(和)資金・証券決済システム近代化プロジェクト
(英)Project for Modernizing the Funds Payment and Securities Settlement Systems in Myanmar
ミャンマー
2014年2月4日
ヤンゴン、ネピドー
2014年2月4日から2020年8月3日
ミャンマー中央銀行(Central Bank of Myanmar)
日本銀行
ミャンマー政府は、経済分野の開発目標として市場経済化や投資促進を掲げ、金融規制緩和や証券取引市場の開設等、金融セクターの近代化に向けた準備を進めているが、金融市場の発展を支える情報通信技術(ICT)システムの整備が非常に遅れている。中央銀行の本支店間及び市中銀行との間での資金決済及び口座管理、国債の登録管理業務の多くが手作業での処理に頼っており、業務効率の低さに加え、セキュリティ保護やデータ管理が適切にされていない点が問題となっている。今後、社会経済開発の進展に伴って、国内企業の資金需要の増加、諸外国からの投資の活発化、更に個人の銀行利用の普及拡大が見込まれており、金融機関で取り扱う資金及びデータ量が急増すると予想される中で、経済活動の根幹をなす中央銀行の業務ソフトウェアおよびICTインフラ基盤(以下、総称して「業務システム」とする。)の整備を通じた業務改善は、金融セクターに対する信頼性を維持向上させるためにも喫緊の課題である。本システム導入に当たっては中央銀行業務、資金・証券決済にかかる法規制や業務プロセスを見直すとともに、新システムを適切に利用するための利用予定者への周知・研修、また、システムの適切な維持管理のための体制整備等が同時に必要である。
同国政府は2015年のASEAN経済共同体への加盟を公約しており、加盟各国と調和した金融システムの整備を重要課題と位置付けている。IMF4条協議(2012年5月)においても、金融セクターの近代化の必要性が指摘され、特に中央銀行の独立性及び機能強化、電子決済等の業務システム導入等が急務とされている。金融政策の円滑かつ着実な実施のためにも中央銀行業務の効率化は不可欠である。以上の背景を受け、我が国政府はミャンマー側からの要請に基づき、本業務システムの構築のための無償資金協力「中央銀行業務ICTシステム整備計画」を承認し、2013年10月25日の交換公文署名を持って協力を実施した。その後、導入した業務システムの機能を拡充するものとして、無償資金協力「金融市場インフラ整備計画」を承認し、2018年8月8日の交換公文署名を持って協力を実施中である。本事業は、右無償資金協力により整備された業務システムの適切な稼働・維持管理に必要な人材育成や体制整備を行うものである。
本事業は、ミャンマー中央銀行(Central Bank of Myanmar:CBM)及び同国の市中銀行を対象として、人材育成や体制整備を通じてCBMの業務システムが円滑に稼働・維持管理されるための環境整備を図ると共に、金融政策立案・運営能力を強化し、もって同国における資金・証券決済の近代化に資するものである。
ミャンマーにおける金融市場が近代化される。
中央銀行業務ICTシステムが円滑に稼働・維持管理され、CBMが金融政策運営を強化するための環境が整備される。
成果1:業務システム導入に沿った資金・証券決済に必要な法規制・マニュアルが整備される。
成果2:業務システムに沿って資金・証券決済を行うための市中銀行の能力が強化される。
成果3:業務システムを適切に企画・運用・維持管理する能力が強化される。
成果4:業務システム利用者が、ITを適切に活用できるよう必要な知識やスキルを身につける。
成果5:CBMの会計システムが国際標準に沿って近代化される。
成果6:金融政策関連業務を適切に遂行する能力が強化される。