プロジェクト概要

プロジェクト名

(日)学校保健・栄養改善プロジェクト
(英)School Health and Nutrition Project

対象国名

ネパール

署名日(実施合意)

2008年4月3日

協力期間

2008年6月1日から2012年5月31日

相手国機関名

(和)保健人口省、教育省
(英)Ministry of Health and Population, Ministry of Education

背景

ネパール国(以下、「ネ」国)は、2006年「国家学校保健・栄養戦略」を発表し、コミュニティの中で住民の身近な社会施設として存在する学校を保健活動の場としても活用し、各家庭・コミュニティの健康と栄養状態を改善することを重要視している。「ネ」国の子どもには栄養不良、発育不良が多く見られ(女学生の鉄分欠乏症貧血率64%、学童児童の甲状腺腫保有率40%、蠕虫有体率66%(ゼンチュウ:多細胞からなる寄生虫)、潜在性ビタミンA欠乏率 33%)、子どもの学校欠席率、学業成績にも悪影響を与えているとされている。これは栄養価の少ない食習慣のみならず、衛生観念の不足(トイレやごみの不適切な処理による感染症や寄生虫病、安全な水資源の不足)、窓のない屋内での調理による煙害などが原因で、改善にはコミュニティを巻き込んだ活動が不可欠となっている。

JICAは、1992年から2004年まで実施された日本医師会の「学校・地域保健プロジェクト」と連携して、個別専門家派遣(学校保健分野)を行った。同プロジェクトでは、カブレパランチョーク郡の1市・17村落の学校の水衛生改善、学童児童の保健知識向上、学校・家庭・地域における保健衛生改善に向けた住民組織化を支援し一定の成果が見られたものの、地方行政組織の関与の度合いや中央レベルにおける保健人口省と教育省間の連携が自立発展性や地域的な展開を確保する上で重要との教訓を得た。

我が国は、2006年度「ネ」国政府から「学校保健・栄養改善プロジェクト」への協力の要請を受け、2007年度新規案件として採択し、事前評価調査(第一次、第二次)を実施した。本案件は、上述した「学校・地域保健プロジェクト」の教訓を生かし、対象2郡(シンドゥパルチョーク郡およびシャンジャ郡)において主要な学校保健関係者の学校保健に関する意識と実施能力の向上および学校保健サービスの改善を通じて、主に初等教育レベルの学齢児童の保健・栄養に関する態度や習慣の改善を図るとともに、本プロジェクト終了後も既存の「国家学校保健・栄養戦略」に基づいた学校保健活動が継続・普及されていくよう保健人口省と教育スポーツ省による実施体制の整備を目的として、2008年6月から4年間の協力で開始された。

目標

上位目標:

対象郡の学齢児童(初等教育レベル)の健康と栄養状態が改善する。

プロジェクト目標:

  • 対象郡において、学齢児童(初等教育レベル)による学校保健サービスの利用が増加する。
  • 保健人口省と教育省において「国家学校保健・栄養戦略」の実施体制が強化される。

成果

  1. 対象校において、学校保健サービスミニマムパッケージの提供が改善される。
  2. 学校保健活動を通じて、対象校における学齢児童の保健に関する知識が向上し、態度や習慣が改善される。
  3. 対象郡において、学校保健活動が関係機関、委員会、その他の関係者によって体系的かつ協力的に実施・管理される。
  4. プロジェクトの経験に基づき実践的なモデルが開発され、「国家学校保健・栄養戦略」に沿った当該モデルの普及計画が中央レベルで策定される。

