CCAの本格普及が進行中です

2011年4月27日

前回のニュースから、ずいぶんとたくさんの水が橋の下を流れていき、徒然なるままに約1年たってしまいました。みなさま、長らくお待たせしまして、すみません。さて、今回はプロジェクトの第3年次(2010年4月〜2011年3月)のCCA普及活動のダイジェスト版でご報告させて頂こうと思います。2年次までこつこつと種をまいて、CCA普及の苗を育ててきましたが、それが花を開き、3年次はCCAの普及が本格的に広まった年となりました。

CCA研修

まず、2010年の4月下旬から5月上旬に、20のプロジェクト対象タウンシップで、10日間のクラスタートレーナー研修を実施しました。この研修では108人の教育大学のマスタートレーナーが、選抜された小学校の校長と先生1,250人を対象に研修をおこないました。その研修を受けたクラスタートレーナーが今度は研修講師となって、5月中旬と7月上旬に9日間の小学校教員研修を1万4,170人の先生に対して実施しました。参加者の先生たちは、長丁場の研修にもかかわらず、楽しみつつも熱心にCCAを学んでいました。また、10月にはユニセフの協力により、プロジェクト対象地域外の5タウンシップでも約3,000人の先生を対象にCCA研修 が実施されました。CCAは一歩一歩、着実にミャンマーに広がりつつあります。

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ミャンマーの気候を調べる社会科の模擬授業

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光の進み方の理科実験

CCA実施状況のモニタリング

CCA研修の効果が実際の学校での授業にどれだけ反映されているかを調べるために、9月から11月にかけて小学校のCCA実施状況をモニタリングしました。下のグラフは、研修前(2009年に調査)と研修後(今回の調査)のCCA実践度を教室での授業を観察して比較したものです。

【グラフ】教室でのCCA実践度

研修前と比べると基礎的なCCAの実践が大きく進歩している事が確認できます。基礎的な授業技術とは、プロジェクトで配布している先生用の指導書を参考にしながら、授業の到達目標を意識して授業をおこなったり、適切な教材を活用したり、生徒にグループワークをさせたり、生徒の様子を確認したりすることを含んでいます。応用技術は、指導書がなくても自分で工夫して授業を組み立たり、臨機応変に生徒の理解度に応じて授業内容を変えていくといった、優秀な先生が試行錯誤をしながら習得していく技術を想定しています。10日間の研修ではなかなか応用技術までの習得は期待できないので、プロジェクトではより多くの先生が基礎技術を習得することを主眼に置いています。その意味では、CCAの実践面において、当初の目標を順調に達成しつつある状況といえるでしょう。

また、教室では生徒にも変化が現れはじめています。学習方法が以前は暗記ばかりだったのに比べ、グループ学習や自分で身の回りのものを調べるといった学習方法の種類が増えました。また、能動的に授業に取り組む態度の改善も見られました。

【グラフ】生徒の変化

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現場の学校での水溶液の実験

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授業を見た後は、先生や管理職と授業の改善方法について話し合います

自主研修活動の支援

一度の研修だけでは、CCAの高度な技術の習得は難しいですし、基礎的な事柄も実践せずに放っておけば、だんだん忘れてしまいます。そこでプロジェクトでは、先生たちの自己研鑽の場としての自主研修活動を推進しています。学校内や近隣の学校の先生たちと一緒に、CCAについて模擬授業をしたり、問題を話し合ったり、新しいアイデアを交換したりといった活動をすることで、全体の底上げを狙うとともに、優秀な先生にはより高みの次元に到達して貰う事が狙いです。イメージとしては下図のような形です。

【図】

3年次には、CCA研修において、自主研修活動のやり方を実習したほか、自主研修を推進する教育行政官向けの研修をおこない、自主研修やそのモニタリング方法のガイドライン(マネジメントキット)と補助教材のCCAリソースブックを配布しました。また、ヤンゴン周辺のCCA実践重点対象校を2校設定し、自主研修活動について重点的に指導しました。

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近隣の学校の先生が集まって授業研究活動による自主研修(モビタウンシップ)

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基礎教育局職員による教育行政官向けの研修の様子

今後のCCA普及に向けて

今年度はいよいよプロジェクトの最終年次です。3年次までの活動を新たに17タウンシップ、約1万5,000人の先生に拡大していきます。また、プロジェクトでこつこつと開発していた算数の教師用指導書がついに完成しましたので、算数について今までの対象地域全体にフォローアップ研修をおこないます。そして、このような活動をプロジェクト終了後も、ミャンマー国が独自に実施していけるように、CCAの全国普及計画を教育省と協働して策定していく予定です。3年次で咲かせたCCA普及の花が実を結んで、もっと多くの場所に新たな花が咲くように、丁寧に種を収穫してミャンマー側に手渡したいと思っています。

文責:山岡智亙(CCA研修/モニタリング)