プロジェクト概要

プロジェクト名

(日)ミャンマーの災害対応力強化システムと産学官連携プラットフォームの構築プロジェクト
(英)Project for Development of a Comprehensive Disaster Resilience System and Collaboration Platform in Myanmar

対象国名

ミャンマー国

署名日(実施合意)

2015年4月9日

プロジェクトサイト

ヤンゴン、バゴー川流域

協力期間

2015年4月9日から2020年4月8日(5年)

相手国機関名

教育省、ヤンゴン工科大学

背景

(1)当該国における防災セクターの現状と課題

ミャンマーにおいては風水害が多く発生しており、2008年のサイクロン・ナルギスによりヤンゴンやイラワジデルタで洪水が発生した他、2010年及び2011年にバゴー川流域、2013年にミャンマー南東部の4州で大規模な洪水が発生した。また、国内に活断層が複数存在し、ヤンゴン、マンダレー、首都ネピドーなどの主要都市がザガイン断層上または近傍に位置する。ミャンマーは、近年の民主化の動きを受けて経済活動が活発化しており、今後の成長が期待されているが、急激な国土開発、都市開発に伴う都市人口の拡大と産業・居住空間の拡大により、災害リスクの増大が懸念されている。

現在の社会基盤施設では災害抑止が困難である他、災害への備えを行う体制、人材、情報などが十分に整っていない。また、総合的な災害対応能力の強化のためには、産学官の緊密な連携が必要であるが、現状においては産学官それぞれの取組が十分でない上、産学官の連携がなされておらず、防災対応能力の強化に支障を及ぼしている。

ヤンゴン工科大学は1988年の全国的な民主化要求デモを受け、閉鎖と再開が断続的に繰り返され、2000年以降は大学院のみの運営となっていた。2011年の民政移管に伴い、2012年末に学部教育が再開したが、十分に防災分野の研究及び人材育成を行う体制となっていない。

こうした状況を受け、ミャンマーの安全な都市の形成を通じて安定的な経済成長に貢献すべく、同国の災害対応力を強化するシステムの開発及びそれを実現するための産学官の連携プラットフォームの構築を目的とした「ミャンマーの災害対応力強化システムと産学官連携プラットフォームの構築プロジェクト」(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム:SATREPS)が要請された。

(2)当該国における防災セクターの開発政策と本事業の位置づけ

2012年に策定された「災害リスク軽減のためのミャンマー行動計画(MAPDRR)」において、災害リスクの削減への取組を定めている。2013年には「自然災害管理法」が国会にて承認され、災害リスク軽減のための取組の実施、防災委員会の設置、関係機関との協調を規定している。

ミャンマー国教育省傘下にあるヤンゴン工科大学は、マンダレー工科大学などとともに教育省から中核的研究拠点(COE)に位置付けられており、本プロジェクトを通じて、災害脆弱性の変化を随時予測するシナリオ解析システム及びそれを基盤とする災害対応力を強化するための統合災害対応支援システムの開発・構築を計画している。また、これらシステムのミャンマー政府や産業界への普及を図るため、産学官連携のコンソーシアムの立ち上げを計画しており、今般、これらシステムの研究開発、研究開発に必要となる人材育成及びコンソーシアム運営を支援するための技術協力プロジェクト(STREPSスキーム)を実施することになった。

目標

上位目標

YTUがヤンゴン・バゴー地域での都市安全に貢献するために産学官連携プラットフォームを有効利用する

プロジェクト目標

YTUがヤンゴン・バゴー地域の都市安全に係る災害対応力強化システムと産学官連携プラットフォームを理解・発展させる

成果

成果1:災害脆弱性評価のための物理モデルの開発
成果2:将来の災害脆弱性を評価するシナリオ分析システムの開発
成果3:研究活動と人材育成の維持・向上のためのYTUにおける都市安全に関する研究センターの主な役割と活動の策定/発展
成果4:適切な技術を備えたインフラ整備管理を含む統合災害対応支援システムの開発

活動

(1-1)研究領域における水文・洪水浸水モデルの構築
(1-1-1)河川、水環境、水資源管理における情報とデータの収集と統合データベースの構築
(1-1-2)洪水脆弱性評価のための目標河川流域における水文学的および洪水浸水モデルの構築

(1-2)地震脆弱性評価手法の確立とヤンゴンデジタル地図データベースの作成
(1-2-1)ミャンマーの過去の地震による被害の調査
(1-2-2)ヤンゴンの建物特性から見た地震脆弱性評価モデル(建物特性の把握と地震被害関数の構築)の開発
(1-2-3)ヤンゴンの地盤特性(地形情報も含む)から見た脆弱性評価モデルの構築
(1-2-4)災害時重要施設の性能と分布調査に基づくヤンゴンの地域別都市機能から見た災害脆弱性評価モデルの構築
(1-2-5)ヤンゴン市内の歴史的建造物の分布と特性の調査(ヘリテージT)
(1-2-6)上記(2-2-2)~(2-2-5)を統合したデジタル地図データベースの作成

