プロジェクト概要

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ネパール政府ロゴ

プロジェクト名

(日)小学校運営改善支援プロジェクト(フェーズ2)
(英)The Project for Support for Improvement of School Management Phase II in Nepal(SISM2)

対象国名

ネパール

署名日(実施合意)

2013年3月11日

協力期間

2013年5月10日から2016年12月31日までの3年7ヵ月

相手国機関名

教育省教育局(Ministry of Education, Department of Education:MoE, DoE)

対象地域

・「モデル」検証地域:プロジェクト開始後、ネパール教育省、JICA事務所と協議の上、山岳部・平野部等地域の多様性に配慮して選定
・普及対象地域:全国75郡

対象サブセクター

基礎教育(公教育の第1〜第8学年)

背景

1.ネパールの教育事情

ネパールでは国際的な目標である「万人のための教育(Education for All:EFA)」を達成すべく努力が続けられています。2000年には初等教育の純就学率は76.3パーセントでしたが(世界銀行ウェブ統計)、2012年には95.3パーセントにまで増加しました。男女比は、初等教育で女子の割合が50.5パーセント、前期中等で50.9パーセントとなり、ジェンダー格差も改善しています(以上、教育局Flash Report I)。

このように就学者数(量)の面では改善がみられますが、教育の質の面では依然として多くの課題があります。2012年における小学校1年生の留年率は19.9パーセント、中退率は7.7パーセントで、1年生に入学した子どもの3割近くが留年または中退しています。また、小学校の最終学年である5年生まで到達する子どもの割合(5年生までの残存率)は、2012年には84.1パーセントで2008年の73.4パーセントよりは改善したものの、依然15パーセント以上の子どもが初等教育を修了できていないという状況にあります(以上、教育局Flash Report I)。

2.ネパール政府による学校運営強化の試み

初等教育における量と質の両面の課題を改善するための重要戦略として、ネパール教育省は、2000年代の初めから教育行政の地方分権化及び住民参加による学校運営強化を掲げました。そして、各学校に地域住民が参画する学校運営委員会(School Management Committee:SMC)の設立を義務づけ、SMCを中心に学校改善計画(School Improvement Plan:SIP)を策定し、SIPに基づいて学校運営を改善する仕組を導入しました。

2000年代半ばには、大部分の学校でSMCが結成されSIPが作成されたものの、肝心のそれらの目的や役割は理解されないままでSMCもSIPも早々から形骸化していました。SMCは本来期待されている機能を果たしておらず、多くの学校がSIPは策定するが、その目的や役割は理解されず、さらに資金不足もあって実施されていない状況にありました。

3.小学校運営強化支援プロジェクトの実施

こうした状況を改善するためネパール教育省は、JICAの協力を得て「小学校運営改善支援プロジェクト(以下、SISM)」を2008年2月から2011年2月まで実施しました。SISMでは、ダディン郡とラスワ郡をパイロット郡として、郡教育事務所の教育行政官と視学官(元教員で指導主事のような役割)に研修を行って、SMCやPTAの役割、学校運営を支援する自分たち教育行政官や視学官の役割を再認識してもらい、さらに学校運営を強化して各学校における教育の質を強化していく上でSIPが重要なツールであることを理解してもらい、彼らと協力して2郡内の約600校のSMCやPTAを対象としたワークショップを行って、住民参加でSIPを作成し、実施につなげる活動を展開しました。

SISMの活動を通して、まとまったお金がないからとあきらめていた様々な学校改善のための活動が、実は住民が学校と協力すれば実現できることもあることが住民の間に理解され、校舎の清掃や簡易トイレの建設、保護者による出席簿のチェックや学校モニタリング、母親クラブの強化など様々な活動が始められるようになりました。こうしてダディン郡とラスワ郡では、地域住民の意識向上がみられ、教員の欠勤、生徒の欠席の減少、教育環境の向上等の変化が現れ、徐々にSMCによるSIP活動を通した初等教育改善への手がかりが見え始めました。さらに、SISMの活動を通して教育行政官や視学官たちは、自らの役割を認識し、自信をつけ、自主的に学校へのモニタリング指導を行うようになるなどの変化がみられました。

SISM終了後も、SISMの経験を踏まえて、教育局は2012年3月に「SIP策定ガイドブック」を作成して全国に配布し、SMC強化とSIP策定・実施を軸とした初等教育改善を推進する方針を示しました。2009年から実施中の同国の教育開発計画「学校セクター改革プログラム(SSRP)」でも、SMCの能力・活動強化とそれを支援する地方教育行政の能力強化は、教育の量と質を改善する上での基本方針の一つであることが示されました。

