現地普及セミナーの実施(内視鏡画像診断技術・救急科)

2018年10月10日

2017年度に日本での研修を終えた臨床系短期帰国研修員による現地普及セミナーは、これまで長崎大学(病理診断技術)、金沢大学(放射線科画像診断技術)、新潟大学(産婦人科超音波診断技術)、熊本大学(麻酔科)の4分野が終了しています。今回は、千葉大学(内視鏡画像診断技術)と岡山大学(救急科)のセミナーの様子をご紹介します。

セミナーには、毎回、研修員を日本で指導していた6協力大学の指導教員が参加しています。日本での研修開始時とミャンマー帰国後の研修員の手技を比較し、その技術の向上を口にする指導教員は少なくありません。帰国研修員、指導教員双方にとってこの普及セミナー開催は、現状の把握とその次のステップを明確にできる貴重な機会となっています。

千葉大学【内視鏡画像診断技術】

千葉大学より2名の指導教員を迎え、8月30日ヤンゴン総合病院、国立内視鏡センターで現地普及セミナーが行われました。セミナーに先立ち、指導教員は、日本で研修を終えた研修員が勤務するマンダレー総合病院を見学し、帰国研修員が実施する内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP:endoscopic retrograde cholangiopancreatography)に立ち会う機会を得ました。ERCPを実施していた帰国研修員は研修を終えてまだ5ヶ月ですが、千葉大学の指導教員は“帰国研修員の技術向上が目覚ましい”と評価していました。普及セミナーでは、ERCPトレーニングモデルを使用したハンズオンセッションを実施し、参加者が内視鏡を胆道モデル内に慎重に挿入する姿が印象的でした。

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ERCP検査中

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ハンズオンセッション

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ハンズオンセッション

岡山大学【救急科】

10月3日マンダレー医科大学、10月4日ヤンゴン第1医科大学で現地普及セミナーが行われ、両日合わせて約100名の参加がありました。ミャンマーには5つの医科大学がありますが、現時点で救急学科は第1医科大学にマスターコースとディプロマコースがあるだけです。急性脳血管疾患、心疾患が死因上位を占める中、救急科の人材育成はとても重要です。

セミナーはプレゼンテーションとハンズオンセッションとの2部構成で行われました。ハンズオンセッションでは、岡山大学病院の臨床工学技士より人工呼吸器のメカニズムについて、実際人工呼吸器を用いた指導が行われました。また、救急医からはCase Discussion, Triage for disasterについてグループワークが行われましたが、参加者それぞれが積極的に考えを出し合い、グループとしての答えを出そうとしている様子が見られました。チームワークを必要とする救急科であるからこそ、日常のチームワークがハンズオンセッションにも反映されたようです。

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帰国研修員Dr. Cho Thazin Hpu プレゼンテーション

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人工呼吸器メカニズムのハンズオンセッション

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Triage for disasterグループワーク

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Triage for disasterグループワーク