ネパール2018年経済センサスの確報結果(第五報)が公表されました

2020年5月18日

ネパールでは史上初めてとなる、すべての事業所(注1)を調査対象(注2)とする2018年経済センサス(事業所の国勢調査)が、2018年4月14日を調査期日として実施されました。その後、14か月に及ぶ集計期間等を経て、2019年7月1日、確報結果の第一報が公表されました。続いて、同年9月1日に第二報、また、2020年1月2日に第三報、同年5月5日に第四報が公表され、このたび、第五報が公表されました。その概要は、以下のとおりです。

1.大規模事業所の売上が全体の4割弱を占めている。

2017/18年(ビクラム暦では2074年)におけるネパール全国の事業所の年間売上高は、2兆9156億ルピー(1ルピー≒¥1)でした。これを従業者規模別にみると、大規模事業所(従業者100人以上)が1兆1012億ルピーで最も多く、全体の37.8%となっています。次いで、零細事業所(従業者1~9人)が9357億ルピー(同32.1%)、小規模事業所(従業者10~49人)が6029億ルピー(同20.7%)及び中規模事業所(従業者50~99人)が2758億ルピー(同9.5%)と続きました。
なお、上記の規模を他国と比較すると、日本(2016年経済センサス活動調査の全国結果による)では、大規模事業所が1181兆3560億ルピーと最も多く、全体の72.7%。次いで、小規模事業所が206兆9358億ルピー(同12.7%)、零細事業所が121兆2444億ルピー(同7.5%)及び中規模事業所が113兆2665億ルピー(同7.0%)となります。

次に、1事業所当たりの年間売上高(注3)でみると、大規模事業所が6億6059万ルピーで最も多く、続いて、中規模事業所が1億3979万ルピー、小規模事業所が1789万ルピー及び零細事業所が108万ルピーとなっています。
さらに、1従業者当たりの年間売上高(注3)でみると、大規模事業所が198万ルピーで最も多く、続いて、中規模事業所が210万ルピー、小規模事業所が100万ルピー及び零細事業所が51万ルピーとなっています。

2.零細事業所の利益が全体の4割弱を占めている。

2017/18年におけるネパール全国の事業所の年間利益は、8532億ルピーでした。これを従業者規模別にみると、零細事業所が3242億ルピーで最も多く、全体の38.0%となっています。次いで、大規模事業所が2351億ルピー(同27.6%)、小規模事業所が2084億ルピー(同24.4%)及び中規模事業所が855億ルピー(同10.0%)と続きました。
次に、1事業所当たりの年間利益(注3)でみると、大規模事業所が1億4105万ルピーで最も多く、続いて、中規模事業所が4333万ルピー、小規模事業所が618万ルピー及び零細事業所が38万ルピーとなっています。上述のとおり、事業所の従業者数が多くなるほど、すなわち、事業所の規模が大きくなるほど、利益が多くなっており、ネパールにおいても「規模の経済性」の経済理論が成り立っていることがわかりました。
最後に、1従業者当たりの年間利益(注3)でみると、大規模事業所が42万ルピーで最も多く、続いて、中規模事業所が65万ルピー、小規模事業所が35万ルピー及び零細事業所が18万ルピーとなっています。

(注1)ここでいう事業所とは、固定の場所で経済活動を営み、固定的な設備を所有しているところであり、国際標準産業分類第4版(ISIC)におけるEstablishmentの定義に準じている。ネパールでは、このISICに基づいたネパール標準産業分類(NSIC)が使用されている。一方、広義の事業所には、Fixed(固定の事業所)及びMovable(移動可能であるが、固定の場所で営業している事業所)のほか、Mobile(移動しながら営業している事業所)も含めて3種類とする場合があるが、この結果には、Fixed及びMovableのみが含まれており、固定的ではないMobileは含まれていない。

(注2)ネパール2018年経済センサスでは、次の産業に属する事業所は、国際的な実例に基づき調査対象としていないため、結果には含まれていない:農林漁業(NSIC Section A)に属する事業所のうち公的な機関に登録されていない事業所、官公庁等(NSIC Section O)、個人のホームヘルパーなどの世帯活動(NSIC Section T)及び大使館や国際機関等の外国公務の施設(NSIC Section U)。

(注3)1事業所当たりの売上高及び利益の分母となる事業所数は、単独事業所及び本社(本所及び本店を含む)のみの事業所数であり、支社(支所及び支店を含む)は含まれていない。また、1従業者当たりの売上高及び利益の分母となる従業者数も同様である。

2018年経済センサスの結果は、中央や地方政府における各種政策や計画の立案に利用されるほか、大学や研究所における学術研究、民間部門における経営戦略や市場調査等に利用される。この結果の英語版は、次のネパール中央統計局(CBS)等のページから参照可能です。