女性交流訓練センターの再建を通した地方部における女性の社会参加支援

2015年11月10日

本プロジェクトの一環として、優先緊急復旧事業(Quick Impact Project)にて女性交流訓練センターを再建することを決定しましたので、今回はその概要を紹介します。

シンドパルチョーク郡の郡女性子供開発事務所(WCDO)は、女性子供社会福祉省(Ministry of Women, Children and Social Welfare, MoWCSW)の管轄下に置かれており、郡全域を対象に以下の業務を行っています。

1)女性、子供、障害者及び高齢者の保護、育成・能力開発のためのセミナー、トレーニングの実施
2)人身売買、性的被害、強制労働等からの防護と保護、男女平等と子供保護分野での活動
3)女性と子供の権利のための活動、女性や子供が受ける暴力に関するデータ収集
4)NGOとのコーディネートによる子供の更生支援

また、MoWCSWによる年間計画に沿って、女性の社会参加、生計向上のための職業訓練、家畜・農業指導、健康に関する指導、麻薬・早婚・性的搾取・暴力に対する指導などにかかるセミナーやトレーニングが各回25〜30名を対象に実施されています。さらに、WCDO内の5つのコミッティ(20名程度)も頻繁に会議を行っており、セミナーやトレーニングが年間50回程度催されています。

このような役割を持つWCDOですが、活動拠点として使用していた女性交流訓練センターの建物が地震により被害を受け、壁の各所にひびが入り、トイレが使用できない状況となっています。そのため、トレーニング室をそのまま使用する事は安全とは言えず、トレーニングと会議はセンター外部に建てられた仮設テント内で行われています。また、近接する建物に事務所があった障害者と子供保護を担当する部門についても、建物が地震で被災したため、被災している女性交流訓練センターの建物の一部を間借りして業務を行っており、日々の継続的活動が難しい状況となっています。

JICAはかかる状況に鑑み、Quick Impact Projectにて女性交流訓練センターを再建することを決定しました。

シンドバルチョーク郡におけるWCDOの役割、女性と子供の権利のための活動を考慮すると、女性交流訓練センターの機能の回復は、基本的な活動の再開・継続や社会サービスの質を維持・向上するために極めて重要なものです。また、日本の援助による建物再建は、地震に対して強固な構造を持つ建物の作り方を示すことを通じて、災害からの回復力の向上に貢献することが期待されます。

主要工事

1)女性交流訓練センターの再建(2階建て、トレーニング室、2事務所、トイレ)
2)既存擁壁の補強(控え壁、擁壁、蛇篭設置)

プロジェクト受益者

1)直接受益者:セミナー・訓練を受講する女性(1回あたり30名、年間1,500名)及び施設職員17名
2)間接受益者:147,723名(シンドパルチョーク郡女性人口)

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女性交流訓練センター建設予定地の現状

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女性交流訓練センター完成予想図