(1-3)調査地域における都市発展モデルの開発
(1-3-1)地理空間データの収集・分析と都市拡大シミュレーションの開発
(1-3-2)データ収集と人の行動モデルによる交通と人的流動の予測

(2-1)水害脆弱性の特性評価
(2-1-1)局地スケールでの気候変動分析
(2-1-2)目標河川流域における土地利用の変化の調査
(2-1-3)潮汐効果を考慮した河川流出と浸水危険性の評価
(2-1-4)潮汐効果を考慮した洪水浸水地図作成
(2-1-5)気候変動や都市開発のシナリオに基づく水関連災害脆弱性の評価

(2-2)地震災害脆弱性の評価と地震脆弱性地図の作成
(2-2-1)適切なデータインプットとアルゴリズムによる想定シナリオパターンの精査
(2-2-2)地震シナリオに基づく脆弱性評価
(2-2-3)地盤特性評価に基づく地震動分布地図の作成
(2-2-4)建物被災予想地図の作成
(2-2-5)災害対応都市機能評価地図の作成
(2-2-6)歴史的建造物の保全に係る耐震性評価と分布地図の作成
(2-2-7)地震災害脆弱性評価および統合的地震脆弱性地図の作成

(3-1)YTU都市安全に関する研究センターでの活動の発展
(3-1-1)研究センター設立申請書とロードマップ作成
(3-1-2)研究センター設立に向けた必要な作業の実施
(3-1-3)研究センター正式設立前/設立後の運営管理
(3-1-4)統合デジタル地図データベースの研究センターへの設置
(3-1-5)セミナー、ワークショップ、研究活動と研究センター発展に関する協議会合等開催

(3-2)政府職員やYTU卒業生を対象にした都市安全分野専門人材育成のための教育プログラムの開発
(3-2-1)研既存のYTU・MTUの教育プログラムの調査
(3-2-2)YTU教育プログラムにおける都市安全関連講義とカリキュラム試行の提案
(3-2-3)日本側教員/YTU教員合同による教育プログラムの実施と検証
(3-2-4)YTU教員主導による教育プログラムの実施と教育プログラム改訂支援

(3-3)産学官連携のコンソーシアムの設立
(3-3-1)コンソーシアムの求められる役割と活動の特定、ロードマップ作成
(3-3-2)研究成果物及び連携が想定される外部パートナーに関する調査
(3-3-3)コンソーシアム運営主要業務の準備作業
(3-3-4)コンソーシアムの運営管理能力向上のための共同研究試行

(4-1)ミャンマーでの災害軽減機能確保のための発展したインフラ維持管理システム及び技術の提案
(4-1-1)ミャンマーのインフラ、特に橋梁の管理および維持管理システムと技術のレビュー
(4-1-2)改善されたインフラの維持管理システムの提案
(4-1-3)破損したインフラ施設/建物に適切な補修技術を用いた検査とモニタリング方式の適用と提案
(4-1-4)ミャンマーの脆弱な建物(ヘリテージを含む)に適した補修技術の提案

(4-2)災害対応支援システム(地震災害・水害)の開発
(4-2-1)地方/中央政府の災害対応計画の調査と分析
(4-2-2)災害対応支援システムの要件定義とユーザーのニーズ分析
(4-2-3)地震災害/水害ハザード評価支援システムの試作
(4-2-4)災害対応支援システムのYTU研究センターへの導入とYTU教員やシステム利活用想定者を対象にした研修プログラムの実施

投入

日本側投入

  • 専門家(在外研究員):水関連災害、地震関連災害、地理空間技術、インフラ・マネジメント、交通及び移動、災害管理、業務調整
  • 国別研修(招へい外国人研究員):水関連災害、インフラ・マネジメント、地理空間技術、地震関連災害
  • 機材:データベースシステム、地図作成関連機器、道路・橋梁・構造の検査・モニタリング機器、地盤調査及び計測機器、プローブカー関連機器、インターネットサーバー、自動気象水文観測機器、遠隔測定装置、講義用機材等

相手国側投入

  • カウンターパート(研究員)の配置:プロジェクト・ダイレクター、プロジェクト・マネージャー、副プロジェクト・マネージャー、水関連災害、地震関連災害、地理空間技術、インフラ・マネジメント、交通及び移動、災害管理
  • 執務スペース
  • 日本側が供与する機材以外の必要機材、関連データ(地図及び写真含む)
  • ミャンマー側の体制構築にかかる経費
  • 水文気象観測機器設置に必要な許認可についての調整、関係機関との調整、調査の許可取得

外部条件

ミャンマー国の防災・高等教育分野にかかる政策が大きく変更されない