こうしてネパール政府が進めようとするSISMモデルの全国展開を支援するために、JICAは技術協力プロジェクト「小学校運営改善支援プロジェクト・フェーズ2(以下、SISM2)」を2013年5月から2016年12月まで実施することとしました。

小学校運営改善支援プロジェクト・フェーズ2(SISM2)の概要

SISM2では、「SISMで開発した「SIPの作成・実施を通した学校運営改善のための能力強化モデル(SISMモデル)」の普及と実践を進め、SIPの作成と実施を通して基礎教育へのアクセスや質の改善に向けた学校運営が全国的に行われるようになること」を目指します。
SISM2の概要は以下の通りです。

1.上位目標

・基礎教育のアクセス・質が改善される。

2.プロジェクト目標

・全国的な学校改善計画(SIP)の策定・実施を通じ、基礎教育のアクセス・質の改善に向けた学校運営が行われる。

3.期待される成果と主な活動

成果1 基礎教育のアクセスと質の改善に向けた学校改善計画の策定・実施が有効に機能するための「モデル(注)」が開発される。

成果1を達成するための主な活動
【学校運営改善モデルの設計】
1-1 学校運営に関するガイドライン、政策文書の分析を行う。
1-2 JICAの他案件、NGO、他ドナー等の行う各種学校運営案件の分析を行う。
1-3 NGO、他ドナーを含めた関係者を対象に、SIP策定ガイドブック改訂に関するワークショップを開催する。
1-4 SIP策定ガイドブックを改訂する。
1-5 学校運営に関する関係機関および人材の能力分析を行う。
1-6 学校運営に関する既存の研修およびモニタリング活動に関するマッピングを行う。
1-7 学校運営の研修講師となる人材の研修ニーズについて分析する。
1-8 学校運営に関する研修・モニタリングモジュールを開発する。
1-9 学校運営に関する全国研修・モニタリングの仕組みを設計する。

【学校運営改善モデルのレビュー、改善】
1-10 モデル検証対象地域での試行結果に基づき、学校運営モデルを改善する。
1-11 SIP/学校運営に関する国家戦略の策定を支援する。
1-12 学校運営モデルが機能するよう政策提言を行う(SIP策定ガイドブックの承認を含む)。
1-13 学校運営制度に関する活動予算(Annual Strategic Implementation Plan/Annual Work Programme and Budget)の策定について教育局を支援する。
1-14 成果3の運営に基づき、学校運営モデルを改善する。

(注)「モデル」は以下の要素から構成される予定:(1)SIPの策定・実施に関するSMCへの研修、(2)同モニタリング、(3)SMCへの研修の講師となる地方行政官の研修に関する仕組み、および(4)研修パッケージ(SIP策定ガイドブックを含む)。

成果2 「モデル」の有効性及び実効性が検証対象地域において検証される。

成果2を達成するための主な活動
【学校運営改善モデルの試行】
2-1 検証対象地域を選定する。
2-2 検証対象地域においてベースライン調査を実施する。
2-3 中央レベルの行政官(トレーナーズトレーニングの講師を含む)に対する研修の実施を支援する。
2-4 検証対象地域において地方行政官を対象としたトレーナーズトレーニングの実施を支援する。
2-5 検証対象地域において学校運営委員会を対象とした研修・オリエンテーションの実施を支援する。
2-6 検証対象地域において各学校のSIP策定・実施の進捗モニタリング・フォローアップの実施を支援する。
2-7 検証対象地域において検証・モニタリング活動に関する報告書を分析する。
2-8 検証対象地域においてエンドライン調査を実施する。
2-9 検証実施のレビューおよびSIP策定・実施の経験共有のためのワークショップを開催する。
2-10 政策面、制度面、予算面における提言をまとめ、調整委員会に提示する。

成果3 中央及び地方の教育行政機関の学校運営の支援能力が強化される。

成果3を達成するための主な活動
【学校運営改善モデルの全国展開】
3-1 ベースライン調査の実施
3-2 中央行政官に対する研修の実施支援
3-3 地方行政官を対象としたトレーナーズトレーニングの実施支援
3-4 学校運営委員会を対象とした研修・オリエンテーションの実施支援
3-5 各学校におけるSIP策定・実施の進捗モニタリング・フォローアップの実施支援
3-6 研修・モニタリング活動に関する報告書を分析する。
3-7 政策面、制度面、予算面における提言をまとめ、調整委員会に提示する。
3-8 エンドライン調査を実施する。