zaw Wai Soe及び副学長Prof. Theingi Myingも出席しました。

研修員は各自7分間のプレゼンテーションの中で、研究テーマの紹介とPhD取得までの4年間の研究計画、研究を進める上で経験した困難な点とそれをどのように克服したかを報告しました。研修員の中には、既に論文を投稿したり学会で口演した者もあり、ほぼ全員が順調に研究を進めていることが窺えました。また、ミャンマー人にはプレゼンテーションに慣れていない人も多いのですが、UM1学長の「非常に満足した」との言葉どおり、それぞれに素晴らしいプレゼンでした。この報告会のために、指導教官のご協力を得て予行演習を重ねたであろうことは想像に難くありません。

意見交換では、長期研修員からは日本での研究の機会を与えられたことは非常にラッキーだけれども、ミャンマー帰国後の貧弱な研究施設・環境が不安だとの意見が出され、また日本側指導教官からも、帰国後はミャンマーの医科大学に戻って教員としての職務の他に、研究のための時間の確保を求める声が出されました。

これに対してUM1学長は、6大学の各指導教授のご尽力に深謝しつつ、プロジェクト開始時に長期研修員の帰国までには研究環境を整備することを約束していること、新政権下で保健スポーツ省から各大学に研究予算が配布されることなどを説明しました。また研修員には、自ら将来計画を設計し自分たちで着手してほしいと激励し、研究に関することだけでなく、日本の規律と規範、ルール策定などを体得してミャンマーに持ち帰ってほしいとの期待も表明しました。学長の真摯な言葉は研修員のみならず日本側出席者にも真直ぐに届いた様子で、強い一体感が生まれた会議となりました。

また、報告会に先駆けてUM1学長は熊本大学を訪問し、研究室や共同利用の実験施設、医学部付属病院を見学させていただき、ミャンマーでの研究施設の建設計画に向けて有益な示唆を受けることができました。

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研究経過報告会(JICA市ヶ谷)

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UM1学長Prof. Zaw Wai Soe(話者)

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長期研修員とUM1学長・副学長

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熊本大学富澤一仁教授(左)、松下修三教授(左から3人目)と各長期研修員