プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)医学教育強化プロジェクト
(英)Project for Enhancement of Medical Education

対象国名

ミャンマー連邦共和国

署名日(実施合意)

2015年2月23日

プロジェクトサイト

ミャンマーにおける全医科大学(ヤンゴン第一医科大学(UMY1)、マンダレー医科大学(UMM)ヤンゴン第二医科大学(UMY2)、マグウエー医科大学(UMMG)の4校)及び教育実習病院(ヤンゴン総合病院、中央婦人病院等)

協力期間

2015年4月1日〜2019年9月30日(計54ヶ月)

相手国機関名

保健・スポーツ省保健人材局(Department of Human Resources for Health, Ministry of Health and Sports)

背景とプロジェクトの概要

1.背景

(1)基礎情報

ミャンマー連邦共和国(以下「ミャンマー」、人口5,141万人(2014年人口センサス)、面積68万平方キロメートル、国民一人当たりのGDPは868ドル(2012-13年))は、軍事政権下において国家経済が長期にわたって停滞し、保健セクターにおいても、その影響を受けてサービスの整備が滞り、多くの課題を抱えています。近年改善が見られるものの、依然として5歳未満児死亡率(2011年、出生1,000に対し52.3)、妊産婦死亡率(2011年、出生10万に対し200)とも、アセアンの中でラオスやカンボジアと並んで最も悪い状況にあり、関連するMDGs 4・5の達成は難しい状況にあります。さらに生活様式の変化に伴い、交通事故や慢性疾患も増加しつつあり、重大な負担をもたらす疾病リストの1990年と2010年の比較では、交通外傷は21位から11位に、慢性疾患では循環器系疾患は5位から1位に悪化、悪性腫瘍は2位となっています。

保健医療人材の配置状況についても、WHOの示す基準1000人当たり2.3人に対し、ミャンマーでは医師0.55人、看護師・助産師0.94人、計1.49人と基準に達していません。その中でも医師の養成は保健省保健人材開発管理局(DHPRDM)が所管し、ヤンゴン2校、マンダレーとマグウェイ各1校の全4校の医科大学にて毎年2,400名の医師を輩出していますが、経済制裁時には留学など海外との交流の機会が減少し教員の質の低下が強く懸念されています。このため、医学教育の質の向上及び公務員医師ポストの不足への対応として、2013年から医学部定員を半減させました。さらに、2014年にシャン州タウンジーに医科大学を1校増設し1年生が入学したところです。

このように、優秀な医師を育成するためには医学教育の強化が必須であり、中でもミャンマーの保健医療の課題の解決に取り組むためには、基礎医学分野の強化に加え、妊産婦の産前検診や悪性腫瘍などの診断技術の向上及び救急医療の体制整備が必要となっています。

(2)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(以下UHC)の達成に向けたミャンマー政府の取り組みと本プロジェクトの関係

ミャンマーでは、「国家保健政策(Myanmar Health Vision 2030)」及び「国家保健計画(2011-2016)」が策定され、保健医療サービスの拡充に向けて取り組んでいます。

また、ミャンマー政府は2014年4月に、すべての人々が適切な保健医療サービスを受けられるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成を戦略として打ち出し、その実現のため保健医療人材の開発に高い優先順位を置いています。現行の「保健人材戦略計画(2012-2017)」においても、保健医療系大学の開発計画の見直しや卒前・卒後教育の強化などが掲げられています。

2.本プロジェクトの概要

上位目標

ミャンマーにおける医療サービスの質が向上する。

指標:

1)放射線科放射線科医:放射線科医が、特に腹部領域において、CT/MRIの各装置の性能に応じて最適な画像診断を行う。放射線技士:帰国研修員が中心となってテクニカルセミナーを年に1~2回開催し、CT/MRI検査におけるミャンマーの課題を抽出し、日本の基準とミャンマーの現状に従い、機器の性能に応じた最初の標準的プロトコルを設定する。
2)産婦人科エコー診断を実施できる産婦人科医の数が増加する。
3)内視鏡診断内視鏡診断治療件数が増加し、手技の成功率が向上する。合併症発生率が低下し、治療時間が短縮される。
4)病理診断CAMPASという名称にて立ち上げた病理データベースに、ミャンマー人病理医が新たに興味深い症例をアップロードし、教育及び診断のために活用し続ける。
5)救急科エビデンスに基づいた救急医療の実施のため、コンピュータによるデータ収集システムを導入する。
6)麻酔科日本の研修で修得した新たな技術、具体的には気管支鏡を使用した全身麻酔、呼吸器外科手術・肝移植手術の麻酔管理、ICUにおける血液浄化などがミャンマーで使用されるようになる。

プロジェクト目標

ミャンマーにおける医科大学の研究・臨床技術・教育に係る能力が強化される。

指標:

1)Ph.D.取得者による研究計画の立案数
2)臨床分野の講義、実技がプロジェクトによって改善されたと考える教授と帰国研修員の数

成果1

4医科大学の基礎医学系6分野(注1)における研究・教育能力が強化される。
(注1)6分野:解剖学、生理学、生化学、微生物学、薬理学、病理学

活動:

1)日本の6大学にミャンマー人長期研修員12名を受け入れる。
2)上記12名の日本人指導教官が、ミャンマーにおいて研究・教育に係る現状調査を実施する。
3)現状調査の結果に基づき、出願時の研究計画を修正する。
4)帰国研修員がミャンマーにて研究を行うための計画作成を支援する。
5)プロジェクトのリサーチファンドによって博士号取得研修員のミャンマーでの研究を支援する。

成果2

ミャンマーの臨床医学における分野横断的技術(注2)として画像診断技術と救急医療に関する研修プログラムが改善される。
(注2)画像診断技術4分野:放射線科、産婦人科、内視鏡診断、病理診断救急医療2分野:救急科、麻酔科

活動:

1)関係者に対してプロジェクト概要を紹介するためのオリエンテーションを開催する。
2)6大学の指導者が、ミャンマーの臨床技術と教育レベルのアセスメントを行う。
3)各大学が現状調査に基づき、日本での研修プログラムを策定する。
4)日本の6大学がミャンマーの研修員を受入れる。

成果3

アウトプット1および2の成果物(注3)が医科大学の卒前・卒後教育に導入される。
(注3)アウトプット1の成果物:長期研修員による基礎医学系分野の博士論文、ミャンマー帰国後に所属大学において行う継続研究計画

アウトプット2の成果物:臨床医学系6分野に係る本邦研修プログラムのエッセンス

活動:

1)帰国研修員の博士論文のセミナー開催を支援する。
2)臨床系帰国研修員の日本で得た知識・技術の普及セミナーの開催を支援する。
3)普及セミナーのDVDを作成する。
4)帰国研修員の業務改善を支援する。
5)医学教育認証評価を導入するため省と医大を支援する。