プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)マラリア排除モデル構築プロジェクト
(英)The Project for Development of Malaria Elimination Model in Myanmar
(通称)Malaria Elimination Project

対象国名

ミャンマー

署名日(実施合意)

2015年9月30日

プロジェクトサイト

伝播強度によって選択されたバゴー地域(約39.4千平方キロメートル、約480万人)及び周辺地域の41タウンシップ

【画像】

協力期間

2016年3月4日から2022年3月3日(6年間)

相手国機関名

ミャンマー保健省公衆衛生局

背景

(1)現状と課題

ミャンマーの公衆衛生上の重要課題として死亡率および罹患率ともに上位を占めていたマラリアは、外部からの支援が増加した2010年以降著しい減少を見せ、2015年を前にミレニアム開発目標におけるマラリア感染数低減目標に到達することができました。しかし、ミャンマーの地理的特性や社会的問題、マラリア対策の体制構築の遅延等が要因となり、メコン地域においては、いまだ、死亡・罹患ともに最も多い状態にあります。
そのような状況の中、2014年第9回東アジア首脳会議において、2030年までのミャンマーを含むアジア・太平洋地域におけるマラリアの排除が採択され、ミャンマー政府もその目標に沿ったマラリア対策戦略を展開していくことが急務となっています。

JICAが2005年から10年間にわたり実施した「主要感染症対策プロジェクトフェーズ1及び2(2005〜2015年)」等の貢献もあり、人口10万人当たりのマラリア死亡率は2006年の2.91から2013年の0.48まで大幅に減少し、国内中部のバゴー地域を中心とするプロジェクト対象地域では死亡率のみならず罹患率の激減も認められました。これらの成果を踏まえ、ミャンマー政府は、バゴー地域を含む中央部ミャンマーをマラリア排除のパイロット地域としました。
他方、薬剤耐性マラリア対策や、移動人口、遠隔地への直接介入等が求められており、さらに伝播の動向を的確に監視するサーベイランスシステムの開発と運用等を含めたマラリア排除のための総合的モデルを構築していくことが急務となっています。

(2)ミャンマーにおける保健セクターの開発政策と本プロジェクトの位置づけ

ミャンマー政府は「国家保健計画(National Health Plan 2011-2016)」及び「国家保健政策(Myanmar Health Vision 2030)」の中で、保健医療サービスの拡充をうたっています。マラリア対策では、国家マラリア対策戦略5か年計画を2012年に修正し、殺虫剤処理蚊帳の配布箇所拡大による感染予防対策や患者の早期発見、診断とアルテミシニン併用療法(Artemisinin-based Combination Therapy:ACT)を基盤とした適切な治療による感染源の減少、それらを支えるマネジメント能力の強化、住民のエンパワメント等を主要戦略として盛り込むとともに、国際機関やドナー間のパートナーシップ強化を図っています。世界マラリア技術戦略(Global Technical Strategy for Malaria 2016-2030)に準拠した2016年〜2020年までの国家マラリア対策戦略では2030年までのマラリア排除への戦略・戦術が明示されており、本事業は国家のマラリア対策をより上位のレベルで強力に推進し、マラリア排除に向けたモデルを構築・実証して将来的に全国展開するための支援となっています。

(3)保健セクターに対する我が国及びJICAの援助方針と実績

本事業は、我が国のミャンマー経済協力方針において「国民の生活向上のための支援」に位置づけられ、本事業は同方針に合致します。JICAは、これまで「主要感染症対策プロジェクトフェーズ1及び2(2005〜2015年)」のマラリア分野においてコミュニティベースのマラリア対策モデル(薬剤・資機材ロジスティックスシステム、疫学情報解析・突発流行警戒システム等)を構築・普及させました。また、2008年実施の無償資金協力「マラリア対策計画」では、軍政下でJICA以外のパートナーによる支援が中断されていた中、治療薬や迅速診断キット等の整備を支援して、対象地域における人口10万人当たりの死亡率を2009年の1.48から2011年の0.71へ半減させることに貢献しました。2016年度には無償資金協力「マラリア対策機材整備計画」が実行され、マラリア排除に関連する機材を調達して排除モデル構築のための環境を整備し、本事業との連携のもとで目的を達成させていきます。これら一連の継続した活動により、JICAは同国のマラリア対策における最重要パートナーとして認識されています。

プロジェクトの概要

本プロジェクトは、ミャンマー国内において、マラリア排除に向けた活動モデルを構築しその有効性を実証することにより、国家マラリア対策プログラムの機能強化を図り、実証されたモデルの全国的な導入に寄与するものです。

目標

上位目標

開発されたマラリア排除モデルがプロジェクト対象地域以外でも活用される。

プロジェクト目標

国家マラリア対策に寄与する効果的なマラリア排除の戦術モデルが開発される。

成果

成果1

マラリア感染の排除に向けた標的地域への集中介入がプロジェクト対象地域で実施される。

活動
1.1 マラリア低流行度状況において症例発見を維持するため、CHW活動をモニタリングする。
1.2 マラリア迅速診断テストや抗マラリア薬等の必須資材の在庫払底を避けるため、物流管理を維持する。
1.3 森林局や地方自治体行政部門等の他セクターとの調整、アドボカシーを行う。
1.4 それぞれのタウンシップ保健担当官との協議・情報共有を行い、マラリア排除活動に向けたタウンシップの積極的介入を得る。
1.5 マラリア伝播が発生している、一般村落を越えた植林地、工事現場や焼き畑等の労働現場におけるマラリア排除モデルを開発する。

成果2

監視、モニタリング、現状分析等の戦術強化のための支援システムが開発され、実施される。

活動
2.1 タウンシップにおけるマラリア排除活動に用いる利便性の高いGISマニュアルの開発を行う。
2.2 介入の標的となるマラリア伝播地域を見いだすための調査方法マニュアルの開発を行う。
2.3 血清学調査手法を開発する。
2.4 マラリア検査室の円滑稼働に向けた環境整備や必要資機材の支援を行う。
2.5 マラリア検査室の最大限の活用に向けてコンセプトを構築する。
2.6 マラリア排除に効果的な、マラリア流行の潜在的リスク定義のための昆虫学および社会行動学的調査手法を確立させる。
2.7 オペレーショナルリサーチを実施する。
2.8 マラリア排除活動を支援するため、ミャンマーマラリア研究論文目録を開発する。
2.9 国家マラリア対策の活動支援強化に向けて、無償資金協力で供与された資機材が効果的に活用されるよう支援する。

成果3

異なるレベルの保健担当者を対象とした人材育成活動が実施される。

活動
3.1 CHW新規採用者研修および補修研修(マラリア概論、早期診断早期治療、報告)を実施する。
3.2 州・地域およびプロジェクト対象41タウンシップにおける保健スタッフを対象にGIS研修を実施する。
3.3 プロジェクト対象41タウンシップにおけるマラリアスタッフに対し、データ管理研修を実施する。
3.4 調査対象とする州・地域およびタウンシップのVBDCスタッフに血清疫学研修を実施する。
3.5 州・地域の昆虫学担当者を対象とした昆虫学研修を実施する。

成果4

プロジェクト活動成果が、分析、編集、文書化され、その情報が拡散共有される。

活動
4.1 プロジェクト活動の改善のため収集したデータや情報を分析する。
4.2 分析したデータや情報を編集し、文書化する。
4.3 プロジェクトの成果を拡散共有する。
4.4 オックスフォード大学医学史学研究所との共同活動を通し、ミャンマーにおけるマラリア対策の歴史的なレビューを実施する。