医学教育認証評価フォローアップセミナー

2018年3月7日

ミャンマー医学教育の向上に向けて、当プロジェクトでは2016年10月に4医科大学学長ら7名による千葉大学への医学教育認証評価スタディツアーを実施しました。何事もまずはトップから、というミャンマーのやり方に倣った進め方です。その後、ミャンマー側から、より多くの大学教員及び関係者を巻き込んだ現地活動が要望されたことを受け、2018年1月にヤンゴン第一医科大学にてフォローアップセミナーを開催しました。

今回は、千葉大学研修に参加したミャンマー医療評議会(MMC)が、世界医学教育連盟(WFME)の国際基準に沿ったミャンマー版スタンダードのドラフトを完成させたタイミングに当たりました。そのため、審査する側のMMCが全医科大学にミャンマー版スタンダードの説明を行い、審査を受ける側である4大学はそれぞれ分担の領域に関して現状報告と自己評価、改善のための取り組み状況を発表しました。馴染みのWFMEスタンダードと、国ごとの現状に即したミャンマー版スタンダードとの相違も見えてきました。ここに、千葉大学の医学教育専門家2名から日本の認証評価制度の経験に基づいた指摘や提案などが行われ、率直な意見交換が展開しました。

例えば、教育・学習方法について、日本では医学部定員上限は120名のところ、ミャンマーでは500名を超す大学もあり、その状況ではPBL(問題基盤型学習)やCBL(症例基盤型学習)方法の実施は難しいと考えられます。ミャンマー側はWFMEの理想の追求ではなく、現実に即した目標設定が必要です。また、統合カリキュラムは基礎系と臨床系のカリキュラムを統合させて学習内容の総合的理解を図るものですが、何のために統合するのか、目標とする教育成果を正しく把握しないと、正しい学生評価を行えません。

ミャンマーでは大学教員の個人業績評価は未だ導入過程にあります。基準に則って評価を行うこと自体に不慣れな点が散見されました。しかし、医科大学がミャンマー版スタンダードに即して自己評価を行い、そこから課題を抽出して自ら改善に取り組むという認証評価制度のコンセプトについて認識が深まったと思われます。この先、改善計画をどのように実施に移していくか、長い道のりですが、ミャンマー側の正念場と言えます。

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臨床実習の視察

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フォローアップセミナー

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ミャンマー教授による発表