「ネパール地震災害復旧・復興計画(プログラム無償)」にかかるコンポーネントの合意

2015年9月21日

JICAは2015年9月6日〜19日にかけて調査団を派遣し、ネパール地震災害復旧・復興計画(プログラム無償)のコンポーネントについて関係省庁と合意しました。

ネパール地震災害復旧・復興計画は、4月25日に発生したM7.8の地震による被害からの復旧・復興を目指した40億円のプログラム無償となります。JICAは7月上旬よりコンサルタント(株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル、他5者JV)を派遣し、サブプロジェクト内容の形成を進めてきました。

サブプロジェクトの形成に当たっては、基本的に被災した建築・土木施設のうち、補修ではなく再建が必要となっていることや、震災からの復興に貢献できること、Basic Human Needsなどの人々の生活への影響が大きいものと対象にすること、被害の大きいアクセスが限られた北部地域へのアウトリーチを強化すること、他ドナーとの重複が無いこと等の基準に基づいて選定を進めました。

検討の結果、以下のとおり4つのサブプロジェクトを選定しました。

・国立ビル病院の再建(カトマンズ)
・パロパカール産婦人科病院の再建(カトマンズ)
・チョータラにおける導水管の再建(シンドパルチョーク)
・ゴルカ〜バルパック道路の橋梁建設(ゴルカ)

上記のとおりサブプロジェクトを選定した後、今回の調査団派遣を通じてネパール政府と協議した結果、無事に財務省、保健・人口省、都市開発省、道路局と合意することができました。

各サブプロジェクトの概要は以下のとおりとなります。

・国立ビル病院の再建(カトマンズ)
4棟ある病棟のうち、唯一全壊判定を受けた築約50年の第3病棟の再建(約2,700平方メートル)を行うものです。カトマンズ盆地における最大かつ最古の公的なトップレファレル病院であることから、再建の意義は大きいものと判断しています。

・パロパカール産婦人科病院の再建(カトマンズ)
上記の国立ビル病院とともに、カトマンズ盆地におけるトップレファレル母子専門病院の再建(約5,000平方メートル)を行うものです.カトマンズ盆地のみならず、ネパール全土からの妊婦を受け入れているため、多くの住民に直接裨益する施設の復旧となります。ジェンダーや弱者支援の観点からも意義が認められるものと判断しています。

・チョータラにおける導水管の再建(シンドパルチョーク)
シンドパール郡チョータラ市は、地震において甚大な被害を受けており、現在、被災からの復興に向けて全市をあげて尽力しています。チョータラ市への給水システムは、3つの水源から構成されており、それぞれの水源から導水管がチョータラ市近郊に建設されている浄水場に接続され、そこから市内へ導水されています。今回の地震で導水管が被災し漏水が多く発生していることから、早期の復旧が期待されています。本サブプロジェクトでは、耐震性のあるダクタイル管を用いた再建(約20km)を行うことを想定しています。

・ゴルカ〜バルパック道路の橋梁建設(ゴルカ)
今回の地震は、農村が広がるネパール中部の北部地域で、広範囲に亘って甚大な被害をもたらしました。震央のゴルカ郡北部の拠点となるバルパック村とゴルカ郡の郡都ゴルカバザールを結ぶ道路はもともと脆弱で、今次の地震で新たに発生した土砂災害や、渡河構造物がない複数の渡河地点の存在により、雨期の通行に大きな支障が出ています。本サブプロジェクトでは、ボトルネックとなっている渡河地点に、約30m〜90mの4橋梁と、同道路から震源地であるサウラパニ村へ通じる道路の渡河地点に約140mの1橋梁を建設します。これらより、本路線の通年通行を可能とし、ゴルカ郡北部地域の復興、公共サービスのアウトリーチ強化に寄与することが可能となります。

今後は概略設計を進めることと合わせ、早期のG/A締結、詳細設計そして着工を目指して活動を続けていきます。

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被災したパロパカール産婦人科病院

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被災した国立ビル病院(第3病棟)

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チョータラにおける導水管

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ゴルカ〜バルパック道路の橋梁建設予定地の1ヶ所(計5ヶ所の建設を予定している)

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保健・人口省との署名風景