プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)TVETの質的向上支援プロジェクト
(英)Project for Quality Improvement in TVET Program

対象国名

ミャンマー

署名日(実施合意)

2018年3月15日

プロジェクトサイト

ヤンゴン

協力期間

2018年7月30日から2023年7月29日

相手国機関名

(和)教育省
(英)Ministry of Education

背景

(1)当該国におけるTVETの開発実績(現状)と課題

製造技術の向上及び産業人材の育成は、TVET法の整備・制度構築と合わせて当該国の経済産業発展のために不可欠である。2017年3月に始動した「国家教育戦略計画(2016~2021)」にも、TVETのアクセス、質と制度の向上は、優先課題の一つとして掲げられている。
短期的には、既存のTVET機関の質の向上が喫緊の課題である。

(2)当該国におけるTVETセクターの開発政策と本事業の位置づけ

ミャンマー連邦共和国(以下、「ミャンマー」という。)では、2011年の民政移管後、民主化、経済改革、国民和平を柱とした改革が進められ、経済成長率は8%前後の高い水準を維持している。また、GDPに占める産業セクター別の構成は、ここ10年で徐々に農業セクターから工業・サービスセクターへ比重が移行し、2014年にはサービスセクターが37.7%、工業セクターが34.4%を占めている。一方で、産業界が必要とする技能労働者の数は大幅に不足しており、年8%の経済成長が続けば、2030年までに技能労働者は1300万人不足すると予測されている。自動車登録台数の増加、製造業の成長、各産業における設備投資の増加、都市部における建設需要の高まりから、分野としては、自動車、機械、電子・電気、建築分野における技能労働者の育成が必要とされている。
2016年7月に新政権が発表した12の「経済政策」において、大学教育や職業訓練を通じた人材育成と雇用創出が重点政策として挙げられている。技能労働者の育成に必要な職業訓練・技術教育(TVET)は、2017年2月に策定されたミャンマーの「国家教育戦略計画」において、重要なコンポーネントとして位置づけられ、アクセスの拡充、質の向上、マネジメントの強化を通じた技能労働者の育成と雇用機会の拡充が謳われている。しかし、現状は、教育・訓練の質が低い、民間企業のニーズを踏まえた教育・訓練内容となっていない、TVET機関の社会的評価が低く、一部のTVET機関では学生数が定員を下回っている等の課題を抱えている。

(3)TVETセクターに対する我が国及びJICAの援助方針と実績

ミャンマーにおけるTVET機関の支援を通じてミャンマーの産業人材の育成をする本件は、我が国の対ミャンマー支援方針(2012年4月)3本柱のうち「経済・社会を支える人材の能力向上や制度整備のための支援」に位置付けられる。
また、2016年11月に発表された「日本・ミャンマー協力プログラム」において、「国民が広く享受する教育の充実と産業政策に呼応した雇用創出」が重要分野の一つに位置付けられており、その中で、職業訓練制度の改善、ミャンマーの開発政策を担う行政官育成及び労働者の権利の保護への協力が明示されており、本事業はこれら方針等に合致する。
・2016年1月~10月 職業技術教育・訓練情報収集・確認調査実施
・TVETアドバイザー派遣(2017年10月から2年間派遣)
・国家技能標準(NSS)開発支援プロジェクト(技プロ・2018年度開始予定)
・無償資金協力「日本ミャンマー・アウンサン職業訓練学校整備計画(The
Project for Establishment of Japan-Myanmar Aung San Vocational Training
Institute))」

(4)他の援助機関の対応

1)ADB

日本貧困削減基金による技術協力「Skill Development for Inclusive Growth, 2014-2016」により、失業者や恵まれない環境にある若者を対象とした建設分野の短期職業訓練コースを、旧アウンサン技術学校を含む5か所で実施。今後は、「Equipping Youth for Employment (EYE) Programme, 2017-2022」を借款で実施予定。

2)GIZ

5000 Skills Test Project(2017-2018)実施中。30分野(既存25分野+新規5分野)の職種構成再定義に係る労働省他との交渉は進んでいない状況。

目標

上位目標

JMASVTI卒業生が、産業界及び学術界における有資格人材として、ミャンマーの自動車整備分野及び電気分野に貢献する。

プロジェクト目標

労働市場及び教育ニーズを反映させた自動車整備及び電気分野のJMASVTIプログラムを形成するシステムがJMASVTIで構築される。

成果

1.JMASVTIプログラムの計画準備能力が開発される
2.JMASVTIプログラムが実施される。
3.JMASVTIプログラムを継続的に評価、改善するシステムが構築される。
4.JMASVTI卒業生の就職・進学支援システムが確立される。

活動

1-1.自動車整備および電気における国家技能標準(NSS)のセクター協議会をベースに、JMASVTIの適切な管理・改善を図るための官民連携協議会が立ち上がる。
1-2.コース開始のための準備計画が策定される。
1-3.先生、スタッフ、予算の割り当てや、組織的なお墨付きを含んだ公式なTVET学校として組織化する。
1-4.自動車整備のニーズ調査が実施される。
1-5.コースで使用する機材を調達し、機材を管理するシステムが設立される。
1-6.タイムテーブルが作られ、責任者となる先生がアサインされる。
1-7.レッスン計画と授業用資材が準備される
1-8.本プログラムによって実施される実際のトレーニングに関しての先生の能力が開発される。
1-9.JMASVTIスタッフの能力強化が図られる。
1-10.2019年12月からの本プログラムの実施計画が策定される。

2-1.JMASVTIコースの新入生のための入学のシステムが改善される。
2-2.自動車整備と電気が本プログラムにおいて実施される。
2-3.コースにおいてインターンシップシステムが開発される。
2-4.コースのための様々な試験が開発され実行される。
2-5.通常の設備と道具が評価されメンテナンスされる(1-5で開発したシステムに基づいて)

3-1.教育省TVET局のクオリティーコントロールシステムが開発される。
3-2.コースにおけるモニタリングや評価システムが開発され、実行される。

4-1.卒業生の追跡調査を行い、被雇用者のコース満足度調査を行う。
4-2.活動1-1で記載した官民連携協議会をベースに、自動車メンテナンスセクターおよび電機セクター関連会社の求職情報を収集・蓄積するシステムを構築する。
4-3.コース受講生に就職あっせんサポートを提供する。
4-4.本プログラムにおける卒業生の追跡調査および被雇用者の満足度調査を実施する。

投入

日本側投入

1.専門家:総括、自動車整備、電気、業務調整、その他必要に応じて決定
2.研修員受入:本邦研修または第三国研修
3.供与機材:JMASVTIに対する自動車整備学科及び電気学科に必要な機材
4.事業運営費の一部負担

相手国側投入

1.カウンターパートの配置:プロジェクト・アドバイザー、プロジェクト・ダイレクター、プロジェクト・マネジャー、テクニカル・カウンターパート(JMASVTI教員など)
2.施設:日本人専門家の執務スペース及び事務什器
3.機材:訓練を実施するための基本的な機材
4.事業運営費:MoE及びJMASVTIの教員の手当、電気・水道・ガス・燃料に係る経費、供与機材の通関・保管・内国輸送・設置に係る費用、プロジェクト施設・機材のメンテナンス費用、訓練実施に係る費用、その他プロジェクトに必要な現地費用