プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)メディカルエンジニア育成体制強化プロジェクト
(英)The Project for Human Resource Development of Medical Engineering

対象国名

ミャンマー連邦共和国

署名日(実施合意)

2018年1月10日

プロジェクトサイト

国立ヤンゴン医療技術大学(UMT-Y)

協力期間

2018年5月1日から2023年4月30日(5年間)

相手国機関名

保健・スポーツ省保健人材局、医療サービス局、UMT-Y

背景

(1)現状と課題

ミャンマーの保健医療セクターにおいては、依然として母子保健、感染症による死亡率が高い一方で、生活習慣病などの非感染性疾患(NCDs)による死亡・罹患が増加傾向にあり、全死亡数の59%がNCDsによるとの統計もあります(WHO. NCD Country Profiles, 2014)。従来の母子保健、感染症から、NCDsへと疾病構造の転換期にあるミャンマーでは、プライマリーレベルでの基礎保健サービスの提供と同時に、病院などの医療施設における医療サービスの質の向上が課題となっています。

ミャンマーでは、医療サービス(病院機能)は主として公立の施設が担っており、タウンシップ・ステーション病院が一次医療施設、郡病院が二次医療施設、州・地域総合病院が三次(または二次)医療施設、大都市主要病院・専門病院が三次医療施設として提供される体制となっています。また、都市部を中心に、民間病院も増加しつつあります。

こうした医療施設において、質の高い医療サービスを提供するためには、医療人材、施設・設備、資金に加え、医療機器が適切に保守管理され、運用されることが不可欠です。保健・スポーツ省は2011年以降、保健医療予算を毎年漸増させており、国家総支出に対する政府医療費支出の割合は2011年以前の1%前後から2015年には3.6%まで増加しました。予算増加に伴い、近年、医療機器が積極的に導入されています。また援助機関からの提供により最新型の医療機器も取り入れられ、求められる管理も高度化しています。しかし、医療機器の保守管理を行うための予算は十分に確保されておらず、各病院で医療機器管理にあたる人材も十分には配置されていないのが現状です。各援助機関から寄付された機器はメーカーが様々で、管理や修理も煩雑であるうえ、メンテナンス契約は付随していないことが多いのです。また、主要企業のミャンマーへの進出は遅れており、メーカーによる対応が困難な医療機器も多いのです。その結果、基本的な設定が行えない、故障原因が究明できない等の理由で、使用年数の浅い医療機器が十分に活用されていない現状があります。さらに、医療機器使用時には、アラームが適切に設定されておらず患者の急変に気が付けない、血液等で汚染されたまま別の患者へ使用される等、患者の安全、感染管理の観点からも早急に改善する必要があります。

こうした状況下、2016年、保健・スポーツ省は、医療機器の保守管理の必要性を認識し、約100名のメディカルエンジニア(ME)候補者を新規雇用し、主要病院に配置する対策をとりました。しかし、彼らは工学部出身で医学に関する教育は充分に受けておらず、現場では適切に医療機器の保守管理が実施されていない状況です。

こうした現状認識に基づき、ミャンマー保健・スポーツ省から、医療機器の保守点検・管理ができるME育成のための技術協力プロジェクトが要請されました。育成コースの設置先としては、国立ヤンゴン医療技術大学(UMT-Y)を指定されました。

(2)当該国における保健セクターの開発政策と本事業の位置づけ

2016年12月、ミャンマー保健・スポーツ省が策定した「国家保健計画(2017-2021)」では、2030年までのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成に向けて、第一段階としてすべての国民に「基礎保健サービス」を届けることを目標としています。医療機材を適切に管理することは、検査や治療等の基本的な医療サービスを受けられる対象数を増やし、質の維持された適切な医療サービスの提供に繋がることから、同計画に合致していると言えます。

(3)保健セクターに対する我が国及びJICAの援助方針と実績

本事業は、2012年4月に作成された、対ミャンマー経済支援方針のうち「経済・社会をささえる人材の能力向上」及び「国民の生活向上のための支援(少数民族や貧困層支援、農業開発、地域の開発含む)」に合致しています。また、2016年11月に公表された「日ミャンマー協力プログラム」における「IX国民生活に直結する保健医療分野の改善」にも沿っています。