活動

0-1
以下の委員会を設置する…郡学校保健・栄養委員会(DSHNC)、学校保健・栄養委員会(SHNC)
0-2
郡保健事務所、郡教育事務所、郡開発委員会、村落開発委員会および学校にフォーカルパーソンを任命する。
1-1
学校保健サービスミニマムパッケージを作成する。
1-2
学校保健サービスミニマムパッケージの研修・実施ガイドライン/マニュアルを開発する。
1-3
学校保健サービスミニマムパッケージのカスケード式研修を実施する。
1-4
対象校が学校保健サービスを実施するようサポートする。
1-5
対象校が学校保健・栄養関連データを集計するようサポートする。
1-6
学校保健サービスミニマムパッケージのガイドライン/マニュアルをレビューし改訂する。
1-7
学校保健サービスミニマムパッケージのガイドライン/マニュアルの最終版を作成し、保健人口省および教育省から承認を得る。
2-1
ネパールの既存の保健・栄養教材をレビューする。
2-2
保健・栄養教育関連の既存のTOTガイドライン/マニュアルをレビューし、必要に応じて提言を行い、改訂する。
2-3
必要に応じて保健・栄養教育のIEC教材を開発する。
2-4
教育省が教員を対象とした保健・栄養教育のカスケード式研修を実施するようサポートする。
2-5
教員が開発した教材に基づき、保健・栄養関連の授業を実施するようサポートする。
2-6
学校の衛生環境と児童の衛生状態の改善を促進するために、学校チェックリストガイドラインを開発する。
2-7
学校チェックリストのカスケード式研修を実施する。
2-8
対象校が学校チェックリストを活用するようサポートする
2-9
子どもクラブのためのガイドラインを開発する。
2-10
子どもクラブのカスケード式研修を実施する。
2-11
対象校が子どもクラブ活動を促進するようサポートする。
2-12
代替校が学校保健活動を利用できるようガイドラインを開発する。
3-1
対象郡において対象校を選択する。
3-2
学校保健の実施に係る障害と可能性を探るためベースライン調査を実施する。
3-3
学校保健のモニタリング・ツールを開発する。
3-4
モニタリングのカスケード式研修を実施する。
3-5
各レベルの関係者が学校保健活動のモニタリングを実施するようサポートする。
3-6
学校保健サービスミニマムパッケージのデータを集計し分析するよう郡教育事務所と郡保健事務所をサポートする。
3-7
学校保健コンポーネントが学校改善計画(SIP)に取り入れられるようサポートする。
3-8
郡学校保健・栄養調整委員会が学校保健・栄養活動実施のための郡アクションプランを策定するようサポートする。
3-9
学校保健・栄養委員会が学校レベルのアクションプランを策定するようサポートする。
3-10
郡学校保健・栄養調整委員会および学校保健・栄養委員会が児童と地域住民のために学校保健・栄養週間のような学校保健プロモーション・キャンペーンを計画し実施するようサポートする。
4-1
開発パートナーによる学校保健・栄養活動の好事例をレビューし、プロジェクトの学校保健活動に反映する。
4-2
既存の学校保健・栄養ガイドラインと「国家学校保健・栄養戦略」を学校保健活動で得られた実践経験に基づきレビューし、必要に応じて改訂を提案する。
4-3
実施したレビューに基づき実践モデル並びにマニュアルを作成する。
4-4
中央レベルにおいて他郡へのモデル普及のためのアクションプランが策定されるようサポートする。
4-5
「国家学校保健・栄養戦略」および学校保健活動の成果を、他郡や他の関連開発パートナーへ普及する。
4-6
全国展開へ向け、地域事務所並びに郡事務所へ必要に応じて技術協力を提供する。

投入

日本側投入:

  • 専門家派遣
    1. 長期専門家:チーフアドバイザー/小児保健・栄養、業務調整/ヘルスプロモーション
    2. 短期専門家:健康教育、栄養改善、教材開発、組織強化など
  • 機材供与(研修用機材、事務機器、車両など)
  • カウンターパート研修(課題別研修、国別研修など)
  • 在外事業強化費(研修・ワークショップ開催経費、教材作成費、プロジェクト現地スタッフ傭人費など)

相手国側投入:

  • カウンターパートの配置
  • ワクチンを含む学校での集団予防接種にかかる経費、IEC教材、ヨード塩測定器など
  • プロジェクト事務所スペース、事務所維持費(電気代・水道代など)
  • その他プロジェクト活動経費