JICAの援助実績は、技術協力「保健システム強化プロジェクト」と「医学教育強化プロジェクト」、無償資金協力「中部地域保健施設整備計画」、「病院医療器材整備計画」、「ヤンゴン市内総合病院医療機材整備」、「カヤー州ロイコー総合病院整備計画」、「シャン州ラーショー総合病院整備計画」などが挙げられます。

プロジェクトの概要

本プロジェクトは、国立ヤンゴン医療技術大学(UMT-Y)において、1)MEの育成・配置の枠組みの策定、2)ME1年コースのカリキュラムの開発・実施、および3)メディカルエンジニアリングに関する指導員を育成することにより、医療機器を取り扱うME育成体制の強化を図り、公立病院における医療機材の維持管理体制の改善に寄与するものです。

目標

上位目標

MEが配置された病院において、既存医療機材の維持管理体制が改善される。

プロジェクト目標

医療機材を取り扱うMEを育成する体制が強化される。

成果

成果1

MEの育成、配置の枠組みが策定される。

活動

1-1.ME育成の枠組みを検討し、合意する。
1-2.MEの配置基準、資格制度について助言する。
1-3.ME1年コース修了生に対するモニタリングを行う。
1-4.ME育成の枠組みを見直す。
1-5.受講者の選考
1-5-1.第一期、第二期受講者を、メディカルエンジニア候補者54名、及び電気、電子/機械工学部卒の既存のアシスタント・エンジニア中から選出する。
1-5-2.第三期以降の受講者を、一般募集で医療サービス局に雇用された者から選出する。
1-6.ME配置予定病院
1-6-1.ME配置予定病院管理者に対し、MEの役割と意義について説明する。
1-6-2.ME配置予定病院管理者に対し、具備されるべき工具、交換部品、メーカーへの修理依頼費用の予算確保の必要性を説明する。
1-7.4年コースのカリキュラムを提案する。
1-8.ME1年コース修了者の4年コース編入課程を提案する。

成果2

ME1年コースのカリキュラムが開発され、実施される

活動

2-1.ニーズに基づいて、ディプロマポリシー、カリキュラム、シラバスを開発する。
2-2.講義、学内実習に使用する教材(医療機材維持管理マニュアル、点検シート、管理台帳を含む)を作成する。
2-3.ME育成1年コースのための研修施設としてCMSDワークショップを改修する。
2-4.UMTの教授、准教授、講師が以下の基礎6科目を2ヶ月間で教授する(応用数学、物理学、医学概論、解剖・生理学、病理学、臨床医学)。
2-5.工学系7科目、医工学系10科目を教授する。
2-6.学内実習
2-6-1.学内実習用の医療機材、工具、測定器を準備する。
2-6-2.医療機材維持管理マニュアルを作成する。
2-6-3.医療機材維持管理マニュアルを用いて小グループ(3~5名)でハンズ・オン・トレーニングを行う。
2-7.病院実習
2-7-1.実習受け入れ病院を選定する。
2-7-2.実習指導要領を作成する。
2-7-3.実習指導者(病院側、学校側引率教員)に実習指導要領を周知する。
2-7-4.実習受け入れ病院との事前調整を行う。
2-8.コーススケジュールに合わせて定期試験を開催し、習熟度の評価を行う。
2-9.モニタリング結果を反映し、カリキュラムを修正する。

成果3

メディカルエンジニアリングに関する指導員が育成される。

活動

3-1.既存のアシスタント・エンジニアと、第一期、第二期修了生の中から、ティーチング・アシスタント(TA)を任命する。
3-2.TAに教授技術・知識を指導する。
3-3.教員の指導の下、TAに講義の一部を担当させる。
3-4.教員の指導の下、TAに学内実習の補助を担当させる。
3-5.修士コースの設計をする。
3-6.資質の高いTAを修士コースで教育する。